2002年9月上

●2002年9月10日(火)

撮影4日目。
本当はこれを書いている今は12日です。思い出して書こうと思ったのだが、不思議と撮影中のことは何ひとつ思い出せない。楽しくてたまらなかったのは確かなのですが。もうずっと前のことにも思える。
撮影が終わってから、斉藤君と川原さんが残って飲み会になった。写真についてのまじめな話をしているうちに、スイセイと斉藤君の童貞ソウシツの話になったりして、ばかっぽく酔っぱらった。焼酎が終わって、料理用の日本酒も飲み終わり、レモンの漬け込み酒や甘い梅酒まで飲んだ。そして、この間もそういう状態になったが(8/30の日記参照)、朝帰りの時の自分の景色の見え方について質問したら、それは目の絞りのせいなのだそうだ。つまり、瞳孔が開いちゃっているそうだ。そーなんだー、と私は納得。てっきり私は自分の精神状態のせいだけでそう見えるのかと思っていたが。

●2002年9月9日(月)

いつもなら朝目が覚めてもすぐにまた眠れて、夢もしっかり見れる私なのに、眠れないのです、ここのところずーっと。脳が起きて考えてしまって、寝ていられないのです。何を考えているかというと、もちろん本の撮影のことをだ。
1時に川原さんが来て、パンを2本焼いた。夕方近所の商店街へいっしょに買い物に行き、いつもの八百屋で明日の撮影で使うブリブリの野菜類をしこたま買った。帰って来てビールを飲み始め、撮影の裏話などしているうちにどんどん楽しくなってきて、それぞれの昔話などもしてしまった。どうやら川原さんも、今回の撮影について私と同じように盛り上がっているらしい。明日また会えるのだからとお互いに言い合いながら、川原さんは、雨の中自転車で帰って行った。

●2002年9月8日(日)

クウクウの日。
なんだかバタバタと忙しく、片づけの時にはえらく疲れていた。どすんという疲れでした。クウクウの子たちは、ゆうべの「北の家族」の話題を口々に言っていた。新井君はゆうべ帰ってからビデオに撮っておいたのを、焼酎を飲みながら朝までかかって見たのだそうだ。それで今日は二日酔いらしい。「泣くっていうか、嗚咽でしたよ」と言っていた。
今、どうもおかしいと思って新聞を見たら「北の国から」でした。

●2002年9月7日(土)

撮影は休みだが、恋煩いはますますひどくなっている。
斉藤君が昨日ケイタイを忘れて行って、それを取りに来るついでに1日目のベタ焼きを持って来て見せてくれた。「ベタ焼きって何ですか?」と写真に無知な私は、前々から気になっていたこともあり質問してみた。「ベタッと焼いたっていうか…」と即座に答えていた斉藤君。そのひと言はシロートにも伝わりました。
夜、スイセイにこの胸苦しい想いを相談したら、「アートにはラブが常識じゃけ、それでええんよ」と励まされた。宇多田ヒカルを例に上げて。昨日かおとといカメラマンと入籍したんだそうだ。スイセイと話していて気がついたが、どうやら私は簡単に言うと、立花君に恋煩いらしい。

●2002年9月6日(金)

昨日は日記が書けなかった。
なんでかというと、本の撮影が楽しくてたまらず、言葉にならないとはこのことだよっていう気分だったのだ。書いたら、そこから空気がシューっと漏れていってしまいそうだったのだ。
今日の撮影は雨の日にぴったりな(期せずして)メニューだった。鍋を使った物がわりと多かったし、寒い日に作りたい飲み物とか。あー、けれどやっぱり今日も書けません。それではいけないのですが、胸が詰まってしまうのです。そして体重はすでに2キロ減っている(ちょっと自慢)。太ってきてたからちょうど良いが、なにしろ眠れないし、食べても食べてないみたいな心地なのだ。本を作る時って私はいつもこういう風になる。そしてこの状態は、恋をしている時のふわついた感じに似ているみたい。赤澤さんが、「なんだかこのメンバーで暮らしてるみたいですねー」と言っていたが、ほんとそういう感じ。男女共学の合宿のようでもあり、共同で家を借りているような。同じ部屋にいても隣の部屋にいても、皆それぞれあちこちを向いていて、自分のやりたいことをやっている。けど、たまに居間に集まって来ると、なんとなくべたべたして仲が良いって感じだ。

●2002年9月4日(水)

二日酔いでもあるがセイリでもあり、なんだか私の体の中はまたもや大掃除っていう感じだ。寝てばかりもいられないので、スパッと起き上がって、明日の撮影メニューを組み立てたり、電話をしたりとけっこう忙しかった。とちゅうで、鳥ガラスープを煮出しながら布団に横になっていたら、煮込まれていくにつれスープの匂いが微妙に変化していくのがよく分かる。二日酔いの時って、私は嗅覚がべらぼうに敏感になるが、キッチンの隣の部屋で、寝ながらにしてスープの鍋の中が(匂いから想像して)見えるようなのだ。まるで千里眼のように。

●2002年9月3日(火)

ついに始まりました、本の撮影。
おおざっぱにとか適当(適正)にとか、きちきちと作るよりもおおらかにやった方がおいしいですとか、自分の料理をそんな風に人に説明していたが、今日私は気がついて愕然としてしまいました。適当なんてとんでもない。たとえばおおざっぱ度にもミリ単位で目盛りがあるくらいに、私が言うおおざっぱは「これっ!」、3ミリずれるともう、私のおおざっぱではないのよ。と、どこもかしこもそういった感じの細かさなのだ。つまり、こだわりなんてないですよと言いながら、実はものすごいこだわりがあったということに気づかされてしまった。すごい頑固者だったんです私。それは、斉藤君の撮った写真のせいだし、立花君がどのカットを欲しがるかのせいで気がついた。彼らに、私の真実(おおげさだなー)を見破られてしまったのだ。それで不安になって、撮影が終わってから立花君を呼び出して、朝まで飲んでしまいました。不安と嬉しいのは紙一重だというのが、今日の実感でした。

●2002年9月2日(月)

うっかりと、締め切りを忘れていた原稿があったので、朝早くから起きてパソコンに向かう。スイセイは、昨日から引き続いて台所のレンジ周りを大掃除してくれている。1万円でお掃除アルバイトを頼んだのだ。さっきちょっと覗いてみたが、換気扇まわりの奇麗さは、「すごーい、プロなみだよ!」などと言っておだてて、タイルのところまで、今やってもらっているところ。
夕方、撮影の仕入れに行った帰り、クウクウに寄って晩ご飯を食べた。とちゅうスイセイも誘って。濱マイクがあるので9時半には帰って来ました。

●2002年9月1日(日)

クウクウの日。
秋のおすすめ新メニューの初日だった。3時前から厨房に入り、張り切って働いた。テキパキと動いて若いころの私のようなスピードで働いた。おかげでちょっとばかし背中が痛いが、肉体労働の心地よい疲れだ。もしや、煙草を吸ってないせいかも。

日々ごはんへ  めにうへ