2012年     めにうへ

●2012年1月24日(火)晴れのち曇り

朝、ベランダからバサッという音がして目が覚めた。
物干ざおに積もった雪が溶けて、落ちる音だ。
カーテンを開けると、うちの前の空き地がスケートリンクみたいになっていた(凍っているわけではないけど)。
ポタポタポタポタと、陽に当たりながらあちらこちらで滴が落ちている。
「小説新潮」の原稿を仕上げ、お送りする。
ふと思いついて、ご飯を圧力鍋で炊いてみたら、思った通りもち米のようになった。ピッカピカでもっちもち。
5分の過熱のあと、自然に放っておくだけ。浸水しなくてもすぐに炊ける。
夜ごはんは、さつま揚げと白菜の煮もの、かぼちゃのポクポク煮(ゆうべの残り)、塩鮭、とろろ芋、大根のみそ汁、白いご飯。
どうして急に、もち米みたいなご飯が食べたくなったかというと、『人間は何を食べてきたか』の、米の回を見たからだと思う。

●2012年1月23日(月)雨のち雪

夜、お風呂から上がってカーテンを開けたら、雪が降っていた。さっきまでまるで降っていなかったのに。
ベランダの手すりにも、物干ざおにも、もう積もっている。
暗いなか、白い雪がしんしんと、さめざめと、あとからあとから降り積もる。
下の公園では、電灯の下のぽっかり明るい輪の中に、光った雪が降り注いでいる。
『ナルニア国物語り』で、いちばん末の女の子が、洋服ダンスからはじめてあっちの世界へ紛れ込んだ雪景色のよう。
「東京でも、9時ぐらいから雪になります」と、天気予報で言っていたのが、ぴたりと当たったな。
夜ごはんは、鍋焼きうどん(私/スーパーのごぼうのかき揚げ、かまぼこ、卵、ほうれん草)、広島風うどん(スイ/かまぼこ、ほうれん草)、かぼちゃのポクポク煮。

●2012年1月19日(木)晴れのち曇り

午後になったら曇ってきた。でも、それほどには寒くない。
白い空に伸びている、裸の大木の手前の木。冬でも葉が落ちないあの緑色のは、何の木だろう。
今日は、やけにムクドリがたくさんいるな。
原稿を書いていると、目の前の窓に向かってバサバサと飛んでくる。羽根の裏の模様まで、すっかり見せてくれながら。
それがせいせいとして、とても気持ちがいい。
夜ごはんは、月見焼そば(豚肉、ソーセージ、キャベツ、目玉焼き)、白いご飯、みそ汁(油揚げ、豆腐、ねぎ)。
今夜もまた、図書館で借りたDVDを見るのが楽しみ。
『人間は何を食べてきたか』シリーズの、「ジャガイモ」の回だ。ゆうべは「乳製品」、おとついは「パン」を見た。
もう20年以上前のものらしいけど、内容が力強くてちっとも古びない。
うちには「肉」の回のビデオだけあり(「クウクウ」時代に誰かからいただいた)、もう何度も見ている。
ドイツの田舎の家族が、自分の家で育てている豚を1頭つぶし、皮も、血も内臓も、余すことなくすべて(目玉だけは使わないそう)いかし切って、塩豚やベーコン、いろんな種類のソーセージ、ラードを作る話。

●2012年1月15日(日)薄曇り

ゆうべは、というかきのうは、すごくよく眠った。
打ち合わせが終わって、2時過ぎにずるずると布団を敷き、スイセイとふたりでビデオを見ているうちに寝入ってしまった。
スイセイが自分の部屋へ戻ってから、ずいぶん長いこと何の音もしなかったそう。
「トイレの音がしとる思うたら、台所の方から物音がして、またうーんと長いこと静かになっての。ラーメンを作って食べたらしい(半分残している)あとがあったけえ、オレも自分で蕎麦をゆでて食べたんよ」
そう。きのう私は夜ごはんを作らなかったし、食べなかった。
今朝は、わりかしシャキッと起きた。
朝ごはんを食べ終わり、すぐに散歩へ。
パン屋さんで食パン(大きいのを1本)、クリームパン、あんドーナツを買った。
中央公園は、すっぽりと一面白っぽい芝生に被われ、たくさんの人たちが凧上げをしたり、ヒコーキを飛ばしたりしていた。
空は雲で被われていて、芝生も同じような色。
犬の散歩の人や、子供たちもあちこちにいて、わらわらと動いているのだけど、どこもかしこも白ばしこく見える。
笑い声や話し声は空に吸い込まれ、のっぺりした薄明かりに包まれている。
静かで、とりとめがなくて、あの世っていうのはこんなところなのかもしれないなあと思った。
夜ごはんは、スイセイのリクエストで、しょっぱいものばかりちょこちょこと並べたお茶漬け。
ほうれん草とちくわの煮びたし、お茶漬け、塩鮭、たくわん(畑教室で漬けた)、山椒のつくだ煮、酒盗、野沢菜のたまり漬け&わさび漬け(川原さんの信州土産)。

●2012年1月3日(火)快晴

ゆうべは夜中に、胃がキリキリ痛くて目が覚めた。胃薬を飲んで、腹巻きをして寝た。
私はお餅の食べ過ぎだろうか。
朝ごはんを食べていても、きのうの元気がまるで出ない。
年末に、スイセイはお腹の風邪をひいた。私も今頃になってうつったんだろうか。
ごはんを食べ終わり、すぐに寝る。
寝室は窓いっぱいの青空。2匹の龍のような雲が見える。
陽がいっぱで眩しいので、布団を頭までかぶって目をつむる。
とても静か。耳の穴に綿を詰めているよう。
左端にあった太陽が中央へ動き、右に移動する(下の方へ下がった)まで寝ていた。
目が覚めたら、私は涎をたらして寝ていた。
夜ごはんは、鍋焼きうどん(私/白菜、卵、長ねぎ)、かけ蕎麦(スイ)。
食べたい時に、食べたいものをそれぞれが作った。私はテレビを見ながら、5時半くらいにひとりで食べた。 

●2012年1月2日(月)晴れ、風強し

お餅にも、おせちにも飽きたので、パンとサラダのふつうの朝ごはん。
午後の早めに散歩へ出る。
北風が強く、落ち葉が地面すれすれでクルクル舞っていた。
東京のお正月は静かでいいな。走っている人もひとりだけ。あとは、子供4人を連れた親子とすれ違ったくらい。
中央公園の芝生は、短いのが地面にはいつくばっている。すっかり白っぽく、藁のようになった。
野球のコートが風で煽られ、砂嵐のよう。人は数えるほどしかいない。犬の散歩の人も、凧上げをしている人もいない。
買い物には寄らず、てくてく歩いて帰ってくる。
「さっぱりしたええ散歩じゃったのう」
玄関を開けたら、部屋を斜めに横切るように陽が差していた。ワックスを塗った床が光っている。
ベランダに出て空を仰ぐと、モクモク盛り上がった雲が整列し、東へ向かって行進している。
私はもう、だらだらするのにすっかり飽きてしまった。
今日か仕事をしよう。別に、お正月だと思わなければいいのだ。
「暮らしの手帖」「旅」「小説新潮」のゲラの校正を、すぐに終わってしまわないよう、ゆっくりやる。
今夜は9時から向田邦子のドラマがあるのが愉しみ。
夜ごはんは、蒸しずわい蟹、ごぼうのきんぴら、蟹汁(蟹の足の根もと、コンニャク、まいたけ、田舎みそ、柚子皮)、磯部巻き(私だけ)。

●2012年1月1日(日)ぼんやりした晴れ

元旦は毎年だいたい晴れるのに、今年はぼんやりした天気。
いつもと同じ時間に朝ごはん。
「明けまして」とスイセイが言い、「おめでとうございます」と私が続ける。
数の子、黒豆、真鯛の昆布じめ、いくらおろし、煮豚、ハム&ホワイトアスパラ、満月卵、お雑煮、磯部巻き、日本酒。
お酒をおちょこ一杯飲んだせいで眠くなり、干してあった布団に横になったら、30分ばかし本気で寝てしまう。
それからは、毛布をかぶってだらだら。
テレビのチャンネルを回しながら、雑誌を読んだり、本を読んだり。
チーズせんべいやチョコやあられも食べる。
去年は、大掃除を早めにはじめたせいで、私は頑張りすぎた。
毎日一部屋ずつ、引き出しの中まで念入りに掃除した。ベランダをたわしでこすったりもした。
なので、できるだけだらだらとする。
台所の掃除がまだ少し残っているけれど、今日はとにかく何もやらない。
2時半頃、地震があった。
夜ごはんは、れんこん餅、磯部巻き、お雑煮、数の子、大根おろし、サラダ(きゅうり、キャベツ、ホワイトアスパラ)。
お風呂に入る時に気がついたのだけど、今朝は洗濯物を干すのを忘れた。

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