2021年     めにうへ

●2021年1月17日(日)晴れのち曇り

金曜日から中野さんがいらしている。
さっき、お昼ごはんのパスタがとってもうまくできた。
豚のひき肉が残っていたので、そこにソーセージスパイス、クミンシード、オレガノ、バジル、ちぎったローリエ、カイエンヌペッパーをもみ込んで、たっぷりのオリーブオイルでにんにくと炒めた。
さらにしめじを加え軽く痛め、アンチョビソースもちょっと。
パスタがゆで上がるころにバターを落とし、ゆで汁を加えて乳化させ……パスタを和え、器に盛って、紫玉ねぎのスライスを添えた。
食べるときに紫玉ねぎを混ぜ、チーズを好きなだけおろし、すだちを絞って食べた。
なんとなく、地中海の田舎風というか、レバノン風というか。
民族っぽい味がした。
あ、もうじき2時だ。
壁には大きな紙が2枚貼ってある。
「まもなく開演です」と、中野さん。
今日は、これからうちでライブ・ペインティングがはじまる。
東京で行う予定だった同じ時間に。
きのうはきのうで工作。
針金を曲げて和紙を貼って、ある物をこしらえた。
私も教わりながら、ひとつ作った。
東京に行っていたら、「のぞき箱」作りのワークショップの日だったので。
さ、もうはじまる!
夜ごはんは、麻婆豆腐(牛コマ切れ肉、豚ひき肉、白菜)、大根の塩もみ(柚子絞り)、キムチ、ご飯、ビール。

●2021年1月14日(木)晴れ

6時半に起きてカーテンを開けると、海も街も空も、白い靄におおわれている。
太陽は雲に隠れている。
やわらかい明かり。
今朝は陽の出が見られないのかなと、ぼうっと見ていた。
すると、ぽっかりと顔を出した。
障子越しみたいな太陽。
でも輪郭はぼやけていない。
まるで昇ったばかりの満月みたい。
みかん味のグミみたい。
ずっと見ていたら、そのうち空の丸い穴から、光が漏れてくるように見えてきた。
今朝はきのうより暖かいけれど、暖房を入れた。
『日めくりだより』のゲラ(本の形になっている)をベッドに持ち込んで、起き抜けの頭で読んだ。
気づいたところに赤を入れる。
このくらいの頭の方が、冴えるべきところが冴える気がする。
さ、朝ごはんを食べたら、続きの校正に向かおう。
それにしても、今日はとても暖かい。
もやっているのも、なんか、春霞みたい。
3時過ぎに仕上がり、宅配便にのせるためコンビニへ。
坂を下りているとき、どこからか甘い花の香りがした。
早春と間違えてしまいそう。
クリーニング屋さん、パン屋さん、「コープさん」で軽く買い物し、ひさしぶりに坂を上って帰ってきた。
暑くてコートを脱いだ。
しっとりと汗をかいて、帰り着く。
ああ、いい気持ち。
まだ、日暮れまでには時間があるので、窓辺でお裁縫。
テーブルクロスの穴に刺繍した。
中野さんの展覧会とイベントに合わせ、私も仕事を入れて、15日(金)から上京する予定だったのだけど、やめにした。
そのおかげで、たっぷりとした時間が生まれた。
『日めくりだより』も、入校前にみっちりと向かい合えた。
これは、ちゃんとやっておかなければならないことだった。
夜ごはんは、寄せ集めグラタン(ゆうべのポトフの残りに、しめじ、下仁田ねぎ、麩を加え、生クリーム。バターと小麦粉でとろみづけ)、白菜の塩もみサラダ(浸し黒豆、ごま黒酢ドレッシング)。
明日、中野さんがいらっしゃることになった。

●2021年1月12日(火)雪のち曇り、のち晴れ

7時に起きた。
いつもより暗かったので。
カーテンを開けたら、雪。
ヒマラヤ杉にも道路にも積もっている。
あんまり寒いので、暖房をつけた。
クーラーはいつもつけているけれど、暖房にしたのははじめてのこと。
灰色の空から、白いふわふわしたのがあとからあとから降ってくる。
それをベッドに寝そべったまま見ていた。
今日は、ずっとこうしていたいな。
ハーブティーをいれて、戻ってきた。
前に、長いコードを買っておいたので、繋げて、引っ張って、ベッドにパソコンを持ち込んでみた。
インターネットもできる。
メールを書いて送って……そのうち明るくなってきた。
もうやんでしまいそう。
さ、今日は「気ぬけごはん」の締め切りなのだから、続きを書いてしまおう。
いつの間にやら雪はやみ、杉の木のも道路のも、お昼にはもう溶けてしまった。
3時過ぎ、書けたみたい。
晴れ間が出てきたので、山の入り口まで散歩した。
外はわりかし暖かい。
けど、空気が清冽。
流れる水の音が、いつもより大きい気がする。
雪解け水だろうか。
そんなことはないか。
体を動かすのが気持ちいい。
ちょっと、「コープさん」まで行ってこようか。
けっきょく、買いたいものがなかったので、もうひとつの山の入り口に向かって歩き、途中で急坂を下り、平地を少しだけ歩き、また同じ坂を上って帰ってきた。
遠くの山々が、うっすらと雪化粧していた。
今年はじめてかも。
夜ごはんは、カレーうどん(大根、人参、玉ねぎ、豚バラ薄切り肉)、赤大根の甘酢漬け。

●2021年1月7日(木)曇り一時雪、晴れのち曇り

6時に起きた。
いつもの朝の時間が戻ってきた。
小雪が舞っている。
雲が厚く、陽の出は見られなかったけれど、きのう行ったのはどのへんなんだろうと、窓を見ていた。
カーブした白い橋が大きく右手に見えていたから、そのすぐ左が六甲ライナーの線路だろう。
そうか。
夜になるといつも、ディズニーランドのお城みたいな夜景になる辺りだ。
起き抜けに絵を描いた。
きのう、花森さんの表紙の原画を間近で見て、描いてみたくなった。
クレヨンを重ね、ヒロミさんにいただいたガラスのペンでひっかく。
うまくいかないなあ。
朝風呂から出てきたら、中野さんから絵が届いていた。
ゆうべ写真を撮ってお送りした、臙脂色とサーモンピンクの大輪の菊の花。
すごくいい。
にくらしいほどいい。
私もさっき、この花の絵を描いていたのだ。
朝ごはんのとき、灰色の雲が海に向かっていっせいに下りてきているのに、海面だけ金色。
その上に太陽があるのだと分かる。
ラジオではラベルの「ボレロ」。
どんどん盛り上がってきた。
粉雪もどんどん強くなる。
外は、暗くなったり明るくなったり。
寒い、寒い。
スパッツはいて、レッグウォーマーを重ねていても、スカートの下まで冷えてくる。
きのうの展覧会で感じたこと。
ずいぶん昔に私は、銀座かどこかのデパートでやった向田邦子さんの展覧会(というのかな?)に行ったことがある。
出版された本、ラジオやテレビの脚本、書きかけの原稿などを一通り見て、奥の部屋に入ると、向田さんが愛用していた鉢や豆皿、ワンピースやコートや靴が展示してあった。
服は、さっきまで着ていたみたいに膨らんでいた。
靴も履いていた足の形になっていた。
ガラスケースに入っているのに、なんだか匂いまでしてきそうでドキドキした。
なぜだろう、書きかけの原稿用紙の文字や赤字を見ても、そういう気配は感じられなかったのに。
ワンピースや靴には、向田さんがなまなましく生きていた。
生きていたことが物に刻まれ、私の目の前で今も生きていた。
きのうの展覧会場でも、同じようなことを感じた。
花森さんが綴った、「暮しの手帖」の創刊号に向けた文も読んだ。
何度も読んでいるはずなのに、はじめて読んだみたいだった。
物を作ることの意気込みのような、といより、それ以前。
この情けない世の中を、愉快に生きていく宣言のような文だった。
「暮しの手帖」は、紙でできた「生きていくこと」そのものなんだなと思った。
花森さんがその言葉を書いたのは、表紙の絵を描いたのは、戦後間もない遥か昔だったかもしれないけれど。
歴史も、時間も、生きている感じがした。
あのころも今も変わらない。
世間はぐらんぐらんと動いているようだけど、そう見えるだけなのかもしれない。
夜ごはんは、煮込みハンバーグライス(ハンバーグの残りのタネを4つに丸めて焼き、赤ワイン入りのソースで煮込んだ。れんこんのフライパン焼き、ご飯添え)。
夜、お風呂から出たら、絵本の編集者さんからメールが届いていた。
新しい絵本のテキスト、みっつとも喜んでくださったみたい!

●2021年1月6日(水)晴れ

いいお天気だったので、午後から外出。
六甲ライナー(モノレール)に乗って、埋め立て地の六甲アイランドにある「神戸ゆかりの美術館」に行ってきた。
「花森安治『暮しの手帖』の絵と神戸」という展覧会。
井伏鱒二や棟方志功など、昔の文人や画家たちが寄稿した掲載誌(ページを拡大して貼ってある)を端から読んでいった。
そこに添えられた花森さんのペン画は、拡大してあるせいで、線の震えも見えた。
日本画家の小倉遊亀さんのは台所についての文章で、掲載誌とは別に、手書きの間取り図が額に入って見られるようになっている。
その線が鮮明で、さっき描かれたばかりみたい。
花森さんの表紙の原画もじっと見た。
絵筆やペン、クレヨンをけずったあとなどが、ちっとも色あせずに目の前にある。
さっき描いたばかりみたい。
どんな画材で描いているかが、「画用紙、油性クレヨン、鉛筆、色鉛筆」「キャンバス地、グワッシュ」などとプレートに記してあるのもおもしろかった。
花森さんが愛用していた絵筆や鉛筆(陶器のビールジョッキに差してあった)、木箱に入ったちびたクレヨンが展示してあるガラスケースも、あちこちの角度から見た。
棟方志功の文章のページには、版画の挿絵があった。
その原画(版画に白や銀で彩色してあった)も並べてあるのだけれど、こんな立派な絵を小さなモノクロの印刷物にしてしまうなんて、花森さんたちはなんと贅沢な本作りをしていたんだろう。
会場にはお客さんがほとんどいなくて、1枚1枚ゆっくりと、ひとりじめしながら見ることができたのもとてもよかった。
閉館の1時間前に行ったので、時間が足りなかったな。
もういちど行こうと思う。
六個ライナーはご機嫌な乗り物だった。
行きはいちばん後ろ、帰りも先頭の席に乗ったので、六甲の山々がよく見渡せた。
遠くに見えるうちのアパートメントを「あれだ!」と確かめたり、海を見たり、三宮の方角を見たり、あっという間に着いてしまうので、あちこち首を動かしながら。
軽く買い物をして、5時過ぎに「MORIS」に寄ったら、ハッピーバースデイの歌を、今日子ちゃんがマスクをしたままオペラみたいに歌ってくれた。
歌に合わせ、ひろみさんがぐるぐるまわして手渡してくれたのは、大きなビンに入ったおみかんジャム。
ありがたく嬉しい気持ちと、もらってばかりで申しわけない気持ちでいっぱいとなる。
ヒロミさんからは、ガラスでできた素敵なペンもいただいてしまった。
そのあと、大晦日の話になった。
「除夜の鐘は聞こえましたか?」と私が聞いたら、「神戸は船が汽笛を鳴らすんです」とヒロミさん。
今年はいつもより大きな音で、あちこちの船から聞こえてきたらしい。
そして、教会の鐘も鳴り響いたそう。
いかにも神戸らしいニュー・イヤーのお祝いだ。
私は10時には寝てしまったから、まったく気づかなかった。
よほどぐっすり眠りこけていたんだ。
夜ごはんは、白みそ味の雑炊(豚バラ薄切り肉、大根、人参、菊菜、冷やご飯)。
「MORIS」からの帰り道、ヒロミさんにお雑煮の話を聞いたから、白みその味が食べたくなったんだな。

●2021年1月5日(火)曇り

朝から曇り空。
海も空も白く霞んで、今にも雪が降りそうな。
きのうは、テレビのディレクターさんと打ち合わせだった。
打ち合わせといっても、何かがすぐにはじまるわけではない。
だから、お茶を飲みながらおしゃべりしていただけ。
いろんな資料をお見せしながら、2時間ほど過ごし、お見送りがてら坂を下りた。
体を動かしたくなったので。
歩きながら木を見上げたり、広々とした海を見下ろしたりしながらぽつりぽつりとおしゃべりし、六甲道の鍼灸院を教えていただいたり、向かいの中華屋さんがおいしいという話を聞いたり。
図書館が閉まっていたので、下の階の私がよく行くスーパーを見てまわり、私はだし昆布とお麩を買い、彼女はヨーグルトを買った。
ただ、それだけのことなのだけど、何だかこれまで知らなかった彼女のいいところがたくさん見えたような、そんな打ち合わせだった。
もう、何年も前から仕事をご一緒している方なのに。
はじめて出会えたような。
そういうことってあるんだな。
胸の辺りがあたたかくなるような気持ちで、帰ってきた。
今日は、急いでする仕事が何もないので、朝からなんとなく絵本のテキストを書いていた。
つらつらとやっていたら、みっつできた。
生まれたまんまの言葉と音、流れ。
書いているときには子どもの目線になっているから、大人の私から見ると理不尽なような気がしたり。
だから、恥ずかしいのだけれど、勇気を出して新年のご挨拶がわりエイッとお送りした。
編集者さんには、「年が明けましたら、次の絵本のご相談をゆるやかに」とだけメールで伝えられていて、方向性とか内容についてとか何も聞いていない。
本当に次の絵本を作ってくださるのかさえ、確かではないのだけれど。
夜ごはんは、ハンバーグ、春雨サラダ(人参、マヨネーズ、フレンチマスタード、ねり辛子、ゆで卵)、ご飯はなし。 
今日子ちゃんの真似をして、大根おろしをたっぷり添え(厚さ5センチほどもあるハンバーグと同じ大きさにこんもりとまとめた)、ポン酢醤油であっさりと。
おいしかった!
3個分の肉ダネを作ったので、1個分だけ焼いて、残りは冷蔵庫へ。
近々、煮込みハンバーグにしようと思って、炒めた玉ねぎ(ハンバーグに入れた残り)に赤ワイン、トマトピューレ、ウスターソース、醤油、ハンバーグの焼き汁、水、コンソメスープの素を加え、ひと煮立ちさせておいた。
今夜は、中野さんの家もハンバーグなのだそう。

●2021年1月1日(金)晴れ

明けまして、おめでとうございます。
今朝は6時半に起きた。
カーテンをいっぱいに開けると、オレンジと青の朝焼け。
明けの明星が黄色く光っていた。
夜景って、遠くの方のはぶるぶると瞬いているんだな。
星といっしょだ。
新しい年の陽の出は、雲の上から。
太陽が顔を出す前、山脈みたいな雲の峰々がオレンジに光り、どんどん濃くなっていった。
つるんと出た太陽は思ったより小さく、でも強烈な光をため込んだ珠のよう。
枕もとの母の絵が最高に紅く染まったとき、「お母さん、明けましておめでとう」と声をかけた。
朝ごはんの前に、クレンザーで流しまわりを磨いた。
朝ごはんは、ヨーグルト(りんご、みかん)と紅茶だけ。
早めのお昼にお雑煮を食べようと思って。
ひとりのお正月は静かだな。
柱時計の振り子の音しかしない。
新年のごちそうは、赤かぶの甘酢漬け、紅鮭の石狩漬け、浸し黒豆、塩もみ大根の柚子絞り(すりごま)、伊達巻き、お雑煮(大根、白菜、柚子皮)、磯部巻き、京番茶。
祝い箸はないけれど、誕生日プレゼント(中野さんのお姉さんにいただいた)のお箸がある。
なんだか初々しく、清潔な感じのする食卓。
写真を撮り、空の方を向いて食べた。
年賀状をポストに取りに行ったら、待ちに待った荷物が。
ヨナス・メケスのリトアニアのDVD、『Reminiscences of a Journey Lithuania』。
フランスからアマゾン経由でようやく届いた。
ひたすら見ながら、靴下の繕い。
やっぱり大好きな映像。
字幕が英語かフランス語なのだけど、まったく大丈夫。
2度見た。
夜ごはんは、ケールのチーズ入りオムレツ(浸し黒豆添え)、パン。
『ハウルの動く城』を見ながら食べた。
食べ終わったら、また靴下の繕い。
私は去年の暮れから、「ダーニングきのこ」にすっかりはまっている。

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