2003年6月中

●2003年6月20日(金)曇りのち晴れ、風強し

今日はいち日中、うすら眠くて怠かった。
背中やら首のあたりやら、自分の肌が熱い。ほてっているのだ。
梅干しと梅のしょうゆ漬け、そして鰯のみりん干しを作った。
そうだ、ここで宣伝をしておきますが、サイン会をやることになったんです。
吉祥寺のパルコブックセンターで7/21です。
それまでに新しい本をここで買ってくださったら、サイン会の整理券がついてくるそうです。先着100名さまだそうです。
皆さん、新しい本を買ってくださるなら、吉祥寺のパルコで買ってくださいまし。
6月25日に発売です。よろしくです・・。
そしてサイン会にもぜひ来てください。
夜ごはんは、鰯のみりん干し、新じゃがとねぎとマカロニのグラタン、トマト、焼き茄子、焼きピーマン、玄米。
みりん干しは、みりんとしょうゆを半々よりもちょっとしょうゆを勝たせて漬けた。
売っているのがあまりに甘いので、スイセイは嫌いだが、今日のは気に入った様子。
脂がのって、すごくおいしくできました。

●2003年6月19日(木)晴れ、夜は風強し

朝から大洗濯大会だった。
まな板やら、梅干しの瓶もずらっと干して日光消毒だ。
午後からはあちこち買い物。
南高梅を捜してあちこちまわったが、けっきょく近所のスーパーにいいのがあった。しかもキロあたり500円も安いのです。
3キロ買って水に漬ける。
そして試作もいろいろとやった。
きのこスープがすごくおいしいくできました。
いしいしんじさんの「プラネタリウムのふたご」で、泣き男が作ったのを思い出しながらやってみた。本を読んでいた時、頭の中でレシピも同時に考えていたんです。
いわしが残ったので、みりん干しを作っている。
今は、みりんとしょうゆに漬けて冷蔵庫の中。明日になったら風干しする予定だ。
明日は梅干しも漬ける予定。
ふふっ、料理はたのしい・・。
夜ごはんは、いわしの韓国風唐揚げ、きのこスープ、ビンチョウマグロの刺し身、ほうれん草のポン酢和え、茄子ときゅうりの塩もみ。
茄子は高知産だそうだ。茄子紺ではなく藤色っぽく、すごく太い。
皮が薄いので、厚めに切って塩でもんだら(のらぼうの真似)、ふかふかして超おいしかった。

●2003年6月18日(水)雨、雨、夜になってやんだ

窓のところにかたつむりが這っていたのを、今、外の葉っぱのところに連れて行った。
「だいじょうぶ。怖がらなくていいよ」と声をかけたら、頭を出して、指に体をはりつけてきた。かわいいもんだな〜、けど指はねちょねちょ。
今日もまた、テレビの打ちあわせ。
スタッフは皆さん感じのいい方々だった。
初めての番組なのでちょっと緊張しそうだが、今から思い悩んでもしかたないので、緊張するのは収録の当日になったらしようと思う。
梅雨らしくしっかりした雨が降っているので、ちょっと集中して、スープのメニューをがんばって決めてしまおう。
今、かぼちゃのカレースープを作ってみました。おいしくできた。
最後にピーナッツバターをちょっと加えるとコクが出て、夜食にぴったしだ。
夜ごはんは、塩鮭、キャベツとにんじんとアスパラ(缶詰めの白いやつ。子供の時にご馳走だったから、今でも私にはご馳走)のサラダ自家製マヨネーズ、かぼちゃのポクポク煮、麩とねぎの味噌汁、玄米。
夜、西田敏行のドラマを見て泣いてしまった。
「吾郎さんにあげるもの、何もなくてごめんなさい。だから言葉だけ。きたない字でごめんなさい」という手紙のところで、ボロボロと泣いた。
さーて、明日からは試作の日々に突入だ。

●2003年6月17日(火)雨のち曇り

テレビの打ちあわせ。
じめじめするし、蚊が出てきたし、なんとなく血圧が低いみたいでボーッとしていたが、 テレビの人たちが来たら、どんどん元気になっていった。
そして、さくさくとメニューが決まってゆきました。
ゆうべの夢は、忠告の夢だった気がする。
江藤淳さんが亡くなった後、一般読者の投書をまとめた本を、ゆうべ寝る前にちょっと読んだからかもしれない。
江藤さんは脳梗塞を患って、それが辛いから自殺するなんて、私ら同じ病を患っても頑張って生きているのに、許せない気持ちです。その辛さを生きながら、人生の示唆のようなものを書いて私たちに伝えてくれるのが作家ではないか・・とか、私は何度も自殺を考えたし、実行もしたけれど、今は頑張って生きている。自殺をしたら人に迷惑をかけるのだから、江藤さんが自殺したのは許せない、とか・・・。
たとえば、とても身近な親族が「私たちに面倒をかけて、江藤は許せない」と言うのなら、私は分かる気がする。
まったくの他人が、許せないというのは、いったいどういうことなのだろう。
自殺自体を許せないというのなら分かるけど。
というか、公に立つというのがどういうことなのか、ちょっと考えさせられた気がする。
それで、違う考え方の人々に取り囲まれた夢をみたのだ。
怖かったけれど、夢の中で私はすごく納得した。
夕方、りうを誘って「のらぼう」に行った。
その前にアパートを訪ねたが、なんかいい感じでした。
けっこう片付いていたし、小さいキッチンにはナンプラーなんかもおいてあって、どうやらたまには料理もしている様子。
窓の下に川が流れているので、とぎれなく川の音がしている。
眠る時なんか、いいだろうな〜。
6畳ひと間に、1畳くらいのキッチンとトイレ。キッチンの窓の下は川。
ここに住めと言われたら、けっこう私は喜んで住むと思う。
「のらぼう」は、おいしかった。
茄子の露地ものがお初だそうで、厚めに切って軽く塩でもみ、みょうがと合わせてポン酢をほんのちょっとかけたのが、すんごくおいしかった。
りうとひざびさに飲んだが、りうの言うことはどんなことでもぜんぶ正しいような、全肯定のような気持ちになった。
すんごく貧乏だけど、いろんなことを体当たりで、けっこう悩みながらもやっているらしいりうは、けっきょくはやったこと全部が自分にふりかかってくるのだから、どんなことをしてもそれでいいと思うのだ。
ちょっと痩せたのが気になるけれど、あまりに疲れて、お腹がすいていても寝てしまうんだそうだが、それもまたりうらしい。
本当の母親だったら、「何やってんのアンタ。ごはん食べないとだめじゃない!」とか怒るんだろうな。それもまた理不尽でいいんだがな・・、なんて思いながら自転車をこいで帰ってきました。
夜中の道はくちなしの香り、風呂の湯を上げた匂い。
たぶん梅雨でじめじめするから、どこかの家でお香をたいているようないい匂いもしていた。

●2003年6月16日(月)曇り、時々雨

1時からインタビュー。
私の選んだ10冊の絵本についていろいろ喋った。
料理とは関係のない取材なのに、なぜかとちゅうで蕪の塩もみやら、きゅうりと食欲味噌をお出しする私。
田舎のお茶うけみたいだった。
終わってから図書館へ。
絵本のコーナーに、ボクがいた。
ボクというのは、「帰ってからお腹がすいてもいいように・・・」の中にも出てくるボクだ。体は大人なんだけど、子供のボク。
いつもリュックサックをしょって、口の端に泡をたてながら、ひとりごとを言っているいるボクだ。
今日もまた、大きな声で本を読んでいました。
というか、「やまぐちももえさんが」とか、「きたじまさぶろうさんが」とかってくり返し言っていたから、字を読んでいるんではなかったかも。
図書館じゅうに聞こえる大声で、「かわいいね、このこもかわいいね、みんなかわいいね、アハハハ」と、絵本を見ながらの感想も発言していた。
図書館の係の人も、まわりにいる人も、けっこううるさいだろうに、誰ひとりいやな顔をせずに本を読んだり、昼寝したりしている。
ここはいい図書館だなと思う。
夜ごはんはハンバーグ。洋食屋さんのようにつけ合わせも、粉吹き芋とにんじんのグラッセだ。それと、いんげんのおかか炒め(ゆうべの残り)、大根の味噌汁、玄米。

●2003年6月15日(日)曇り、時々微妙な雨

梅雨なのに、こんなんで大丈夫なんだろうかというくらいの微妙な雨。
過ごしやすくて助かるけれど、雨不足に今年も泣かされるのでは。
新潟の、棚田のため池のことをまっすぐに想像してしまう。
朝から掃除や買い物、そして朝ごはん(12時だけど)をスイセイとゆっくり食べる。
1時からは3組の教室。
梅干しを漬ける予定で、昨日あちこちの八百屋さんを見てまわったのだが、どうやらまだ時期が早すぎるみたい。黄色く熟した南高梅を捜していたんです。
近所の八百屋さんでおいしそうな小さいトマトをみつけたので、急きょトマトピクルスを作ることにした。ひとつかじってみたら、甘くておいしいかった。
最近のトマトって、小粒の方が実がしまっておいしいような気がするが、どうなんだろう。
昨夜作っておいた、杏のシロップ煮をソーダで割って皆に出してみたら、すごい好評でした。「初めての味です!」と言われた。
確かに、果物屋さんに売っているんでなく、木になっている果物っていう味がした。
酸味も渋味も甘味もいい具合に混じり、フレッシュな味わいだった。
もしも、家に杏の木がある人はぜひやってみてほしいです。
砂糖2に水1くらいの割合で煮溶かし、種ごと半分に切った杏(種にさわるまで切り込みを入れ、キュッとひねると半分にできます。アボガドと同じ要領で)を入れて、ちょっと崩れるまで煮る。種は煮てから取り除く。
これをグラスに入れ、氷とソーダで割るだけです。
皆が帰ってから図書館に行こうと思ったら、ちょうど5時。日曜日は早く閉まるのを忘れていた。
せっかく気持ちのいい夕方なので、ローソンまで散歩。
切手を買うだけなんだけど、てくてく歩いた。
帰りに無人野菜のところで小松菜を買う。
いちおう無人なんだけど、ここはいつもじいさんとばあさんが縁側に座っていて、買おうとするとわざわざこっちに来て、にこにことお金を受け取ってくれる。
今日は、私がお金を入れようとしていたら、畑の方からじいさんがずんずん歩いてきたけど、チャリーンと入れたら、立ち止まってていねいに頭を下げてくださった。
夜ごはんは、その小松菜で、豚バラ、にんじんをにんにくナンプラー炒めにした。
あとは、こんにゃくの刺し身(普通の黒いこんにゃくを半分に切って、よくゆでて冷やしたものを薄く切る。わさび醤油もおいしいが、生姜醤油やにんにく醤油もうまい!)、いんげんのおかか炒め、えのきの味噌汁、玄米。

●2003年6月14日(土)曇りのち静かな雨

12時くらいから自転車であちこち買い物に出る。
とりあえず明るい曇りだが、向こうの空はとんでもなく灰色だ。
あの雲がこっちにきて雨になるのだろう。
ものすごい蒸し暑さなので、「あっちい〜〜!」と大学生が怒ったように叫んでいた。
尋常でなく蒸し暑く、ぽーっとしてしまうほど。
私もクリーニング屋のおばちゃんに、「あっついですね〜」と声をかけた。
首にタオルを巻いて、アイロンかけをしているおばちゃんはもっと暑いはず。
道を歩いている、長そで、長ズボンの人は、皴になって体にはりついていた。
帰ってから冷麺を作ってスイセイと食べ、今日もまたベランダの掃除。
すのこに青かびが出てきていたのを、ゴシゴシこすって落とした。
台所の金ダワシが大活躍で、水を流しながらどんどんこすっていった。
見違えるようにきれいになりました。白木の地が出て、すっかり明るくなった。
そして、細かい雨が降り出しました。
私は調子にのって、白花ゆうがおの植え替えまでした。
つるがそろそろ巻いてきていたので、竹串をつないで長くしてさした。
雨上がり、ゆうがおは葉っぱをゆらして気持ちよさげにしている。
新しょうがを買ってきていたので、「ガリ」を作った。初めて作った。
できるだけ薄く薄く切り、でこぼこした残りのこぶを刻んで、食欲味噌も作った。
食欲味噌には、新潟でいただいた浅葱の根のらっきょうみたいなのも刻んで入れた。
今は、杏の実をシロップで煮ているところ。
おいしくできたら、明日教室の皆に食べさせよう。
夕方スイセイが、「今日は30度だったんと」と教えてくれた。
けど今は風が吹いて、クーラーをつけているみたいに涼しい。
夜ご飯は、鯵の干物、もずく酢、大根と生ハムのサラダ、とろろ芋(スイセイだけ)、ぜんまい煮とねまがり筍(ゆうべの残り)、麩とねぎの味噌汁、玄米。

●2003年6月13日(金)晴れだがすぐに雨っぽくなる

午前中晴れ間が出ていたので洗濯したり、布団を干していたのに、天気雨だ。
けど、雨期のバリ島みたいでけっこう気持ちいい。
ファンの方から送っていただいたCDを、ゆうべからずっと聞いている。
ゆうべ編集のミキちゃんが来たので聞かせたら、気に入ったようすでした。
「マーガレットズロース」の「こんぺいとう」というアルバム。
ぜんぜん知らない子たちだったけど、今は急に身近になった。
顔まで目に浮かぶ。ボーカルの声がすごくいいし、詩もいい。
窓の下では今、金木犀の大木の、下の方の枝をおじさんが剪定している。
秋に満開になる時、こんもりと丸くそろっているのは、おじさんのおかげだったんだ。
午後からはベランダの大掃除をスイセイとやる。
今日はすのこを持ち上げて、下をきれいに掃除した。
水をまいてたわしでこすったりして、プール掃除の気分。
すっかり終わってから、腰に手を当て、3本の木を眺めながらビールを飲んだ。
夕方からは、次の仕事のメニューをポワンと考える。
スープがたくさんと、テレビのメニューだ。
打ちあわせまでにはまだ時間があるので、けっこうのんびり遊びながら考えた。
夜ごはんは、お蕎麦。そして、新潟でもらったぜんまい(ゆうべからもどしていたのです)とねまがり筍を別々に煮含めた。
これだけだと素朴すぎるので、ゴーヤ、ピメント、豚肉、にらの炒め物。唐突にオイスターソース味にしてしっまったが、スイセイは喜んで全部食べてくれました。

●2003年6月12日(木)さわやかな雨

ものすごくたっぷり眠った感じで、10時に起きました。
クウクウで働いていた頃は完全夜型だったので、1時に起きて3時から仕事、そして夜中の1時に帰って来るという生活でした。そして明け方寝るという・・。
けっこう最近は、朝方にシフトしつつあるようで快適です。
今日は、天気雨とまではいかないけれど、灰色でなく白く明るい空から降ってくる雨だ。
雨の日に爽やかなんて変かもしれんが、空気を濡らすくらいの細かい雨なので、軽やかなんです。けっこういい気分。
朝ご飯をしっかり食べて、午後からは原稿書き。
絵本ソムリエという、好きな絵本を10冊選ぶ仕事がきているので、本棚を改めて眺めてみる。やっぱり木葉井さんのは圧巻でした。
「かぼちゃありがとう」「おおきいそら」「みずまき」を、どんどん読み直し、ちょっと泣きそうになった。いつも私は同じ場面で泣きそうになる。
5時くらいに、原稿を郵送するんでてくてく歩いてローソンへ。
ここのローソンは、ちょっと田舎っぽく好きなんです。
近所のばあちゃんとかよく来ていて、今日も「これは白パンて言うんかい?はちみつつけたらおいしいかねぇ」なんて、レジの若いおにいさんに聞いていた。
若い娘さんが、お祝いのお金を包む封筒(何ていうのか忘れた)を選びきれなくて、豪華なのとそうでないのとどちらが正式なのか、おじさんに相談したりもしていた。
私も、宅急便はいつもここにお願いしている。
なんか、せかせかしてなくていいんです。
小雨の降る中、自転車を立ちこぎした小学生の女の子が、「今日、カレーパンだったんだよー」。前を走るお母さんは「うわぁいいわねー、持って帰って来れなかったのー?」なんて大声で答えていた。給食のことだ。
夕方のいい景色。
今日はどこにも出掛けずに、誰にも会わないで本でも読んでいようかと昨夜は思っていたが、どうやら私は元気みたい。
その足で図書館に行って、10冊借りてきました。
夜ごはんは、陳さんの辛い辛い麻婆豆腐、枝豆、万能ねぎが干からびかけていたのでざくざく切って、小松菜とゆでてみた。そして塩、こしょうに太白の白ごま油で和えた。
オクラとみょうがの生卵かけ、大根の味噌汁、玄米。
辛いのはけっこう苦手な私だが、麻婆豆腐だけは例外だ。
山椒もたっぷりきかせてある。
ヒーヒー言いながら、ご飯にかけて食べるのが好き。

●2003年6月11日(水)曇り、夜になって雨

どんよりと曇っているけど、新聞を見ると明日もあさっても雨マークなので、今のうちにと思い切って洗濯した。
午前中のうちに、撮影用の仕入れにスーパーへ。
「入ったんだってねー」「え?いつから」「昨日だってよ」 と、おばちゃんたちが言い合っている。梅雨のことらしい。
最近テレビも新聞も見てなかったから、私は知らなかった。どうりで雨マークだ。
スーパーの自動ドアを出たら、むわーっとした空気。
この蒸し暑さは、沖縄をぐっと思い出す。あー沖縄、行きてぇだべさ。
12時から撮影。
3時半に終わり、すぐに打ちあわせ。その後は、たまったゲラの直しにあけくれる。
夕方、どうしょうもなく眠くなったので、スイセイと昼寝。
夜ごはんは、撮影の残りオンパレードでした。
今日は、ヨーグルト特集だったので、肉や魚や炊込みごはんまで、ぜんぶヨーグルト味。
デザートが、これまったフローズンヨーグルト。
けど、スイセイは文句を言わずに食べてくれた。
風呂上がりに窓を全開にして、いつものようにふーっと深呼吸。
ヒタヒタと雨が降って、3本の木を濡らしている。
木は喜んでいるように見える。
裸のまま、こんな風に窓を開けっぴろげにして、のびのびすることができるのなら、私はどんな風になっても(たとえば仕事がなくなって、すごい貧乏になったとしても)いいや、なんて思った。
明日は、けっこうたっぷりした雨がいち日中降るそうだ。
どこにも出掛けずに、誰にも会わずに、じっくりと原稿書きに励もう。
そして時間が余ったら、本を読みくさろう。



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