2007年5月中

●2007年5月20日(日)快晴

よく眠って10時に起きた。
ひさしぶりに、くっきりと晴れました。
部屋干ししていた洗濯ものをベランダに出し、2回戦、3回戦の洗濯もやる。
スイセイの部屋の敷き物も干す。
パンパンとはたいていたら、細かい粉のような埃が、これでもかこれでもかと出てくる。
あまりにすごいのでマスクをしてやったが、鏡を見たら、髪の毛にうっすらと積もっていた。
ちょっとムカッとくる。
さ、私は自分のことをやろう。
あとで部屋中を掃除しよう。
試作もしよう。
雑巾がけをしていてふと見たら、ミニバラの蕾がひとつだけできていた。
うわーと思い、立ち上がってじっくり見る。
スイセイは、「和楽の生まれたてみたいじゃのう」と感心していた。
おチンチンのことです。
花が咲くのがすごい楽しみ。
あちこちスッキリきれいになり、『まる子』を見ながら、パリパリに乾いた大量の洗濯物をたたむ。
夜ごはんは、トンカツ(千キャベツ、トマト、ゆでスナップえんどう)、おから(干し椎茸、しめじ、蒟蒻、人参)、さしみ蒟蒻(おろしポン酢醤油)、ザーサイと卵のスープ、白いご飯。

●2007年5月19日(土)雨のち曇り

5時に目が覚めた。
布団の中で目をつぶっていても、どうせ眠れないので起きてしまう。
中国の間もずっとそうだったから、なかなかもとには戻らないのかな。
これが有名な時差ボケか。
まあ、昨夜は11時にはぐっすり寝てしまったので、よしとする。
朝は晴れていたので、たまっていた洗濯をたっぷりやったが、そのうち雲行きがあやしくなってきた。
ポツポツと、雨だ。
仕方がないので部屋干しし、スーツケースの中身を片づける。
書類やらメモも、どんどん整理した。
留守中にきていたメールの返事も送った。
映画のコメントも、やっと書き上げた。
朝ごはんもちゃんと食べた。
なんだか、自分の中にある泉が波立っている。
やる気のようなものが、ふつふつと昇ってきている。
さあ、いったい、これから何が始まるのでしょう。
それは、泉だけが知っている。
というわけで、12時までちょっと昼寝。
これから、食器のリース屋さんにヒラリンと出掛けてきます。
けっきょく、合羽橋にも行って、7時過ぎに帰ってきた。
大急ぎで夜ごはんの支度をする。
夜ごはんは、しめじ入りトマトソースのスパゲティ、サラダ(レタス、人参、ピーマン)。
今日はよく歩いたな。
足のつけ根がちょいと痛いくらい。

●2007年5月18日(金)曇り、東京は肌寒い

昨日の夕方、中国から帰ってきました。
空港からスイセイに電話したら、野菜炒めを失敗したというので、近所の蕎麦屋で待ち合わせ。
ビール4本とおいしい日本酒を2合。
例によって、つもる話をお互いに喋り合いながら。
冷や奴、板わさ、ほたるいかの沖漬け、天ぷらをつまみに飲んでいたら、すっかり満腹になってしまった。
温かいかけ蕎麦が食べたかったのに。
帰りの飛行機から見えた景色がものすごくて、機内食を食べそこねた。
せっかくおいしそうな和食で、お蕎麦もあったのに、ほとんど食べられなかった。
青い海がずっと続いていたところに、いきなり半島が見えてきた。
白い波や海岸線のギザギザまでくっきり。
濃い緑と薄い緑にみっしり彩られた山々が、モリモリと連なっている。
その間をへびのようにうねうね横たわる、光る河。
ぽっかりと浮かぶ雲と、雲の下の影。
ふらふらと切れ切れに浮かんでいる、おからのような雲もある。
山と山の間のへこみには、ガラスの欠片が集まって、チカチカと光っている。
人々は、ちょっとでも平地をみつけたら、そこを利用して田んぼや畑を作ったんだな。
集落を築き、寄り添ってこの空の下で暮しているんだな。
山々は豊かで大きく、それに抱かれるようにして、人間が作ったものが控えめにかわいらしくある。
だけど、本当にこの下で人々は暮しているのだろうか? と、ふと思ってしまう。
この世は、人の想像なんかには収まらない、はかりしれないものがある。
原爆のことをふと思い出す。
海の彼方は、薄いピンクのような、黄色なような。
あの境界線は宇宙なのだろうか。
でも、そんなに遠いところのような気がしない。
フラーッと飛んでゆけそうな気がする。
「長崎を、過ぎたところでございます」。
声が聞こえたので振り返ると、年増のスチュワーデスさんが、お盆を持ってニコニコと立っていた。
シャンパンを飲みながら、窓におでこをくっつけて続きを眺めていたら、何かがぶわーっと上がってきて、涙と鼻水の洪水になった。
機内食のナフキンは、ティッシュがわりに使わせていただいた。
たまたま天気がよくて、たまたま飛行機はずいぶん低いところを飛んでいた。
富士山の倍くらいの高さだろうか? 分からないけど。
そして、たまたまボックスのいちばん後ろの座席の窓側だったから、誰の目も気にせずに、思うぞんぶん見ることができた。
すべてが美しくてたまらなくって、なんか、(このまま死んでしまうことがあったとしても、それでも私はいいや)と思った。
そんな、ありがたい体験をした。
そういえば、死ぬことと生きることを、ぼんやりした頭で考えていることが、飛行機に乗っている時によくある。
前からそうだったけど、仕事でしょっちゅう乗るようになったんだから、慣れるものだと思っていた。
慣れないどころか、ますますひどくなっている感がある。
空の上での精神状態と、地上での精神状態との折り合いをつけるのに、回線をつなげ替える感じ。
その作業が、回を重ねるごとにややこしくなっているような感じがある。
表面では、皆と同じように平気な顔をしているけど、内側はけっこう混乱している。
空港で税関を通ったり、荷物を受け取ったりしているうちに、だんだん地上向きの頭に切り替わっていくような。
というわけで、今朝は12時まで寝て、お昼にかけ蕎麦を作った。
スーツケースの片づけもままならず、ぼんやりとした日。
広島のフミコさんから、留守中に嬉しい荷物が届いていた。
前に、「暮しの手帖」のご馳走のページに、フミコさんのことを書かせていただいた。
それを、お友だちが気づいて、フミコさんにコピーを送ってくれたそうだ。
私の方からお知らせするのもわざわざな気がしていたから、とてもありがたかった。
普段、しょっちゅうお会いできるわけではないけれど、心のどこかにフミコさんのことがあって、ふと思い出すたびに温かくなる。
離れているのに、そういう間柄でいられることが、とてもありがたいと思う。
離れているからこそなのかもしれないな、とも思う。
ところで、有里枝ちゃんの写真は、すごく良かった。
スイセイのことも、工作の作品も、こんな風に撮られた写真を初めて見た。
スイセイなんかガキ大将みたいにかわいく写っているし、パンクも混ざっている。
暗くじめっとしたのと、固いのと、明るく馬鹿みたいなのが、爆発的に同時にある。
有里枝ちゃんの目にはこんな風に見えるんだ。
そういえば、有里枝ちゃんとスイセイの目の形は似ていたな。
夜ごはんは、塩鮭、絹さや(フミコさんの畑の)の塩炒め、糸蒟蒻と牛肉の甘辛煮、牡蠣だし醤油の味つけ海苔、かつおふりかけ(共にフミコさんの)、大根の味噌汁、玄米。

●2007年5月17日(木)雨のち晴れ

■■■スイセイ留守ごはんX4・4日目■■■
今日の夜は家人ご帰還ゆえ片づけなどあり、張り切って過ごそうとまずコーヒーを沸かす。
そいでトーストを焼いたが、間違えて電子レンジモードだった。
しっかりと焦げたラスクができた。
いやー、焦げの苦味がなんとも。
そして南国の雨期(スコール)のような遠慮ない雨。そして晴れ間。
結局午後晴れ上がったので、陽が落ちる前に少しでも布団干し。
窓を開けて独身モードのこもった空気入れ替え。

夕方、家人から日本到着の報あり、近所のそば屋で待ち合わせ。
家人顔色良く、出張報告の華が咲く。
行きっぱなしを旅とは言わない。今回も無事に行って、帰ってきた。

朝ご飯:コーヒーと黒いラスク。
昼ご飯:何故かドレッシング入りのすっぱい野菜炒め、焼き鳥。
夜ご飯:そば屋で、そば以外のつまみ。冷奴とか、ホタルイカとか。飲酒少々。
■■■スイセイ留守ごはんX4・終わり■■■

●2007年5月16日(水)曇り

■■■スイセイ留守ごはんX4・3日目■■■
今朝は宅急便で起きた。
文子さんの荷物が早速届いた。
ふりかけ、味付け海苔、グリーンピース、さやえんどう、たまねぎ、生菓子、干し柿。
たまねぎをくるんだ紙には、「ほら もうたべられると、けさのはたけで」と書いてある。
うちの上空に文子さんがふわふわといるような。
もう人の範囲を超えてるような。

朝ご飯:プレーンスパゲッティ。
夜ご飯:食パン。

●2007年5月15日(火)曇り

■■■スイセイ留守ごはんX4・2日目■■■
今朝は電話で起きた。
久しぶりに広島の文子さんだ。
文子さんはむかし通っていた版画工房の大家さんで、よくご飯をごちそうになった。
自前の畑のものが、よく食卓に並んでいた。
豆を送ると言う。
ありがとうございます。
日なたに干した藁のような声だ。
寝ぼけた頭に声の心地よさがいつまでも、残った。

午後、珍しくおれに来客。
ゆりえちゃんにおれのファイルを見てもらいながら、だらだらと過ごす。
彼女とは、まだ絶対時間数が足りないせいか、話がとりとめなく続く。
話題が立ち上がっては別の話題に持って行かれ、の連続でまとまらない。
まー、まとめる理由もないのでほっとく。
お土産のケーキはあっという間、ボトルの茶を何回もおかわりし(おれ)、ぎりぎりの時間に急いで帰った。
はたしてどういう関係か。
まー、決めることもないが、同じ列車に居合わせた。
こうしてリラックして話が続けばいいと思う。
ひょんな出合いなので、そのおもしろさがある。
目隠しをしたもの同士が知り合い、案外似ていることを確かめるような感じか。

夜、家人申し付けの「セクシーアンドなんとか」を録画する。
おれは「ガイアの夜明け」なので一度も見てないが、ずいぶん感情移入してるらしい。
それを鑑賞中は、とてもその場所に立ち入れない。
誰でもなにか本当に好きなものに向かうとき、他のひとは避けて道を開けてくれたり、助けてくれる。ように思う。
そういう約束がこの世にあると思う。
聖なる約束に従い、われビデオのボタンを押したもう。
家内安全を祈る。

朝ご飯:インスタントナポリタンソースをかけたスパゲッティ。
このソース、あまりお薦めできない。
昼ご飯:作り置きの煮物。
夜ご飯:作り置きの煮物、納豆、食パン。

●2007年5月14日(月)曇り

4時に起きたけど、やっぱり眠れなかったなー。
さーて、ではそろそろ行ってきます。
スイセイが、駅まで送ってくれるそう。
ありがたいことだ。
■■■スイセイ留守ごはんX4・1日目■■■
残念ながら駅まで送るつもりはなく、あたりをきょろきょろ見渡しながら歩き、2〜300メートルのところでうまくタクシーにみいを乗っけた。
例によって、みいは出張だ。
気分は落ち着いている。健やかに自分を過ごしたい。
郵便受けに「四月と十月」が届いてい、少しのつもりが読みふけてしまう。
まとまった文などめったに読まないのだが、珍しく6割は読んだ。
画家たちの真摯な表現レポート集だ。
特に編集長のアトリエ訪問の長文記事に感心。
対象をなめつくすように丁寧に履歴と心理を追い、作品の動機に迫っている。
蛇が自分よりでかい生き物を、時間をかけてじっくり飲み尽くす感じか。例えが悪いか。
作家たちの自己を見つめる態度。面白がる姿勢。
それらが自分に乗り移るよう念じた。

朝ご飯:インスタントやきそば。
昼ご飯:作り置きの黄色いご飯。
夜ご飯:作り置きの黄色いご飯。

●2007年5月13日(日)曇りのち晴れ

4時半に目が覚めてしまった。
昨夜は11時くらいに寝て、しかもよく眠れた。
でもまあ、早起きの癖をつけようと思い、5時半までウロウロして起き出した。
パジャマのままで、資料の整理やら、メモやらやる。
最近、母が送ってくれてからというもの、朝は新茶をいれるのにはまっている。
若緑で、今の季節になんてぴったりなお茶だろう。
おとといの撮影の時、思いついてヒラリンに新茶でふりかけを作ってもらった。
すり鉢で細かくすり、自然塩と合わせるだけ。
ヒラリンは、ちりめんじゃこといりごまを加えておにぎりにしてくれたんだけど、それが香り高くて、ほのかな苦味もあり、すごくおいしかった。
昨夜は、玄米ご飯にふりかけて食べた。
食欲のない時にぴったりかも。
こんど、新茶の茶飯もやってみたい。
けっきょく、頭がフラフラしてきたので2度寝。
午後からは、あちこち活発に動いて買い物へ。
風邪らしきものは、すっかり治ったみたい。
のどの痛みもなくなった。
夜ごはんは試作。
昨夜から浸けておいた、スペアリブのバーベキュー味を焼く予定。
スペアリブ(新じゃが、とうもろこし、トマトも焼いた)、サラダ(キャベツ、レタス、人参、ピーマン)、サフランライス。
今夜は早く寝よう。

●2007年5月12日(土)快晴

なんとなしに体が怠い。
けど、えいっと起きました。
なんだかんだとやることがあるので。
レシピを書いたり、買い物に行ったり、美容院に行ったり。
旅行前は、いつもジタバタしてしまう。
時々やってくる、後頭部のピリッとした頭痛が気になるなあ。
風邪じゃないといいんだけど。
でも、美容院から帰ってくる時、風がサワサワしてとても気持ちよかった。
自転車のタイヤに空気も入れたので(朝日新聞の玄関のところに、無料の空気入れがついたと美容師さんから教わった)、快適だった。
最近、物干しハンガーが出来てから(ステンレス製。スイセイ作)、うちの中に光がチラチラするようになった。
夕方など西陽が反射して、床や壁が水面のように光る。
夜ごはんは、鰹の刺し身(みょうが、青じそ、葱、にんにく醤油)、煮しめ(ちくわ、ごぼう、蓮根、蒟蒻、豆腐)、めかぶ(新もの)と生わかめの梅醤油和え、アスパラのサッと鍋蒸し、しらすおろし、きんちゃく茄子の漬け物、浅蜊の味噌汁、玄米。

●2007年5月11日(金)快晴、風強し

朝、起きた時にのどの端っこがピリッと痛いような気がして、酢水でうがいをする。
いい天気だけど、ものすごい突風が吹いている。
布団を干そうとしたら、掛け布団が風でめくれてしまうくらい。
そんな中、ひとり、またひとりと集まって、11時から「きょうの料理」撮影。
皆に会うのもひさびさだし、撮影自体がひさびさなので、とても楽しかった。
あいかわらず、婦人会のように和やかな集まり。
1時くらいに終わり、ヒラリンといろいろ打ち合わせ。
ヒラリンともちょっとひさしぶりだったので、お互いに近況報告もし合った。
4時くらいにいっしょに出て、ふたりして自転車をこぐ。
ヒラリンは喫茶店へ、私は「紀ノ国屋」へ。
夕方、萩原さんが『日々ごはんH』の色校正を持ってきてくださって、確認。
夏の光が集まっているような表紙で、すごくいい。
今回の瀬藤優さんは、胸がヒリヒリするような絵を何枚も描いてくださった。
あまりにたくさんあったので、直感で選ばせてもらったが、もう1枚、どうしても気になっている絵がある。
季節のことを考えて、今回の絵にさせてもらったけれど。
手に絵の具をつけて、描くのだそう。
だからか、1枚1枚がとても大きいのです。
萩原さんが帰って、ぜんぶ終わったら、後頭部のつけ根あたりがチーンと痛くなる。
のどもちょっと痛いし、もしや風邪?。
夜ごはんは、チキンドリア(鶏むね肉、玉葱、人参、ピーマン、玄米、パルメザンチーズ、ハーブパン粉)、コールスロー。
早めに風呂に入ってたっぷり温まり、風邪薬を飲んで、首にタオルを巻いて寝る。



日々ごはんへ めにうへ