2003年2月中

●2003年2月20日(木)曇り時々晴れ、風は冷たい

天気予報は大幅にはずれた。雨か雪と言っていたが、けっこう晴れているではないか。
なので今日の私はちょっと活動的。郵便局と図書館へ昼間のうちに行って来ました。帰ってから、大家さんに本をプレゼントし、部屋の中まで上がって見せてもらいました。家の大家さんは、ステンドグラスの先生をやっていらっしゃる。なんと、半地下室まであって、そこがアトリエになっていました。同じ建物の1階が、こんな間取りになっているとは。窓から塀と地面が見えるなんて。
夕方からはインタビューで、「のらぼう」へ。料理研究家の行きつけの店というページ。私は調子にのってがんがん料理をたのみ、率先してパクパクと食べました。それで、ビールを2杯飲み、焼酎を1杯飲んだだけだというのに、いきなりぐっと気分が悪くなり、腹をくだしてしまった。トイレから出て鏡に写った私の顔は、蒼白。
情けないです。インタビューはもう終わっていたからいいけれど、いちおうは仕事中だ。初めて会う方々だったし、緊張したのだろうか・・ 仕事が終わったら、ひとり閉店まで飲もうという計画はあっけなくつぶれ、あったかいお茶を飲んで、さっさとタクシーで帰って来ました。そして即布団に入り。腹の上に温泉枕をのせて寝た。
それはそうと、今朝、ばななさんの日記を読みました。赤ん坊が生まれるその日まで、日記を書き続けるとは!!さすがはばななさんだ。根性すわってるな〜。しかもドキュメンタリーみたいに、第三者みたいに、痛さの感じなど書いていて、笑えるように書いてあって、だけどけっこう私はじーんときた。じーんときて、なんだか元気になってきた。だからかも。私はお調子もんだから、すぐそうやって元気になり、今日は張り切りすぎたんだと思う。

●2003年2月19日(水)快晴だが風は冷たい

洗濯、布団も干し、陽の当たる畳の部屋で、次の本についての作業。電気ストーブをつけ、座布団をしいて。
メニューを考えたり伝えたいことをぼんやり考えたりしていくうちに、こんどの本が言いたがっていることが、だんだん聞こえてきた。ばらばらに散らばった糸の端が、おおざっぱにだけど、ひとつに束ねられた感じだ。これでもうだいじょうぶ。
夕方からは実際にメニューを考え、気が散るとベランダに出てみたりした。
「ツクピー、ツクピー」と、澄んだ大きな声が聞こえるんだが、姿は見えず。
鳴き声のする方をじーっと見て、やっとみつけました。裸になった高い木のいちばん上に一羽だけが小さくとまっている。双眼鏡でのぞくと、ほっぺたが白く、ずずめより小さくかわいらしい子が、くちばしを開けて鳴いていた。やっぱり、シジュウカラでした。
夜は、このあいだの撮影のレシピの書き。
夜ごはんは、チキンカツ(卵がなかったので牛乳をつなぎにしてみたんだが、ちゃんとできた)キャベツときゅうりとクレソン添え、厚揚げと三つ葉の味噌汁、玄米、たらこ、青じそのしょうゆ漬け。

●2003年2月18日(火)曇りのち雨

なんと4時まで寝てしまった。雨っぽい日って、私は眠りに誘われる。
風呂に入って気持ちをひきしめ、次の本のメニュー案を書きだしてゆく。トリガラスープを煮出しながらだ。きのうの撮影で、くず野菜がたくさん出たので。
今回は季節感をとり入れた本なので、去年の「日々ごはん」を読み返して、何をいつ頃作っているか、旬のものなど書き出していたら、もう11時を過ぎてしまいました。
今夜、スイセイは飲み会なのでりうとふたりのごはんだ。
スープにはソーセージ、じゃが芋、キャベツ、にんじんを入れた。納豆も食べたいので、スープは味噌味にする予定だ。

●2003年2月17日(月)さわやかな晴れ

朝、7時半に目覚めてしまい、8時半に起きました。なんでこんなに早起きかというと、撮影だからだ。今日は、きのうさぼった分、仕入れにも行かなければならないので。
朝っぱらから掃除、洗濯なんかしていたら、くらーっと眩暈がする。私は、ほんと午前中がだめなんです。けれど、今朝初めてうぐいすの鳴き声を聞くことができた。姿は見えなかったが。
12時から撮影スタートだったが、けっこう品数があって、5時までかかってしまった。
夕方、カメラマンの白根さんに、「大きなお世話かもしれませんが、布団入れなくてもだいじょうぶですか?」と言われ、ちょっと恥ずかしかったが、撮影中でもブラジャーやパンツなど平気で干しているのだからしょうがない。
ひさしぶりにママヨシコちゃんに会い、クウクウにご飯を食べに行く。
「トルコの長いパン」に「ベルギー風ソーセージ」と、「季節サラダ」の野菜をはさんで食べたら、すごいおいしく満足した。赤ワインにもバッチリでした。

●2003年2月16日(日)雨

ゆうべはマヤ・マックスさんのことを考えながら寝たので、夢をみた。
空に、絵が映し出されるという展覧会の夢。空は雲でいっぱいに覆われていて、コンクリートの建物の屋上みたいな所に寝そべって、マヤさんの黒白の絵を皆で眺めた。なんか、じんわりと良い気分になっていくような感じでした。
そして、延々と5時まで寝てしまった。雨の音を聞きながらだ。
起きて、サッポロ1番塩ラーメンを食べようとしたが、すでにスイセイに食べられてしまっていた。
夜ごはんは、豚肉、しいたけ、長ねぎの煮込みうどんと、ほうれん草のおひたし。

●2003年2月15日(土)快晴

スイセイと4時には家を出て、中野の「カルマ」へ。
ここは私の実家のような店なので、本を届けに行ってきました。そして2号店の「ウナ・カメラ・リベラ」へも、ちらっと寄った。
今日の最終目的地は「多楽」。広島からスイセイの友だちの平賀さんが上京してきているので、飲み会なんです。私の他は、男ばっかり3人だ。
男同士の飲み会って、際限なく食べ物の話とかして、グラスが空になったら、4つ並べて焼酎を作り(いつも同じひとがやってくれる)、ほとんどつまみなんか食べずに、ただひたすら飲む、という感じ。私もしっかりついていきました。ときどきは、「もう食べ物の話はやめよー」などと、ちゃちゃを入れながら。
11時半にはお開きになり、吉祥寺のらんぷ亭で牛丼を食べ、てくてく歩いて帰って来ました。見たいテレビがあったので。
NHKの「美と出会あう」の再放送。カメラマンのHさんは、年をとったなーという感想だ。被写体の周りにオーラのようなものが感じるから撮る、というようなことを言っていたが、今さらそれを言っちゃあおしまいだろうが。前からそんなに興味はなかったが、また格段と品格というものが落ちたな、私の中で。
マヤ・マックスさんは、かっこよかった。最近私は、しゃべり場でマックスさんを見て以来、すごいファンだ。彼女は、何かをわきまえている。アーチストとしての自分を?世界を?だろうか。マヤさんは、画家の有元利雄さんにすごく影響されて絵を書き始めたそうだ。その頃描いた絵が写ったが、今の絵とまったく違って、有元さんにそっくりな画風だった。自意識ばっかり強くて最高に落ち込んでいた時に、自分のだめな理由というのが二つ見えてきたそうだ。「ひとつは、自分の絵が描けていないということ。もうひとつは金がないということ。」だから、朝、ビルの掃除の仕事をすることにした。掃除の仕事をすれば暮らしていけるし、あとはいち日中ずっと絵を描いていられるから。そして、つい4年前まで掃除の仕事は続けていたそう。
彼女の絵と、絵を描いている姿がすべてなんだけど、インタビューの答え方も、自分の中心から出てくる思いに忠実に、ただ言葉を選んで語っているだけだ。よそからどう見えるかとか、周りから見て自分の立場は?みたいなことは、いっさい頭にないことになっている。絵キチガイは絵キチガイのまんまでいいのだ。マヤさんは、よそと比べないから、まったく狂いがないと思う。Hさんと比べるのも変だが、彼は自分は写真キチガイなんですと、わざわざ言葉で発表してしまっている気がする。

●2003年2月14日(金)快晴

銀色さんの「ぶつかり体験記」、ゆうべ布団の中で読んだのだが、催眠術のおじさんのところで、我慢できない笑いがブハッと何度も爆発してしまった。あれを読んで笑わない人っているんだろうか。私は銀色さんのミーハー度がすごく好き。そして、人を簡単に信用しないいじわるなところなどは、尊敬というか、憧れを感じる。カッコイイ・・・ 出掛ける前にレシピ書きの続きをやり、2時から打ちあわせ。吉祥寺の「ボア」だ。
素敵な店だなー、何度行っても。レトロとか言われているらしいが、ただ、昔から何も考えずにずっと同じことをやってるだけって感じがするところが良い。カフェブーム(?)だから今どきの若いもんも来るけど、ふつうにおばちゃんがおしゃれして待ちあわせして、クリームあんみつとか食べている。ざまーみろっていう感じだ。
クウクウに寄ってハーブティーなんか飲んでいたら、今日が本の発売だというのを皆ちゃんと知っていて、「買ったよー」とか「おめでとうございまーす」とか、口々に言ってくれる。くーっ、私はこういうのがいちばん嬉しい。長屋のつき合いっていうか、身内っていうかなんていうか。
帰ってから、中島らもといしいしんじさんの対談集「その辺の問題」をいっ気に読む。らもさんは前から崩れ度が男前!と思っていたが、いしいさんもこんなに男っぽい人だと思わなかった。素敵だ。まずい料理をほめるところなど、ロマンチックでかっこいい。
夜ごはんは、試作大会だった。発売前の雑誌なので、メニューは秘密だが。
そう、私は最近元気なんです。夜は1時か2時には寝て、ちゃんと午前中に起きる生活だ。いつまで続くか分かりませんが。

●2003年2月13日(木)快晴

午後から2本分の打ちあわせ。
4時には終わったので、平積みになっているという噂の私の本を見に行く。
ありました、けっこう良い場所に・・ まるで授業参観に来た母親みたいな気持ち。見た目は地味な娘だけど、中身は真面目で素直で正直で、とっても良い娘なのよ。誰か、早くそれをつかんで開いてみて!開けばきっとすぐにわかるんだからっ。そして、読んでみて!と、柱の陰から見守った。
銀色さんの「ぶつかり体験記」を買って、もう1軒本屋をはしごして平積みを確認し、帰って来ました。
そして図書館に行き、10冊借りた。
夜ごはんは、毛ガニ、塩鮭、とろろ芋、ゆうべの残りの炒め物、玄米、わかめと卵のスープ。今夜も早く風呂に入って、布団の中で本を読もう。
そういえば、NHKの天気予報のおじさん、今夜は5回くらいとちっていた。何かあったんだろうか。しっかりとした七三分けの髪形で眼鏡もかけているのに、言っていることもお決まりのせりふなのに、喋りだけが納豆を食べた直後のような、なめらかでない感じだった。この間もこのおじさんは、明日は春のような気候ですと言う時、表情もせりふも普通なのだが、微妙に声に嬉しさがにじんでしまっていた。気になるなー、このおじさん。

●2003年2月12日(水)曇り、一時雪

ゆうべは何だったんだろう。
布団に入ったら猛烈にだるくて、節々が痛くて、すごい寝汗もかいていたから、てっきりインフルエンザの前ぶれか?と思った。寝ながら、まだ下書きなのに原稿出さなくてはいけんかー、うわーいやだなー、それは困ったなー、今やろうか、でも起きられないー、うーん。という感じでばったり倒れていた。
今朝は、スッキリだ。
おかげでみっちり原稿に入り込み、夕方には仕上げて送った。セーフ! 午後、ヒラリンと新井君が来た。
ヒラリンが実家から送ってきた里芋を、「これ、ねっとりしていておいしいんです。煮っころがして冷めたくらいが、またおいしいんですよね」と言いながらくれた。そういう時って、ほんのひと言おいしい説明をするだけで、ほんとうにおいしくなるものだと、今日つくづく思ったね、私は。
夕方のうちに甘辛く煮っころがしておいて、そして冷めてから夜ごはんで食べたんです。ねっとりして、ほんとうにおいしく、めずらしくスイセイもりうも残さずに食べてくれました。
それにしても、今日は電話がたくさんかかってきて、オフィス高山のようだった。レシピ書きもバリバリやり、12時には眠くなる健全な生活だ。
夜ごはんは、里芋の煮っころがし、ちんげん菜(ヒラリンより)としいたけと卵のザーサイ炒め、鯵の開き、玄米、豆腐と大根葉の味噌汁。たまにかつおだしの味噌汁って、料亭のようでおいしい。

●2003年2月11日(火) ずっと雨

昼過ぎからテレビの打ちあわせ。
本の紹介のホームページができた。すごくいいのができてうれしい。文章は自画自賛のようで恥ずかしいが、私が書いたんではないですから、まあ許してくださいな。
夕方、買い物へ。
今日は建国記念日なので、スーパーはけっこう混んでいた。
牛肉など買い込み、試作をいろいろ作る。
そして、原稿書き。
夜ごはんは、牛肉の味噌焼き、大根と青じその塩もみ、豆腐とふきのとうの味噌汁、ひじき、玄米。
ご飯を食べ終わって、大根の塩漬け、ふきのとう味噌を作りました。
今、まだ12時なんですが、猛烈に眠たい。風呂から上がったら、筋肉がすごくゆるんでしまい、日記も必死で書いている。なので今夜はもう寝ます。

日々ごはんへ  めにうへ