2007年9月下

●2007年9月30日(日)雨

ずっと雨。
そして、とても肌寒い。
そういえば、9月というのは、雨がけっこう多かったような気がする。
12時半までしっかり寝て起きた。
風呂にゆっくり浸かり、洗濯物を部屋干しし、朝ごはんを食べたのは2時だった。
これからやらねばならない仕事を整理したり、たまったゲラの校正をやったり。
本当は、『おかずとご飯の本』の校正もやりたいし、絵本の作業の続きもやりたいのだが。
もう、これ以上新しい仕事は入れるまい。
アッという間に6時。
『まる子』と『サザエさん』を見ながらながら、夜ごはんの支度。
畳の部屋はひんやりと暗くて、電気ストーブが恋しいくらいだった。
今気がついたのだが、考えてみれば、明日からもう10月なのだ。
夏の間から今まで超特急だったのは、きっといろんなことがあったからだろう。
唐突ですが、脚本家の木皿泉さんとの連載が始まります。
「リビングデザイン」という雑誌で、もともと木皿さんがエッセイの連載をしてらしたところに、10月10日発売予定の号から料理で参加することになったのです。
木皿さんのエッセイを読んで、湧いてくるイメージの料理を私が作ります。
1回目はすでに撮影も終わり、発売を待つばかり。
「リビングデザイン」は、本屋さんでは売っていません。
春夏秋冬の季節ごとに、会員になった方に配送されるそうです。
興味のある方は、ぜひともホームページをチェックしてみてください。
http://www.ozone.co.jp/books/index.html
夜ごはんは、ひじきの五目煮(蓮根、こんにゃく、人参)、茄子の醤油煮、砂肝の唐揚げ(白菜とレタスを下に敷いた)、大根と青じその味噌汁、納豆、玄米。
「ひさしぶりに醤油とか味噌のごはんになったのう」と、しみじみ言われる。
知らぬ間に、もうすっかり秋の食卓だ。

●2007年9月29日(土)降ったり止んだり

午前中は、ヒラリンのケイタリングの手伝い。
3時くらいに全部終わって、バタッと布団に倒れ込む。
夕方いちど目が覚めるが、まだまだいくらでも眠れる。
体の底から眠りの触手が伸びてきて、ずるずるとひきずり込まれる。
トイレに起きたついでにスイセイの部屋に寄り、その状態を訴える。
今夜の夜ごはんは、スイセイに作ってもらえることになった。
台所から、野菜を切る音が聞こえてくる。
それを遠くで聞きながらうつらうつらしていたら、甘ったるい気分になった。
夜ごはんは、スパゲティ(白菜とレタスのトマトソース)。
白菜が甘くて、とても優しい味。
見た目もきれいだし、すごくおいしかった。
白菜とトマトをじっくり煮込んで、レタスは歯ごたえと色を残すために、ちゃんと最後に加えたそう。
今までスイセイが作ってくれたごはんの中で、ベスト1だった。
白菜とトマトがこんなに合うとは、新しい発見だ。

●2007年9月28日(金)曇り

朝からゲラの確認。
3時に家を出て、「ギャラリーf'eve」へ。
その足で東急で買い物し、青山へ。
青山では、木村さん(カメラマン)のアシスタントをしていた安西ちゃんにバッタリ会って、道ばたで立ち話。
青山の用事を終え、大慌てで丹治君との打ち合わせ場所に向かう。
ぎりぎりだったのに加え、電車を乗り間違えて引き返し、駅に着いてからもちょっと迷った。
なんと、6時半の約束が7時20分に。
すっかりお待たせしてしまった。
丹治君との打ち合わせも長引き、アリヤマ事務所にもさらにお持たせしてしまった。
引き続いて打ち合わせ。
9時半にすべて終わり、「ともすけ食堂」にて、やっとごはんにありつけた。
ひとりでワインを飲みながら、じっくり味わいながら食べた。
ものすごくおいしかった。
ふー。
11時ごろ、郁子ちゃんがやって来た。
会いたい人に偶然会える喜びをかみしめながら、ワインで乾杯。
郁子ちゃんの顔を見、声を聞いているだけで嬉しいような感じだった。
ちょっとゆっくりした分、帰りの電車は終電のひとつ前で、ものすごく混んでいた。
私は途中から座ることができたけど、袖無しのOLさんが、バックごともみくちゃにされていて気の毒だった。
東京というところは、なんて慌ただしく混雑しているのだろう。
ひとりの人間にはどうしようもできない、都市ならではの仕組みのようなものに、体も頭も仕切られているような気分。
それは、自由の真反対。
私は、今日1日で13人の人に会い、会話した。
それだけでも目が回り、胸がドキドキしたのに、いったい世の中で働いている人たちは、どうやって日々を生きているのだろう。
満員電車で帰りつき、翌朝もまた早起きして、どんな風に気持ちを集中させて仕事に入るのだろう。
こんなに雑多な世の中、具合が悪くならない人の方がおかしいんではなかろうか、と思ってしまった。
私は、家でひとりの時間をたっぷり持たないと、きっと本など作れないだろう。
たくさん休まないと、集中することが私にはできない。
歳をとったったから、こんな風に感じるのだろうか。

●2007年9月27日(木)ぼんやりした晴れ

中国に行っている間、ミニバラに水をやってとお願いするのを忘れた。
ああ、せっかく蕾ができていたのに、かわいそうなことをした。
水をたっぷりあげ、枯れた葉っぱを切り落とし、元気な枝だけにする。
どうにか、これで持ち直してくれるといいんだけど。
今日は、あちこち掃除機をかけ、ぞうきん掛け。
連日の寝不足のせいで、時差ボケみたいになっている。
頭のまわりに綿が覆っているような。
夕方の教育テレビを見ながら、目をつぶってみる。
やらなければならない仕事はたまっているが、まあ、今日のところはゆっくりして、明日からまた頑張ろう。
買い物にも出掛けないつもり。
窓からは、ひんやりとした秋の風。
夜ごはんは、焼きそばライス、茄子のオイル焼き、冷やしトマト、昨夜の残りものいろいろ。

●2007年9月26日(水)曇りのち晴れ

昨夜、帰ってきました。
いつもの蕎麦屋でスイセイと待ち合わせ、軽くカンパイ。
板わさ、蕎麦がきの素揚げ、だし巻き卵をつまみに、留守中の出来事や、中国での話などなど。
北海道産の新蕎麦も、おいしくいただく。
今朝は、1時半までしっかり寝て起きた。
旅行中の洗濯物を洗ったり、布団を干したり。
大家さんのどんぐりの実が、赤茶色に色づき始めている。
金木犀は、まだ咲いてないらしい。
この5日の間に、陽の光はすっかり低く傾いて、秋の色合いになった。
このたびの中国もまたとても楽しく、刺激的だった。
でも、気持ちは時間と共に流れ、やみくもにドキドキしたり、惑わされたり、興奮状態になることはなかった。
海外での仕事って、自分のことを客観的に見られるような気がする。
ホテルの鏡に写る自分は、うちの鏡で見慣れている自分と違う。
鏡の中に、初めて見る自分がいる。
きっと、目が変わるんだと思う。
自分のことをあまり知らない人たちの中で仕事をするから、おのずと客観的な視点になるんだと思う。
そうなると、今まで自分だと思い込んでいた自分が壊れる。
旅にも似たところがある。
現地の人たちは、私が日本でどんな仕事をし、どんな暮らしをしているのかまったく知らない。
そこにいる体ごとの自分だけがありのままに見られ、判断される。
とても正当に。
高山なおみという料理家が、無意識にいつもぶら下げている、地位や名声のようなもの。そんなものは幻で、ちっちゃくて、何の役にも立たない。
それって、すごく自由な気がする。
世界は、もっともっとはかり知れない。
今回の中国は、その自由を楽しむことができた。
憧れの人たちと同じ現場で働けることを、素晴らしいとも、ありがたいとも、またまわりと比べて卑屈になることもなく、ただ一心に、そのただ中に参加していた。
強くもなく、弱くもなくそこにいて、その場所でやれることを出し切った。
自我にふり回されず、ただそこにいられた。
そうしたら、腹の中心から、太い声が出た。
夜ごはんは、鰹の刺し身(みょうが、青じそ、にんにく、貝割れ)、蓮根の厚切りきんぴら、砂肝の塩炒め、水菜のおひたし(梅干し、醤油、金ごま油)、ピーマンの中華前菜風(生のピーマンを細切りにし、中国醤油とごま油を合せて和えるだけ)、白いご飯、浅蜊の潮汁。

●2007年9月25日(火)晴れ

■■■スイセイ留守ごはんX7・5日目■■■
きょうは家人がご帰宅あそばすし、天気も上々。
早起きして、活動開始。
えーと、布団を干して掃除してと・・・。

朝ごはん:レーズンパン。
夜ごはん:蕎麦など(外食)。

●2007年9月24日(月)曇り、にわか雨

■■■スイセイ留守ごはんX7・4日目■■■
久しぶりに電車に乗って外出。
浅草橋とか、蔵前という地区を初めて歩く。
うちの方と比べると、なんとなくすき間だらけ。休日だからだろうか。
あの有名な隅田川の遊歩道を「はーるのおーうらーらーのー、すうみーだーがーわー」と口ずさむ。
あの有名な隅田川のホームレスも昼寝している。
この土地に引越してきたアノニマ・スタジオで所用。

朝ごはん:菓子パン、牛乳。
昼ごはん:カレーライス(外食)。
夜ごはん:かけそーめん、たらこ。

●2007年9月23日(日)全天曇り、涼しい

■■■スイセイ留守ごはんX7・3日目■■■
アノニマ・スタジオに頼まれていた用事をまとめる。

季節の変わり目だ。
季節だけでなくいろんなものが変わっていく。
物干しハンガーが壊れた。
そういう変化を、簡単に言うと見ることしかできない。
同じ状態はもう来ない。
ここにはもう来れない。
ここを旅立つ観光者のように思う。

朝ごはん:トマト3個と挽肉炒めルウのスパゲッティ。
夜ごはん:食パン、インスタントラーメン。

●2007年9月22日(土)快晴、残暑

■■■スイセイ留守ごはんX7・2日目■■■
頭をクリアにすべく、インスタントコーヒーをたくさん飲む。

小さい穴に、大きいものを通すことはできない。
朝ごはん:トマト。
昼ごはん:冷やしかけうどん。
夜ごはん:食パンにジャムとピーナツバター。

●2007年9月21日(金)晴れ

4時に起きる。
外はまだ真っ暗。
この時間て、まだ星が出ているんだな。
オリオン座がはっきり見えます。
例によって、また眠れなかった。
でも、まあ、バスと飛行機の中で眠ればいいや。
では、中国へ行ってきます。
■■■スイセイ留守ごはんX7・1日目■■■
残暑。
うちで独身になると時間が変わる。
時間の経ちかた、ようす。なにやら粘りを帯びてのたうってくる。
ちっとも理路整然、テンポよくとは行かない。
甘いゼリーのようなものが部屋中、頭中を占める。
だので、ところどころで無理にきっかけを作って用事が進むようにする。
朝のおやつ:こんぶ飴。
朝ごはん:冷たい味噌汁ぶっかけ玄米。
昼ごはん:甘食。
夜ごはん:山芋ざるうどん。



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