2007年2月中

●2007年2月20日(火)雨

昨夜はよく眠れなかった。
金曜日のこと(サン・アドの皆さんがうちに来て、昼間からパーティーをやる)を考えていたら、楽しすぎて。
もう何日も前からワクワクして、ああでもないこうでもないとメニューをいろいろ考えている。
昨日は、豚バラで塩豚を仕込んだ。
いつもより塩(石川県の藻塩を使ってみた)を多めにして、干し肉にしてから煮込もうかという予定。
今は大豆をゆでている。
ゆだったら、クリームチーズと合わせてディップを作る予定。
雨降りなので、今日はのんびりの日にしよう。
読書だ読書だ。『旅の終わりの音楽』だ。
夜ごはんは、黒豚スペアリブの塩焼き、サニーレタスと人参とクレソンのサラダ(柚子こしょうドレッシング)、わかめ(大船渡の)のさっと炒り、とろろ芋(スイ)、とろろ納豆(私)、菜の花の赤だし(おととしの味噌の発酵が進んで、赤だし味噌のようになった)、玄米。
黒豚スペアリブが珍しく、とてもおいしかったようで、スイセイはがっついていた。
昨日、塩豚といっしょに塩をまぶしておいて、フライパンで焼いたもの。

●2007年2月19日(月)快晴

ポッカポカ。
1時から打ち合わせ。
ひさしぶりに田中君にお会いした。
元気そうで、まずはそれがいちばん嬉しかった。
新しい本のアイデアが、ふたつポーンと上がってきた。
まだ、すぐには始められないけれど、とてもおもしろそう。
話しているうちからすでにイメージが湧いてきたけど、まだまとめずに、今は湧いてくるままに任せよう。
3時からはしおりちゃんが来た。
おいしそうな緑色のパン(ほうれん草入りだそう)とコーヒー豆をお土産で持ってきてくれた。
パンもコーヒーもちょうど切らしていたので、とても嬉しかった。
しおりちゃんは和楽のお迎えの時間がきたら、サッと立ち上がり、ササーッと帰っていった。
その素早さに、お母さんの愛の図太さを感じました。
夕方、「紀ノ国屋」へ買い物。
わりと薄着で出たら、木枯らしだった。
もうすっかり春のつもりだったけど、いくら昼間は暖かでも、夕方から夜はまだまだ冬なのだ。
ダウンジャケットはまだ必要と反省。
夜ごはんは、「すし萬」のお寿司2種(鯖の押し寿司とあなごの海苔巻き)、アスパラのフライパン焼き、小松菜のフライパン焼き、わかめとかき卵のおすまし。

●2007年2月18日(日)雨のち晴れ

外はいかにも天気が悪そうだし、静かだし、すっかり寝こけてしまった。
12時に起きました。
さめざめとした雨が降っていたけど、朝ごはんを食べているうちに、少しずつ晴れ間が出てきた。
明るくなって、すぐに暗くなったかと思うと、またパーッと明るくなる。
物干しハンガーのところにたまった水滴が、太陽に反射してピカピカ光っている。
よく見ると、細い雨も降っている。
天気雨だ!。
「東京マラソン」の人たちは、今ごろとても喜んで走っているだろうな。
私は、今日もまたファイル整理の続き。
空はみるみる晴れてきて、見逃せない。
窓を開けたり閉めたり、何度もベランダに出たりしながらやった。
雨で洗われた空気がとびきり透明で、こんな日はめったにないような気がしてしまう。
ハルも斜め上の方を見て、鼻をクンクンさせている。
夕方の空もまた素晴らしかったなあ。
上の方にすじ雲が大きく出て、西の雲はところどころ黄色に光っていた。
「東京マラソン」の人たちも、応援の人たちも、今日はビールがおいしいんではないかな。
スイセイは、やっと治ってきた様子。
体もハリハリと動き、元気がにじみ出てきているらしいのが、スイセイの部屋からはみ出してきていた。
夜ごはんは、ロールキャベツ(合いびき肉、玄米入り)、ゆで上げスパゲティ。
今夜のロールキャベツは、ふと思いついてオーブンで蒸し焼きにした。
ロールキャベツを焼き皿に並べ、この間の大豆ゆで汁のポタージュを1/3の高さまでまわしかけ、ちぎったバターをのせてオーブンで焼いた。
とちゅうからホイルをかぶせた。
表面においしそう焼き色がつき、御馳走感いっぱい。
私はものすごくおいしかったんだけど(3個食べた)、スイセイは(2個食べた)、中にご飯粒が入っているのが苦手なのだそう。
初めて知りました。
ご飯粒を少し入れると、肉汁を吸ってふっくらジューシーにできるのに。

●2007年2月17日(土)曇りのち雨

天気はぼんやりしているけど、私は元気。
今までやった仕事の、雑誌ファイルをぜんぶ出して、豆腐なら豆腐、もやしならもやしと、素材別に分けてみた。
ご飯ものとか、餃子、春巻きとか。
それが思いのほか楽しくて、夕方までやっていた。
夜ごはんは、塩鯖、大根おろし、ほうれん草と小松菜のおひたし(塩とごま油で和え、しらすのっけ)、大根と油揚げの煮物(昨夜のをあんかけにした)、わかめと葱の味噌汁、卵かけ玄米ごはん。
夜になって、しっとりとした雨。
布団の中で、『旅の終わりの音楽』の続きを読む。

●2007年2月16日(金)晴れ

風もなく、とても穏やかな日。
鳥がたくさん来ている。
低いところを滑空したり、交叉したりして、涼しい声で鳴きながら遊んでいる。
おととい、春一番が吹いたらしいけど、去年より20日も早いのだそう。
ということは、今日の気候は3月8日くらいということか。
スイセイは、体はまあまあ元気そうだけど、まだ咳が治らない様子。
校正を2本分やる。
ファックスを送ったり、電話でやりとりしたり。
夕方にはすべて終わって、教育テレビメドレー。
夜ごはんは、麻婆豆腐、大根と油揚げの煮物、干し大根(川原さんの九州土産)の味噌汁、玄米。
寝る前に、布団の中で読書。
丹治君が貸してくれた『旅の終わりの音楽』。
タイタニック号の沈没が始まっても演奏をやめなかったという、あの伝説の楽団の物語りです。
あまりに分厚い本なのでなかなか開くことができず、本棚に置きっぱなしになっていたのだけど、読み始めてみたら、どんどん引き込まれていくのを感じる。
言葉もフレーズも、沁み入るようにとても静かなのに、腹の底に響くような本だ。

●2007年2月15日(木)快晴、風強し

まっ青な空。
紺碧に近いくらいの。
この強い風が、雲を吹き飛ばしてしまうんだろうか。
ビュービューと吹き抜ける風の中、陽に当たりながら洗濯物を干すのは、とてもいい気持ち。
船の上のような、メキシコの坂の上(行ったことないけど昨夜の『世界ふれあい街歩き』で見た)のような。
今日は、昨夜から浸けておいた大豆をゆっくりゆでている。
大豆をゆでる時って、火をつけてから沸くまでの時間が待てなくて、つい強火にしてしまったりするけれど、今日は始めからちゃんと中火でやった。
アクが出始めたくらいで弱火に落としたら、まったく皮がはじけずに、大豆が気持ちよさそうな具合にゆだっている。
いい感じだ。
それは、今日の自分の状態にも似ているような気がする。
夕方の教育テレビメドレーを見ながら、すり鉢で大豆をトントンつぶす。
どんどんつぶす。
しかし今年の大豆は、ちょっと固めだった。
ゆで上がりを確かめる時、いちばん上の大豆はわりと柔らかめでも、中や下の方のはムラがあるみたい。
もうちょっとたっぷりめのお湯にして、とちゅうで軽く上下を返したらいいのかも。
固めだとつぶす時にたいへんだし、どうしても粒が残りすぎてしまう。
最後にゆで汁で柔らかさを加減するからいいけど。
さて、今年はどんな味噌ができるでしょう。
夜ごはんは、チンジャオロース、茄子のくたくた煮、大根と胡瓜の塩もみ(梅酢かけ)、みそポタージュ(大豆のゆで汁で)、玄米。
夜、布団の中で『アルケミスト』を読み終える。

●2007年2月14日(水)小雨

12時まで寝てしまった。
ひさびさの二日酔いで、頭も体もボーッとしている。
昨日、もしかしたらスイセイは飲みに行かないかもしれないと思って、牛丼と油揚げの味噌汁を用意しておいた。
それらを温め直し、朝ごはんにする。
原稿をコンビニに出しに行った時、けっこう外は寒かった。
ためしにハーッとやってみたら、ほんのり息が白い。
ひさしぶりに冬らしい日だ。
こういうダメダメの日に小雨が降っているのは、とても心が安まる。
帰ってからは、布団の中でひたすら読書。
昨日、病院で読み始めた『アルケミスト』が、今日の感じにちょうどいい。
しかしとちゅうでバタリと寝てしまい、7時まで曝睡。
お風呂にたっぷり入ったら、やっと今日が始まったようないつもの感じにもどったので、こうして日記を書いています。
昨日感じたことは、自分のこれからにとってとても大事だと思うので、忘れないうちにここに書いておきます。
スイセイは、「もし乳ガンじゃったら、日々ごはんに書いてほしいのう」と言っていたし、その時にはそうなるだろうなと、私もなんとなくそのつもりでした。
確かなことが分からずに悩むのがいちばんつまらないことだから、落ち込むのでも、受け止めるのでも、どちらにしても結果が分かってからにしようと思っていたし。
でも、中国に行っている間は夢中で動きながらも、帰ったら検査をすることがふと頭をよぎったり、もしも乳ガンだったら…と思ってしまったり。
そのたんびに、ちょっとだけ心がヒヤリとしていた。
けど、そうなったらそうなったで、先生のいうことを聞いて、病気を治すことに真面目になればいいことだからと、うっすらと覚悟もしていたような気がする。
でも昨日、目の前にマンモグラフィーの写真があって、「これがあなたの右胸、こちらが左胸です」と先生に説明された時、一瞬の間はとても緊張したけれど、どうもピンとこなかった。
ガンではないと言われた時、ホッとしたのも確かなのだけど、どういうわけだかその前から、自分の奥底では大丈夫なことが分かっていたような。
心当たりがないような。
心当たりというのは、じつは人間に備わった直感のひとつなんだと思ったのです。
だけど、それに反して、今年に入ってから仕事はどんな小さなものでもお断りしていた。
「チクタク」のことを集中してやろうと思っていたせいもあるけれど、どうも他の仕事をまったくやる気になれなかった。
それは今思えば、不安の表れだったんだなと思う。
スイセイと喧嘩したのも、そういうことかもしれない。
不安というのは、人間が本来持っている能力を煙に巻いてしまう。
今となっては、ガンでないことが分かったから、そう言えるのかもしれないけど、昨日が近づけば近づくほど、自分は大丈夫な気がしていた。
6階でお茶を飲んでいた時も、待ち合い室で本を読んでいた時も、慌てた気持ちがまったくなかった。
病院からスイセイにわざわざ電話をして、結果を知らせるほどの嬉しい気持ちも湧いてこなかった。
ただ、バスに乗って帰りながら、お尻のあたりから空気がシューッと抜けているような音がした。
針の先ほどの小さい穴から、ほんの少しずつ抜けていく感じ。
体が、もう一段階軽くなったような。
このバスの中での感じ、何十年か経って、ふと思い出したりするんだろうな。
夜ごはんは、塩鮭、ほうれん草と魚肉ソーセージ炒め、菜の花のおひたし(しらすのっけ)、白滝の煮物(牛丼の残りの汁で煮た)、油揚げと麩と葱の味噌汁、玄米。

●2007年2月13日(火)晴れ

バスに乗って病院へ。
12時の予約だったので、11時くらいに受け付けを済ませ、6階のカフェテリアでのんびりした。
大きな窓が目の前にある席に座って、景色を眺めながら、なめらかプリンとダージリンを飲んだ。
紅茶もプリンも、とてもおいしかった。
ここにいると、病院だというのを忘れてしまいそう。
細長く大きな窓ガラスに沿うようにテーブルがあって、ひとりずつ腰掛けられるようになっている。
窓の外には道路、団地や家々、ところどころに冬枯れた森や丘も見える。
隣では、痩せたおじいさんがサンドイッチを食べている。
12時までゆっくりして、待ち合い室へ。
持ってきた『アルケミスト』を読んでいるうちに、1時間半ほどで番がまわってきた。
前回、乳ガンの精密検査をしたので、その結果を聞きにきたのです。
去年の暮れに、市の検診でマンモグラフィーをやって、乳ガンの可能性があると言われた。
結果は、幸い乳ガンではありませんでした。
疑いがあったところは、1cmほどの水泡の固まりで、3ヶ月たってみてそのしこりが大きくなっていたり、痛みがあるようだったら、また診察にくるようにとのこと。
5時からは「チクタク」の打ち合わせ。
川原さん、丹治君、萩原さん(アノニマの新人さん)と。
話し合いは、なめらかな玉みたいにあちこちに転がってはじけ、いろんな展開が見えてきた。
このメンバーでやる必然性を、改めて強く感じました。
終わってから、近所のお店に皆でごはんを食べに行き、てくてく歩いて、川原さん、丹治君、スイセイと4人、「イラブチャー」でこたつのように丸くなった。
ビニールシートで囲われた「イラブチャー」にいると、宇宙船の中で宇宙を漂っているような気分になった。
船長はマスターのヒロ君(名前を初めて知りました)。
お腹が空いたら、狭いコックピットで何でも作って出してくれる。
チーズをカリカリに焼いたチーズせんべいとか、チキンのトムヤム風味焼き、梅キュウ、タコライスとか。
私は、大きなグラスに久米仙のシークワーサー割りを薄めに作ってもらって、何杯も何杯もおかわりした。
そのうちに、狭いお店がどんどん膨張して、音楽と一緒に広がっていくような感じになった。
ここは、本当に不思議な飲み屋だな。
3時くらいにタクシーで帰りつき、顔を洗ってすぐに寝た。

●2007年2月12日(月)快晴

夕方まで、ずーっと掃除をしていた。
押し入れの中とか、ひき出しとか。
古い化粧品や、昔、「クウクウ」時代に目に油が入った時にもらった目薬など、何年もとってあった物をどんどん捨てた。
床の隅っこの角まで、几帳面に拭いたりして。
昨夜は、寝る前に本を読んでもちっとも集中できず、イライラしてしまった。
スイセイとも喧嘩中。
それで、今日は一心になって掃除に励んだ。
スリッパを干しながらベランダからのぞくと、沈丁花の蕾ができている。
えんじ色のボタンみたいな蕾。
暗くなる前に全部の部屋の窓拭きをし、床にワックスも塗って、やっと終了。
夜ごはんは、ラムと牛蒡と菜の花のフライパン・パエリア、大根と胡瓜のサラダ、ソーセージと白菜のミルクスープ。
パエリアが、ぜんぜんおいしくできなかった。
なんか苦いのだ。
牛蒡も菜の花も、苦みだけがうまいこと出てしまったという感じ。
ちょっと加えたローズマリーも、苦味を手伝っている。
喧嘩しながら作ったからだ。
私はケチャップとタバスコを混ぜて、どうにかおいしく食べた。
スイセイは、何も言わずに食べていた。
「苦いでしょう?」と聞いても、「いいや、別に」。

●2007年2月11日(日)快晴

下の公園にも、道にも、誰も人がいない。
鳥もこない。
穏やかで、静かで、ポカポカな日曜日。
と思って下を見たら、ハルが腹ばいになっていた。
あごまでぺったりつけている。
首輪をしてないし、耳の先っぽが黒いし、タヌキみたい。
今朝の新聞によると、雪なし新記録が出たそうだ。
「東京都心は10日夜、雨が降ったものの、初雪にはならなかった。気象庁によると、統計が残る1876年以降、都心の初雪が最も遅かった1960年の2月10日を超え、雪なし新記録が、47年ぶりの記録更新となった」。
え?、雪?。
私は、もうとっくに3月くらいのつもりでいた。
昨日出掛けた時にも、白や濃いピンク梅の花が咲いていたし。
というわけで、今日は読書の日。
ベランダに出てあたりを眺めたり、マットや座ぶとんを干したり、ざるを干したりしながら。
夕方になって、あたりが黄色がかってきた時にも、わざわざベランダに出る。
裸の木々に、夕陽が当たっている。
夜ごはんは、剣先いかの一夜干し、鰺のみりん干し、だし巻き卵(しらす入り)、もやしと豆苗の炒めもの、納豆、わかめの味噌汁、玄米。
9時から『プラネットアース』の最終回なので、炒めもの以外を食卓に並べ、先に風呂に入ってしまう。



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