2007年12月上

●2007年12月10日(月)晴れ

いい天気。
たっぷり寝たので、とても気分がいい。
昨日は、いくら寝ても寝たりなくて、今日は川原さんのところで『チクタク』の作業だし、明日は撮影なのに、だいじょうぶなんだろうか… と思っていた。
体がくたびれると、弱気になる。
こういう疲れ方をするようになったのは、きっと歳のせいだと思う。
でも、こうやってたっぷり休んで充電すれば、また元気になるんだな。
さーて、洗濯物を干して、掃除機をかけ、納豆ご飯を食べたら、川原さんちに行こう。
行ってきました。
川原さんの家、とても気持ちがよかった。
ひさしぶりに行ったけど、部屋に入ったとたんに感じる、新しい清潔な空気。
建物は古いのに、不思議だなあ。
窓からたっぷり光が入ってくる。
大きな仕事机が窓際に置いてあり、色えんぴつやら紙の束やら、何でも揃っている。
そこに、ふたり並んで作業をした。
ストーブをつけなくても、陽の光だけでポカポカ暖かい。
昨夜は、『チクタク』のパソコン作業につい没頭し、朝の5時までやったそうだ。
そういう集中力が、いい風に詰った部屋だった。
ギューッと詰っているのではなく、ふわふわと温かく漂っていて、それに抱かれているような感じになる。
そんな中での作業は、とてもいい感じだった。
ふたりとも、1ページずつしっかり確認してから、次のページにいく。
時間が経過しても、ずっと安定した空気。
私は、一緒に作業する人にひきずられやすいのかもしれないなと気がついた。
本当は、川原さんと同じくらいに慎重で、じっくりと進んでゆく方なのだ。
ひとりでやる時はそうだもの。
いつもだったら、ひとりでないと集中できないのに、川原さんとだとふたりでも自分の中に入り込め、没頭することができるみたい。
新しい発見だった。
4時半くらいまでみっちりやって、帰ってきた。
たまには、他の場所に出掛けて行って仕事をするのも楽しいな。
川原さんちは、自転車をこいで、散歩気分で行ける。
夜ごはんは、コロッケ&串カツ&ポテトサラダ(川原さんちの近所の肉屋の)、ひじき煮、冷や奴(川原さんちの近所の豆腐屋さんの)、サラダ(キャベツ、人参、紫玉葱、サニーレタス)、ひたし黒豆、浅蜊の潮汁、玄米。

●2007年12月9日(日)晴れ

ひさしぶりに朝方帰ってきた。
昨夜はトークショーの後、打ち上げをしてもらったんだけど、飲み足りない私とスイセイは、アノニマの女の子2人を引き連れ、西荻で始発まで飲んだ。
いろんなことがとても嬉しく、ありがたい夜だった。
みどりちゃん、カッコよかったなー。
おかげで今日は二日酔い。
ずーっと寝たり起きたり。
トークショーのアンケートを読んでいて、涙がこぼれた。
私は、話しながら、(こんなことを話していて、皆、楽しんでくれているのかな?)と、ずっと気になっていた。
「皆さん、どんな話を聞いてみたいですか?」と、質問したいくらいだった。
こんなに喜んでもらえて、皆、私たちの話を自分の方にぐっと引き寄せて聞いてくださって、ああ、本当にやってよかったな。
前にサイン会で握手を求められた時、皆、同じくらいの弱い力で握ってくるのを、どうしてかな?と思っていた。
皆、遠慮しているのかな。
だから昨日は、握手をする時、私はひとりひとりにグーッと力を込めて握った。
こんな自分でよければ、私の全部をくれてやると思いながら。
そうしたら、反対に握り返してもらえたり、胸のドキドキや、涙がこみ上げてくるのを我慢していらっしゃる人の想いが私の方に流れてきた。
思えば、『おかずとご飯の本』も、同じ気持ちで作った。
今、枕元には、『おかずとご飯の本』が週間ベストテンに入った記録の写真が置いてある。
どこかの本屋さんでは1位、他は2位、もうひとつは3位。
アノニマ営業部の男の子が撮って、パネルにしてくれた。
力を結集し、がんばって作った本が、こうして皆さんに伝わり、はっきりとした結果が出てくることの不思議。
嬉しいのとありがたい気持ちが毛布に染み込んでいくのを感じながら、だらだらだらだらずっと寝ていた。
4時くらいに、ファンの方がくださった玄米餅で、スイセイが磯部巻きを作ってくれた。
それが、たまらなくおいしかった。
食べ終わって、また眠る。
夜ごはんは、ハンバーグ(コンビニの)、餃子(コンビニの)、蓮根きんぴら、ひじき煮、納豆、麩と葱の味噌汁、白いご飯。

●2007年12月8日(土)晴れのち曇り

大家さんのどんぐりの葉っぱは、ずいぶん赤茶色になった。
たまっていたゲラの校正を、一気にやってお送りする。
アイロンをかけたり、いろんな準備。
あっという間に4時になってしまった。
では、青山ブックセンターのトークショーに行ってきます。
みどりちゃんと対談です。
ちょっと緊張しているけど、みどりちゃんに会えるので、けっこう楽しみ。

●2007年12月7日(金)晴れ

原稿の続き。
ごはんも食べずにやっていて、3時くらいにクラッとくる。
大急ぎで朝ごはんを食べる。
やけに鼻がかゆいと思ったら、テーブルの下にほこりがたまっている。
なので、ひさしぶりにあちこち掃除機をかけた。
スイセイは、月にいちどの定期検診。
私はせっせと原稿の続きとレシピ書き。
5時前にひとりで走りにいく。
どうも足が重たいような気がしながら、気分も軽くならないなと思いながら、それでもいつものように5キロ走った。
スクワットをやっているうちに、太ももが筋肉痛になる。
やっぱり、少し無理をしたのだろうか。
走ると痛いので、大股歩きで帰ってくる。
いつもの団地群のところで、大きな欅の木がクリスマスツリーのようになっていた。
12階マンションの踊り場や通路の電灯が、欅の木から透けて見えるのだ。
最近あちこちで見かけるせせこましい電飾なんかより、ずっとダイナミックできれいだった。
これからは、微妙な体の変化や直感を大事にしなくてはと反省しながら、お風呂で念入にマッサージ。
明日はトークショーなのに、だいじょうぶなんだろうか私は。
夜ごはんは試作大会。
白菜と豚バラのくたくた煮、ピリ辛あんかけラーメン(スイ)、かき玉春雨スープ、納豆(私)、玄米。

●2007年12月6日(木)晴れ

スイセイはレンタカーを借りて、朝から出掛けている。
パソコンとテレビを修理に持っていくのと、材木を買ったりするらしい。
私はゆっくり起き、のんびり洗濯。
水戸のタカヨちゃんが、納豆をダンボール1箱送ってくださった。
うわ〜〜い。
秋から冬の大豆は、とてもおいしいんだそう。
夜ごはんでいただこう。
赤澤さんにもらった豆をひいて、ちえちゃんに教わったようにコーヒーをいれてみた。
うちにはアメリカのミキサーがあって、コーヒーミル機能もついている。
猛烈にうるさい音がするので、今まではひいた豆を買ってきていれていた。
やっぱりひきたての豆は、泡の強さがちがうなあ。
ミルクコーヒーにしたら、いい苦味があごの方までまわって、甘いような香ばしいような。
とてもおいしい。
明日もこれでやってみよう。
午後からは、「スイセイ本」の原稿の続き。
2時までやって美容院へ。
スイセイが借りた軽トラックで、荷物を「ルウム」に届け、車を返しにいく。
短い時間だったけど、ドライブした。
できるだけ話しかけないようにしながら。
帰りに、サンちゃんのところとヤーノ宅に納豆を届ける。
サンちゃんは、最後の晩餐に食べたいほど納豆が大好物だそうで、すごく喜んでくれた。
フランスのオーガニックチョコや、お蕎麦、イタリアのスパゲティをお返しにもらう。
夜ごはんは、真鯛の唐揚げおろしあん(ゆでいんげん添え)、ほうれん草のおひたし、ひじき煮(干し椎茸、人参、いんげん)、けんちん味噌汁(昨夜の残り)、水戸納豆、玄米。
納豆がものすごくおいしくて、私は2パック食べた。
葱をたっぷり刻んで、卵は入れなかった。
スイセイは1パック。
冷蔵庫には、まだ7パック入っている。
明日、リーダーのところとお蕎麦屋さんに届ける予定。

●2007年12月5日(水)快晴

紺碧の空。
雲がひとつもない。
毛布を洗った。
昨日は、風呂の排水溝もきれいにした。
さて、午後からは原稿書き。
どうにか仕上げてお送りし、走りにいく。
出るのが遅かったので、中央公園のグランドには宵の明星が。
薄闇の中、ボサノバのギターを練習している音が聞こえながら、体を伸したり、よじったり。
スーパーまで走り、たっぷり買い物をして帰ってくる。
うちから公園の水飲み場まで5キロの道のりだけど、最近はちっとも苦しくない。
息もまったく上がらずに、楽々で着いてしまう。
軽やかで、ちょっと跳ねたくなるような感じさえある。
夜ごはんの支度をしながら、りうの好物の満月卵を仕込む。
今年は、大晦日にりうが来ることになった。
夜ごはんは、真鰈の煮つけ(ごぼう、ゆで小松菜添え)、蓮根のきんぴら、納豆、けんちん味噌汁(鷄肉、ごぼう、大根、人参、蒟蒻、三つ葉、長ねぎ)、玄米。
真鰈の煮つけ、脂がのって身も柔らかく、とてもおいしかった。
北海道産の真鰈、2切れで980円。
卵もほどよくふくらんで、今が旬なのだ。
自分の『おかずとご飯の本』を見ながら作った。
食べ終わったら熱いお湯を注いで、骨湯にもした。
本当に、心からおいしかった。

●2007年12月4日(火)晴れたり曇ったり

お昼にはポカポカと暖かかったが、ふーっと曇り空に。
イチョウの葉っぱが、はらはら舞い落ちる。
風があるのだ。
温室みたいな部屋から、そんな景色を眺めながら、パソコン。
今日から、「スイセイ本」の文章にとりかかります。
またふっと陽が射してきて、あたり一面キラキラ光る。
イチョウの木は、枝が焦げ茶色なんだな。
今まで枝が見えなかったのは、葉っぱが落ちたということか…。
けっきょく、文章は1行も書けないまま、走りに行く。
ドウダンツツジは赤茶色っぽくなり始めた。
夕暮れのグラウンドで、空を仰ぎながらストレッチ。
紫、黄色、碧の中間の色。
薄ぼんやりした光を集め、天空にひろがっている。
ふと、自分の体と景色との境目がなくなるような感じになった。
景色とか空気とかいう言い方、もっとぴたりとくる言葉はないものだろうか。
アトモスフィアがいちばんしっくりくるけど、英語だし。
空間っていうのも違うし。
夜ごはんは、海老とピーマンのナンプラー炒め、京菜の塩炒め、おろしあんかけ蕎麦(天かす、葱)。

●2007年12月3日(月)雨のち曇り

目の前のイチョウは、黄色が金色に近くなった。
透明感があり、芯まで色づいている感じ。
先週日記に書いた、深紅に光っているつつじの隣の葉っぱは、「ドウダンツツジ」ではないかというメールを、読者さんからいただきました。
春先に白いパフスリーブのような花が咲くそうです。
そういえば、ぶら下がったように咲く小さな白い花があったなあ。
さて、今日からまた『チクタク』の作業を始めよう。
夜ごはんは、クリームシチュー(比内鷄、椎茸、人参、キャベツ、玉葱、長ねぎ、じゃが芋)、サラダ(キャベツ、胡瓜、ルッコラ、ひたし黒豆)。

●2007年12月2日(日)晴れ

よく晴れている。
大家さんのどんぐりの葉は、黄色からオレンジ色になった。
スイセイは、こんどは鼻からの風邪みたい。
昨日から鼻水とくしゃみがすごくて、「花粉症かのう?」とか言っていたけど、昨夜の鼻をかむ頻度で、私が風邪と認定。
きりたんぽの残りに葱をたっぷり入れたのと、みかんも2個食べ、温かくして寝ている。
さて私も、そろそろ動き出そう。
まずは、こんどの撮影のレシピ書きだ。
レシピ書きが終わったので、今、走りに行こうかどうか迷っているところ。
走ってきました。
うちを出るところからゆっくり始め、公園まで休みなしで走った。
ひとりだと、知らず知らずのうちに、体を動かすことに集中している。
それがおもしろくて、止まらずに走る。
とちゅうからだんだん早くなり、最後は大股になった。
公園でストレッチをし、帰りもゆっくり走った。
全身に汗をかき、さすがにちょっとガクガクしながらお風呂に入る。
は〜〜〜。
夜ごはんは、白菜たっぷり煮込みうどん、わかめの煮びたし、ひたし豆。

●2007年12月1日(土)曇りのち晴れ

11時から撮影。
「きょうの料理」テキストの、いつものメンバーです。
曇っていたのが次第に晴れてきて、陽のせいで部屋の中までポッカポカ。
昨日やおとといの重たい寒さに、すっかり嘘をつかれたよう。
2時にはすべて終わり、洗濯物をたたんだりしてくつろぐ。
今日は、ちよじの実家が送ってくださった、秋田の「きりたんぽ鍋セット」を、ヤーノが配達にきてくれた。
うわーい。
4時くらいに散歩。
どこもかしこも、黄色、赤、茶色のコントラストがすばらしく美しい。
「ハ〜〜、きれいだね〜」とため息をつきながら、スイセイと歩く。
今がいちばんきれいかも。
通り沿いの垣根の葉っぱが、発光しているように紅い。
春にはつつじが咲いていた場所だけど、その隣にある、花が咲かなかった種類の葉っぱだと思う。
つつじの葉は、緑色のまま枯れかかっている。
花が咲かない分、紅葉で華を咲かせるのだろうか。
「怪獣がの、死ぬ間際に何かの液を出す時みたいな、激しい色じゃのう」。
いちばんきれいな色を出すのもつかの間、どんどん茶色になって枯れ落ち、本格的な冬がやってくる。
紅葉のことを、こんなに美しいと思うようになったのって、今年が始めてだ。
若いころは、めまぐるしく変わる自分の感情の変化に夢中だった。
私は歳をとったからかもしれないな。
紅葉って、おばあちゃんたちが大好きなのも分かる気がするな。
歳をとってゆくことは、自分にとって初めての体験だから、その状態についていくら本で読んだり人から聞いたりしていても、遠いことだった。
自分がなってみて初めて、「は〜、そうなんだ」と感じ入ることしかり。
急に歳をとるんではなく、あちこちが徐々に変化してゆくので、ひとつずつ確認しながら、気分も行ったり戻ったりもしながら、どうにかついてゆける気がする。
死ぬのも、こういう感じなのかも。
夜ごはんは、牡蛎酢、きりたんぽ鍋(比内鷄、白滝、芹、牛蒡、長ねぎ、舞茸、きりたんぽ)。
きりたんぽ鍋が、おいしくておいしくておいしくて、たまらなかった。
思わず、川原さんにもらった日本酒を飲んだ。
ちよじにご馳走さまメールを送ったら、「うちは今まさにこれから食べ始めるところ!また今年も一年、みんな元気でいて良かった!」と返事がきた。
ちよじ&ヤーノの家では、いつものご近所メンバーが集まって、鍋パーティーかもしれないな。
うちはスイセイとふたりでだけど、毎年、仲間たち皆が同じものを食べて過ごす夜。
「きりたんぽ鍋」のおかげで、今年1年を振り返り、感謝したくなるような夜だ。



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