2003年10月下

●2003年10月31日(金)晴れ、蒸し暑い

ひと仕事して、4時くらいに出掛ける。
まずクウクウに寄って用事を済ませ、東急ハンズに行く。
渋谷のセンター街は若者たちがいっぱいいて、目つきの浅ましいような男たちもたくさん立っていた。
私はできるだけ見ないようにしてスイセイの手につかまり、大急ぎで歩いた。いやあな街だと思いながら。
スイセイは、「俺は案外好きなんよ。落ち着くんよ」なんて言って、人込みをうまくすり抜けながら、堂々と大股で歩いている。
ハンズの中に入ったら、すごくホッとした。
昔(多分25年前)から変わらずにあるって、すごいことだと思う。
私はファイル用のノートと安眠枕を買ったのだが、店員さんが誰も皆、驚くほど感じがいい。これにもびっくりした。
そして表参道へ、クマちゃんの陶器の展示会に行く。
彼女はクウクウのスタッフで、これで3度目の個展だと思うけれど、とても彼女らしい器ができていた。なんか、彼女の真面目さや丁寧さが、器や展示の仕方ににじみ出ていて、清々しさを感じました。
8時からは丹治君の新しい事務所で打ちあわせ。
これからのことや、新しい本のアイデアのことなどいろいろ話し合う。
丹治君もまた、なんだか清々しかった。
今までの職場にさよならして、自分の体と頭だけを元手にし、これからやってゆこうとしている丹治君。
丹治君の体の中を、スースーと涼しい風が吹いているような、清楚な水が落ちついて流れているようなのを感じだ。柳みたいにしなやかに体を揺らしているような、静かにエンジンをふかしているような、そんな感じがした。
なんか、皆すごいなー。
10時過ぎに丹治君たちと駅前のやきとり屋に入り、すごい勢いで話したり聞いたりしながら、短い時間に飲み食いしたので、ちょっと私は具合が悪くなる。
しかしスイセイは、すっかり楽しくなってまだ飲み足りないらしく、クウクウの子たちを誘ってもう1軒飲みに行くことに。
私はクウクウのトイレでちょっと吐いて準備を整え、スイセイにつき合う。
けっきょく、朝5時に帰ってきました。

●2003年10月30日(木)晴れ

朝からレシピ書き。
午後からは美容院へ。
帰って来たら、ちよじが台所を大掃除してくれていた。
鍋やらフライパンやらぜんぶはずして新聞紙の上に並べ、白いタイルのところをピカピカに磨いていた。
昨日も、ガスレンジの細かいところの汚れを、歯ブラシでこすってくれた。
ちよじって、すごくきちんとやってくれる。
ありがたいことっす。
そして、留守の間に電話がたくさん鳴ったらしい。
スイセイが事務所らしいことをやっておいてくれました。
夜ごはんは、れんこん(リーダーの実家から送ってきた)の薄味きんぴら、煮豚、煮卵、小松菜ともやしの炒め物、豆腐と春雨のスープ、玄米。
さあ、今夜も早く布団に入って本を読もう。
今読んでいるのは、三木成夫さんの「人間生命の誕生」と、「カスピアン王子のつのぶえ(ナルニア国ものがたり2)」だ。
ナルニアは、20代の頃にドキドキと夢中になって読んだものだが、今はほのぼのと読める。夜中に小腹が減る(クッキーとミルクティー)のが難点だが。

●2003年10月29日(水)晴れ、東京は日中25度

ほんといい天気でした。
なのに、1時過ぎまで寝てしまった。
皆でお昼にそばをゆでて食べ、スイセイとちよじは近所の公園へ。
教室の娘たちから注文された、まな板のやすりかけですって。
私は、ひたすらレシピ書き。
夕方ジムに行った。
やっぱり行って良かった。
ジム後の体の変化(くたびれ方)というものは、行く前にはまったく想像がつかない。
頭ではつくのかもしれないけれど、ぐったりとしたこの体の感覚は、なってみないと分からないものだ。
使いきったという感じで、あとくされのないこのかったるさよ。
体だけを使うって、人間には大切なことかもな。
買い物をして帰り、夜ごはんの支度をしながら、クーッと眠くなる。
テレビの試作だったので、がんばって気をひきしめながらやった。
豚の唐揚げねぎだれかけ(下にカブと春菊とプチトマトをしいた)、しらす、スジコ、豆腐の味噌汁、玄米。
ちよじにもスイセイにも、なかなか好評でした。
食べながらも、眠くてたまらない私だった。
風呂に入って早く寝るべし。

●2003年10月28日(火)秋雨

2時から、次の単行本のための初打ちあわせ。
事務所になってから初めての本なので、スイセイも参加する。
スイセイは張り切っていた。
スイセイって、張り切ると声が大きくなってたくさん喋るのですぐに分かる。
そして喩え話を連発していた。
「喩え」を出すのは、スイセイの話術の特徴なのです。
そしてたまにおやじギャグも言う。
これじゃあまるで頑固オヤジじゃん。
でも、おかげで私は客観的にものを考える時間ができ、新しい方向性(内容の)が自分の中に見えてきました。
さあ、また忙しくなってきそうなので、今のうちにやることをやってしまわなければとも思うのだが、なかなかやる気にならない私だ。
雨だし・・・なんて天気のせいにしたりして。
夜ご飯は、一昨日の煮しめが半端に残っていたので(ごぼう、厚揚げ、結び昆布)、こんにゃく、鷄肉、にんじんを加えて、ぜんぶ細かく切って炊込みご飯にした。もちろん煮汁も入れて。
あとは鯵の干物を3人で1枚、昨日のインカじゃが芋をゆでた残りで味噌汁と、ワカメとカニカマと白菜のサラダ(ドレッシング2種、和風とベトナム風)、ソーセージ炒め。
つまり、冷蔵庫のおそうじメニューでした。
でも、炊込みご飯がとてもおいしく、スイセイもちよじも喜んでくれた。
なんか、ほんのり甘みがあって懐かしい味だったんです。
料理上手な田舎のお母さんの味。
夜、ケーキ(テレビの試作)を焼きながらゲラの直しをやる。
風呂上がりにいつものように窓を開けると、雨はやんだが思いっきり曇っている。
でも風が強く、木が揺れているから、この風で雲はどんどん流され、きっと明日は快晴だろうと思われる。

●2003年10月27日(月)晩秋の晴れ

昨夜は、夜ご飯の時3人で飲んだ。
ちよじが家に来てから、それぞれ忙しくて、ゆっくりした話ができなかったので。
スイセイはどんどこご機嫌になって、すぐに体が揺れてきた。
ちよじのお友だち(この間家に泊まった福島の美恵さん)が送ってくださった、赤ん坊の頭より大きい梨(郡山特産の「吉野」だそう)を3人で食べる。
むいている時から花の香りがして、フルーティーというよりフラワーティー?という感じで蜜のつまった味。すごーくおいしかった。
スイセイは、「美恵さーん、体でっかいのにしっかり実のつまった梨をどうもありがとう!」と天井に向かって言っていた。
最後はべろんべろんになり、沖縄の子守歌のCDを聞いているうちに机にふさってしまったスイセイ。
寝ているのかと思ったら、とつぜん「かあちゃーん」と叫んだ。
ぐっすりと幸せそうに寝ているスイセイは、イビキがものすごく、おかげで今日私は寝不足だよ。
2時からはインタビュー。
「ボロボロになるまで使っている料理本」についてだ。
1時間半くらいで終わり、銀行や買い物やら用事を済ませに行く。
駅ビルのスーパーのレジで、私の好きなおばさんがいるんだけど、ジムに最近来始めたおばさん(旦那さんと来ている)と同一人物だったことが今日分かった。
おばさんは、レジで袋に入れる係をしていて、袋に詰める手つきや、最後に持ち手のところをまとめて手渡してくれる時に、お客さんの目を見てにっこりする。
けっして素早いわけでもスマートでもないんだけど、田舎のおばちゃんみたいななつっこい感じ。
ジムの時も、早歩きの腕を振る角度や、窓に写ったほてった顔とか見て、「いいなー、このおばちゃん」と思っていたのだ。
ひとつのことに打ち込む真面目さのようなものが、体じゅうからにじみ出ているんです。
帰りにおいしい魚屋さんで、サンマ、戻り鰹の刺し身、ワカメを買う。
サンマはそろそろお終いかもしれないが、ここのをいちど食べてみたかったのです。
いつも売り切れだったんだもの。
帰ってから、野菜の保存をやる。
来週、スカパーの収録があるんです。
保存をきちんとしておくと、1週間後でもこんなに活き活きしている・・というのを、映像で見せたいのです。
差し替えなんかではなくて、本当にその実物を使って料理をしたいんです。
普段の家のご飯は、いつもこのやり方でやっているのだから。
夜ご飯は、秋刀魚の塩焼き、鰹の刺し身、茄子の油焼き、大根おろし、ゆでじゃが芋(この間、スーパーで気になって買った「インカのめざめ・・アンデスの栗じゃが」という小粒のじゃが芋。黄色くてさつま芋に近いが、さつま芋ほど甘みはなく、本当に栗のようであった)、田舎汁(こんにゃく、大根、人参、なめこの味噌汁)、玄米。
うー、満足。
秋刀魚は、時期を逃したかと心配していたが、いやいやどうしてぜんぜん脂がのって、すごーくおいしかった。

●2003年10月26日(日)快晴

そういえば昨日、久々にクウクウの厨房に入ってみて驚いた。
やたら広く感じて、流しが3箇所あることも、5人もの人がそれぞれ一心に作業をしているのも、初めて見るような感じに近かった。
ホールより厨房がたぶん20センチくらい高くなっているんだけど、ありゃ?こんなに高かったっけーと、宙に浮いているみたいで不安になった。
「久しぶりだったから新鮮」なんて言葉では、ぜんぜん言えない。
1000mmlのステンレス計量カップなんか、年季が入って微妙にでこぼこしていた。
こんなにカッコイイ計量カップ、ほんとに初めて見たよ。
辞めてから10ヶ月経って、私の脳はまっさらになった(クウクウ厨房の環境に対して)。
すごいなー脳。
厨房に入ったばかりの新人さんの気持ちがよーく分かった。それは「怖い!」のひと言だった。皆の邪魔にならないように考えると、ぎくしゃくして体が固まってしまう感じ。
慣れっていうのは、脳が嘘をついていくことなんだな。
じゃないと、毎日毎日やっていかれないもんな。
包丁もあって火も油も流しの水も勢いが良くて、換気扇や冷蔵庫のガ一一ッていう音も、ものすごいもんな。
てことは今の私は、自分の家の中の環境に慣れているんだ。
うーん。
あともうひとつ。
今でも記憶の中にある計量カップは、ピカピカしたただの当たり前の計量カップだし、厨房の雰囲気というのは、当たり前に働いていた頃のまんま頭の中にある。
それって、これから何年たっても変わらないだろう。
もー世界って、なんて曖昧なんだろう。
どっちが本当なのだろう。
まあ別にいいけどさ。
さて、昨夜から私は「右の心臓(佐野洋子著)」を読み返している。
この本は、やっぱりすごい。
佐野さんの子供時代の物語を、子供だった自分の目線で書いているのだが、それはただの昔話ではない。
何がすごいって、皮膚感覚まですっかり子供にさかのぼって書いているんです。
ちょっと長いけど、ここに書きうつしてみます。
「母さんが座敷にいて、押し入れからこうりを出して、中からいろんなものを出していた。わたしは横にねっころがって、縁がわの柱におしりをぺったりくっつけて、足を持ち上げて、柱にくっつけていた。おしりからつづいている足のうらがわに柱がぺったりくっついて、冷たくて、いい気持ちだった。ずっとつけていると、柱がだんだんあったまって、つまんなくなるから、足をそのまんま頭の向うに持っていって、頭の向こうのたたみに足の指をくっつけた。」 「つまんなくなるから」っていうところ、ちょっとなかなか書けないよと思う。
これは佐野さんの記憶だけど、まるで私の体の記憶でもあるくらい、すごくよく分かる。
そして、装丁も何気なくすごい。
紙の肌触りや、本の厚さ加減も、玉ねぎの薄皮みたいな紙が1枚はさまっているのも、何か愛情のようなものを感じるのに、それでいてさりげない。
ほとんどの割合でカバーをはずして読む私なのに、なぜかこの本は、カバーつきで気持ちよく読んでしまう。
カバーの質感が、内容の邪魔をしないのだ。
今日もまた休みだから、ねっころがって続きを読もう。

●2003年10月25日(土)曇り、雨が降りそうで降らない

吉祥寺の街を、自転車でケーキを売り歩いている葉子ちゃんが「○ウネル」に取材されるというので、スイセイと応援に行った。
葉子ちゃんは、私がクウクウ時代からずっと同じスタイルでやっている。
自宅で焼いたケーキをかわいい自転車の荷台に乗せて、裏通りを廻っているのです。
いつも4時くらいになると、クウクウの階段を降りてきて、何も言わずに顔だけのぞかせる。そうすると、ホール係の子が「トレ・プチ来たよー。欲しい人ー!」と小さく叫んで(お客さんに聞こえないように)、皆の分までおやつを買いに行ったものだ。
クウクウを辞めてからも、真冬のすごく寒い日に、すっかり着ぶくれてフカフカした耳当てをした葉子ちゃんや、真夏のカンカン照りの日の葉子ちゃんもよく見かけた。
そういう時、例外なくいつも葉子ちゃんは笑っていて、お客さんも笑顔なのだ。
ケーキ作りが大好きなんだけど、どうすればいいんだろうとか、お店で働いてるんだけど、自分の好きなケーキが焼けなくて辛いとか、上司がイヤな奴でぜんぜん分かってくれないとか・・、そういう不平不満を言っている人は、ぜひとも葉子ちゃんの姿を見るといいと思う。
彼女はやりたいことを、今の自分ができる形で、まっすぐに実行している。
「変わりばえしなくって、私なんかおもしろいんでしょうかねぇ」なんて、葉子ちゃんは自分のことを言うけれど、季節をだいじにしたおいしいケーキがいつもあって、楽しみにしているお客さんが確実に増えていることって、本当はたいへんなことだと私は思うのだ。
ちょっと買い物をして、スターバックスでお茶を飲み、いい気分でてくてく歩いて帰って来ました。
夜ご飯は、ちよじが今日もお出掛けなので、ラーメンにした。
白菜、もやし、ワカメ入りの、自家製焼き豚と煮卵のっけの、しょうゆ味 だ。
たこのお刺し身は、スイセイへのサービス(大好物なんです)。
ちよじは今日、およばれで麻婆豆腐を食べたんだそうだ。
風呂から出てきたちよじは、ネグリジェのままメールをしている。
「お母さんがな、今日近所の人からマツタケをもらったんて。それでお父さんとふたりで土瓶蒸しをして食べたんやけど、あなたのは冷凍しておいたから・・やて。今メールがきた」 その返事を今送っているらしい。
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今朝スイセイが顔を洗っていたのだが、ふと見るとバスマットで顔を拭こうとしているところだった。
急いで「それはちがうよ!」と教えると、自分でもなんか変だなと思っていたみたい。
ところで、最近の天気の奇麗さといったら、ほんとうにたまげる。
昨日もそうだったけれど、下の公園で子供らが遊ぶのを眺めたりしていると、ふと、大きな何かみたいなのを感じてしまうんです。
だってあまりに自然が激しいのだもの。
神とかって簡単には言いたくはないんだけど、そんなようなものだと思う。
けどそれは、エベレストのてっぺんや、ナイアガラの滝なんかでは、私は感じないのかもしれない、もしかしたら。
とか思いながらも、一歩も外に出掛けずに、寝ころんで本ばかり読んでいる。
ストーブをつけ、毛布を体に巻きつけて。
スイセイは朝からホームセンターに行ったり、散髪して風呂に入ったり、ちよじに髪型の写真を撮ってもらったりしてハリハリしていた。
病院にも行ってきたらしい。
検査の結果は、「すごい順調じゃった」って。
体重もまた1キロ落ちて、それをキープできているらしい。
帰ってきたスイセイが、毛布に入ってきて寝始めたので、私もつられて寝てしまう。
今読んでいる本は「不良ノート」だ。おもしろくもつまらなくもない。
さーて、今夜のご飯はどうしよう。
何もないから買い物に行かなければ・・と思うんだが、腰が重い。
買い物、行ってきました。
今夜は餃子にすることにした。
餃子を作りながら、煮豚と煮卵(鷄大根のおいしい煮汁で)も仕込んだ。
夜ご飯は、餃子(ふつうの)、ワカメとクレソンのお浸し、白菜と春菊と春雨のスープ、玄米。
餃子、スイセイが大喜びだった。

●2003年10月23日(木)晴れのち曇り

昨夜は布団の中で「おばあちゃんのお茶うけ」という本を読んでいたのだが、突然起きだしてラッキョウを食べてしまった。
夜中の3時だ。
この本は田舎くさい作りで、実質的で、すごくおもしろい。
信州のおばあちゃんのところに取材して、きゅうりのパリパリ漬け、大根のビール漬け、茄子の辛子漬け、ぜんまいの煮物、セロリの漬物、塩煮芋(じゃが芋を塩茹でし、湯を捨てて砂糖としょうゆでからめる)など、いろいろな漬物やおやつをのレシピを紹介している。
レシピっていったって、おばあちゃんたちは手量り目分量だから、ほとんど分量なんて書いてない。
主体は、それぞれのばあちゃんの暮らし向きや若い頃の話のコラムだ。
「おばあちゃんは少しでもお茶が減ると、まるでわんこそばのように次々とお茶をつぎ足してくれました。『芋なます』などの山の幸をたくさん食べ、がぼんがぼんとお茶を飲み、そして大きな口を開けてよく笑う、豪快なお茶のみでした」 吉田文子さんという著者が、自分の足で取材して、写真も撮り、文章も書いている。
美容師をずっと続けてきたハツヨおばあちゃんと、後を引継いでいる娘の恵美子さんの昔話の一部をここに書きます。
ハツヨ「食べるもんが満足になくてね。干し柿は甘くて子供が喜ぶから、子供を背中におんぶして一生懸命になって柿むいたの。それがあるとき一晩で全部盗まれちまったの。ずらーっと、軒下に干しておいたのが全部。泣いたなあ」 恵美子「せつねかったなー。だけど、誰かわからんし、どうしようもなかった。なにもこんなビンボーな家の柿を全部とらなくたって・・・・。な、ハッチャ、あれも人生、これも人生さ。でも、取る人の気持ち考えるとさ、その人も大変だったんだよな」 ハツヨ「人間は、ウソつかないで正しく生きていれば、いつかはいいことがあると思って生きてきただよ」 ここのところを読んで感動し、そして口の中によだれがたまってしかたがないので、自分で漬けたらっきょうを出してきて食べたのです。
夜中だから、カリカリとものすごく大きな音がしていた。
さて、今日の天気は不思議。
朝方はすごく晴れていたので洗濯したのに、すっかり曇りがちになり、そしてまた晴れ間が出てきた。晴れるとすごく明るい。
昼ご飯に、ゆうべの鷄と大根の煮物と玄米をスイセイと食べた。
煮汁があまりにおいしくてもったいないので、うーん、焼き豚風に豚を煮ようか、それとも茄子を煮るか?・・なんて考える、試作ではない喜びだ。
普通の主婦の正常な料理熱よ。
さて今日は、寝転がって本を読みくさろうではないか。
夕方になるにつれ、明るいところと暗いところの陰影がくっきりとして(晴れているのに暗いところもある)、しかも空は青いという不思議な天気になった。
木や建物の壁に当たる光の質がとろりとしているのに、影は影でやけに濃いのだ。
美しいなー、とベランダでしばし一服。
部屋に入って続き(「ナルニア国ものがたり第1巻」)を読みながら、ミルクティーを飲んでいたら、パラパラと雨が降りだし、あっという間に土砂降りになった。
大慌てで着替え、ジムに行っているスイセイを迎えに行く。
スイセイの長靴と傘をかかえて。
こういうことがしてみたかったのだな私は、と思いながら足早に。
スイセイは、案外あっさりとして、ぜんぜん嬉しそうな感じではなかった。
「初めて迎えに来たのう」なんて、あっちを向いて言っていたけど。
夜ご飯は、カレーライスだ。
きゅうりとにんじんのパリパリ漬けを作ってみる。
私のは黒酢入りで、砂糖はほんのちょっとだ。

●2003年10月22日(水)ずっと雨

テレビの打ちあわせ。
「肉ラーメニュー」というので少しもめたが、デザートはすぐにOKが出た。
終わってから図書館やらブック・オフなんかにも行く。
明日から私は4日間ほとんど何も入っていないので、すでに休日モードだ。
読書週間にしよう! ポテトチップスのり塩味を、新聞を隅から隅まで眺めながら、1袋ぜんぶ食べてしまった。
これもまた休日モードの表われだ。
大根の古いのがたまっていたので、手羽元といっしょに煮込んでみた。
酒、しょうゆ、きび砂糖、黒酢をちょっと、しょうが、にんにく、鷹の爪で。
圧力鍋でやってみたら、鷄は骨からスルッと肉がはずれるほど、大根は皴がよるほど、柔らかくおいしくできました。
夜ご飯は、鷄大根、塩鮭、千切り野菜(撮影の残り)の塩もみポン酢かけ、しいたけと大根葉のお清し、納豆、玄米。
さて、今夜は早めに風呂に入って本を読むぞー。
ちよじは朝から出掛けていて、まだ帰ってきません。

●2003年10月21日(火)晴れ

12時から撮影。
年末のパーティー料理特集だった。
くー、くたびれました。今日は6時半までかかった。
途中、お腹が痛くなったりもして、ホカロンを貼って乗り切った。
料理の撮影って、けっこう重労働だなと思う。
歳をとったら、案外きついかも。
立ちっぱなしだし、頭はフル回転だし。
座ると足がスーっとする。血が流れる感じ。
終わってから3人で残り物を軽く食べ、あまりに私がくたびれているので、スイセイが布団をしいてくれた。
そして、ちよじとふたりで皿洗いもしてくれた。
こんなふうにくたびれた時に、家族がいるのってすごく救われているなーと思う。
私なんかスイセイにべたべた(精神的に)だ。
家族がいるからやってゆける。
というか、生きてゆける。
けっきょくその後3人とも昼寝。
9時くらいにそれぞれ起きだして、私は風呂に入り、残り物の野菜でクリームシチュー(ハウスの)を作った。
大根(ほろ吹き大根みたいなのを撮影でやった残り)、しいたけ、白菜、鷄肉(ぜんぶ残りちょっとずつ)入り。
クリームチーズの残りと、ディルの残りもきざんで入れた。
「うー、白菜がうまい白菜がうまい」と、スイセイは続けざまに2回言いながら食べていた。
くたびれた時に作る料理って、体調にきめ細かく合った味が作れるもんだな。



日々ごはんへ めにうへ