2003年3月中

●2003年3月20日(木)晴れ

午後から取材の日々。インタビューだから、2本やってもたいしたことはないだろうと油断していた。その後打ちあわせも入れてしまったので、全部終わったのが8時を過ぎていた。くわーっ、くたびれました。
それでも意地のようになって、ハンバーグを作る。昨日の撮影でひき肉が残っていたから。牛肉の薄切りをたたいてひき肉に混ぜたので、豪華なハンバーグになった。
つけ合わせは、ゆっくりゆでたじゃが芋のマッシュポテト、クレソン、レタス、セロリのサラダ、豆腐と小松菜の味噌汁、玄米。
今日はりうが卒業式で、終わってから飲み会なのをうっかり忘れて、ハンバーグを作ったのだ。たまには若者向けのメニューにしてやろうと、そればかり思っていたので。
あれよあれよという間にりうは卒業して、そしてさっさとアパートを自分で捜して来た。明日、その物件を親子3人で見に行くんだが、気に入れば4月にはもう引っ越して行ってしまう。くーっ、淋しいような気持ち。

●2003年3月19日(水)晴れ、夜はけっこう冷える

今日は撮影。11時半集合だったが、朝のうちに洗濯ものを干し、床にはワックスまで塗った。5品だったので、3時には終わり、ぐっとくつろぐ。くつろぎながらも窓の曇りが気になるので、窓拭きだ。
暗くなる前に買い物に行き、野菜をどっさり買ってきました。
夕方、アニメを見ながら昼ごはんを食べるというのが最近の私の日課なので、あまりお腹はすいてなかったけれど、たぬきそばを作って食べた。
そして1時間ほど昼寝。
夜ごはんは、茄子と豚肉のしょうゆ炒め、山芋オクラ納豆、まぐろの刺し身、豆腐だんご(撮影の残り)のおろし煮、あさりの味噌汁、玄米。
明日も撮影なので、今夜もさっさと寝まーす。

●2003年3月18日(火)曇りのち雨

くーっ、やっぱり辛かったです。飲んだくれた翌日にテレビの収録というのは。
朝、できるだけ早めに起きて風呂にたっぷり浸かり、顔面シャワーで酔いを飛ばした。
胃のあたりがうっとうしくフラフラするので、かなり弱っちい気分だったけど、ウォークマンでオゼケンを聞きまくっていたからだと思うが、「ゆりかもめ」に乗る頃にはずいぶんシャッキリしていた。
そして、元気になるもうひとつの方法を、今日発見しました。それは、自分の好きな人をひとりずつ思い浮かべ、じっくりとその人の良さを味わってゆくというもの。ひとり、またひとりと好きな人が心の中に溜まっていって、どんどん体が温まってくる。そして最後は、その人たち全員に応援してもらっているつもりになるのです。とても勝手な試みだが、すごい強力です。思い込みってすごい! どうにか頑張り通し、9時過ぎに帰って来て、夜ごはんをざざっと作って3人で食べる。
ベーコンエッグ、きのう作った鷄の煮込みをクリームシチューにしたもの、グリコ・ワンタッチカレー、玄米、というめちゃくちゃなメニューだったが、やけにおいしかった。
明日も撮影なので、とにかく今日はさっさと寝ます。

●2003年3月17日(月)雨のち曇り

いろんな仕事の準備が終わったので、買い物に出たついでにスイセイとちょっとだけ「晩酌や」さんに寄るつもりが・・・ りうも誘って、家族3人でたくさん飲んでしまった。
明日はテレビの収録だというのに、どんどん調子づいてしまい、けっこう良い感じに酔っぱらって帰って来ました。
風呂にざぶんと入って、とにもかくにもすぐに寝た。

●2003年3月16日(日)曇りのち雨

どんより曇っているので、布団の中で2時まで本を読んでいた。吉本隆明の「幸福論」だ。最近の隆明さんの本は、実感がこもって力がぬけていて、私にも分りやすくとてもおもしろい。そして最近私が考えていたことと重なる考えもあり、ふんふんふーん・・・と、どんどん読み進む(じいちゃんばあちゃん向けに書いた本だろうか?字がとてつもなく大きいのだ)。読みながら、うぐいすの声が聞こえていた。「ホ、ホ、ホコケッ」って感じで、まだまだへたっぴな鳴き方だが、がんばっている。
風呂に入ってすっきりし、次の撮影のメニューを決めてゆく。最近、料理だけを考えるのではなくて、どうしたら読者さんに作ってもらえるだろうかと、セットで考えるようになった。どうやったら分かりやすく料理を区分けできるかなんて、編集者さんのお仕事だと思うんだけど、そこまで考えてから、料理の献立を決めるようになってきた。
日曜日は休日にしようかと思っていたが、つい仕事してしまいました。確定申告も、無事ゆうべ書き終わったし。
夕方、スイセイと買い物に行き、今夜は節約ムードにすることにして、キャベツとニラと豚ひき(餃子の具)を買う。あと、その分ちょっとぜいたくにクリームチーズと生クリームなんか買って、帰ってから簡単チーズケーキを焼いた。
焼き上がってオーブンから取り出していたら、ちょうどその時スイセイが台所にやってきて、「オレはみいと結婚して良かったの〜」と言った。そしてサザエさんを、最後の5分だけ見ました。今は、向こうのテーブルでりうが餃子を包んでくれている。ささやかな日曜日のしあわせだ。あとでウルルンも見なくっちゃ。
夜ご飯は、焼き餃子、小松菜と卵の中華スープ、玄米。
そういえば、スーパーに「グリコ・ワンタッチカレー」のレトルトが売っていて、思わず買った。すごく懐かしい。私が子供の頃は、いつも「オリエンタルカレー(粉の)」だった。「グリコ・ワンタッチカレー(初めての固形カレー)」の赤いチェックの箱は憧れの的だったんです。

●2003年3月15日(土)明るめの曇り

ドリトル先生は、どれを読んでもいつも良い空気が流れている。それはドリトル先生が全肯定の人だからか、井伏鱒二の訳が良いからか。オオムのポリネシアンなんかけっこう毒舌家だのに、汚くならないんだよな。ゆうべ1冊読みおわり、おかげで安らかに眠れました。私は家政婦のアヒルのダブダブが好き。皆が調子にのって騒いでいると、いっつもプリプリ怒りにくるしっかり者だ。きれい好きで、財布のヒモが固くて、ドリトル先生のお金の使い方にいつも文句を言っているが、「まったくしょうがないんだからっ」という感じで、大目にみてくれてもいる。私が秘書さんを雇えるようになったら、ダブダブみたいな人がいいなといつも思う。
「どんぐり舎」のコーヒー豆はおいしい。歯医者が終わったからしばらく西荻には行かれないので、店の雰囲気を思い出しながら、これから家で毎日カフェオレを飲もう。
午後からバリバリとパソコン仕事。電話もたくさんかかってきて事務所のようでした。
確定申告の清書もやらなければならないけれど、新しい仕事の献立をぽわんと考えて過ごす。白い紙にアトランダムに書きだしてゆくのは、けっこう楽しいこと。

●2003年3月14日(金)晴れ、けっこう暖かい

仕事の電話がひっきりなしにかかってくるので、歯医者に行って逃げることにした。(編集の方々どうもすみません)今日で治療はぜんぶ終わり、歯ブラシをたくさん買う。帰りに「どんぐり舎」に寄って、カフェオレを飲みながらひとしごとだ。次の撮影の準備や、本の撮影のまとめ。
西友で買い物をして帰って来る。昨日さんざん遊んどいたから、今日はとても落ち着いた気分の私だ。「どんぐり舎」でコーヒー豆を買ったので、明日飲むのが楽しみです。
今夜はスイセイとりうが映像のライブに行くので、夜ごはんは私ひとり。
カレイのみりん漬け、くずし豆腐(豆腐にナンプラーとごま油とおろししょうがを混ぜてぐすぐすにかき回したもの。クウクウの新井君に教わった。)、かき揚げ(さきおとといの)の甘辛煮、うどと菜の花の味噌汁、玄米。今夜は早めに風呂に入って、布団の中で「ドリトル先生月へゆく」を読もう。

●2003年3月13日(木)快晴

遊びたい盛りの日に、ちょどよくヤノ君に電話で起こされたので、天気も良いし、いっしょに何処かへ行くことにして、クウクウで待ちあわせ。見たい映画があるけどまだ封切り前だし、「ヘンリー・ダーガー展」はヤノ君がもう行ってしまったと言うので、そうだっ、神田の古本屋街へ行こう!ということに。
3時には神保町にいました。1軒目からすでに私は興奮していたが、ひとりで来ているわけではないので、ぐっと気持ちを押さえ、ちゃんと店の中まで入ったのは4軒くらいでした。「おむすびの味」岡部伊都子さんという方の古い随筆集をみつけた。名前も知らない方だが、パラパラとめくってちらっと読んでみると、「睡眠」という短い文章が目にとまった。「朝、ほっかりと目がさめてから、ひととき、これはいったいどこで、どうなっているのだろう・・・というような感じをおもちになったことはございませんか。」 装丁も縮緬の着物みたいで良かったし、もちろん活版印刷だし、分厚くて古い良い匂いがするのですぐに買いました。800円だって。
2時間くらいぶらぶらして、「ミロンガ」でお茶。お互いに、買った本を見せ合いながら、アイリッシュコーヒーなんて飲んじゃいました。ワイングラスみたいなのに入っているのに温かく、グラスの底に近づくにつれて甘〜くなる。
後ろの席に座った人が食べている「ジャンバラヤ」が気になった。こんど来た時にはぜったいに食べようと心に決める。
そして池尻にまわり、ヤノ君の友だちがやっているフレンチ・レストランで晩ご飯だ。タップナードがすごくおいしかった。私が作るのより、にんにくもアンチョビーも効いていて野性的だ。ワインを飲みながら、帆立と菜の花のサラダ、自家製コンビーフのマスタードソース、ブロッコリーのリゾットを食べました。おいしかったー。男の人の作った料理っていいもんだな〜。
ほろ酔いで気分いいし、こんなに近くまで来て寄らないわけにはいかないので、「太陽」へ。ヤノ君が「そろそろ帰ろう」と言ってくれなかったら、またしても私は「太陽」で飲んだくれるところだった。けっこう酔っぱらって、無事吉祥寺まで帰って来ました。なーんか、ぽわーんとして幸せないち日でした。たまには若い男の子とでーとするのもいいもんです。

●2003年3月12日(水)晴れ 今日もずっとパソコン仕事。ぐっとくたびれました。


夜ごはんは、豚そぼろといり卵の混ぜご飯(もち米を混ぜてみた)、山芋のすり流し汁。
きのうカレンダーを見ていて思ったのだが、私の飲みに行きたい率は、1週間に1回だということに気がついた。そして、今朝起きがけにそのことについて寝ぼけながら考えていた。それはこんなことだ。
家族の毎日のご飯の世話をするのは楽しいことだけど、つまらなくもある。日々の落ち着いた暮しというのは、私にとってかけがいのないものではあるが、それを1週間にいちどこわしたくなる。だから軽く飲むんではなくて、朝帰りするくらいに長々と、体がくたびれてへろへろになるまで飲まないとならない。誰かといっしょに飲んでいても、最後はひとりでてろてろと景色を眺めながら帰って来る。そういう時、たとえば自転車に乗っていて転ぶ時、「あー、こんなに幸せで、もう私は死んでもいいや〜」なんて思いながら無防備に転ぶ。毎日穏やかに暮している1週間に1回、もしかしたら死ぬことに近づくような感じかも、なんてふと思った。

●2003年3月11日(火)晴れだけど、けっこう寒い

最近、春めいてきたかと思いきや、北風が強く、冬のように寒い日が続いている。
けれど杏の木の蕾は、着実にふくらんできています。
皆さま、料理教室についてのたくさんのメールをありがとうございました。
クウクウを辞めてから、ぼんやり仄かに思っていたことでしたが、着々と現実的なものになってゆくのが不思議です。中にはじーんとくるメールもいただき、ほんとうに励みになり、心強く、元気が沸いてきました。感謝です。
さて、今日はずっとパソコン仕事。原稿をやっと書き終えてお送りし、次の撮影のレシピをまとめる。あとはたまっているゲラチェックをして、テレビ番組のメニューを決めれば今日の仕事は終わりだ。
あー、飲みに行きたいな〜。だけど、スイセイが確定申告で今たいへんなので、私だけのんきに飲みに行くのもはばかれる・・。
夜ごはんは、塩鮭、ちくわと新玉ねぎと三つ葉のかき揚げ、いんげんおかか炒め(ゆうべの残り)、納豆、しいたけ(冷蔵庫で干ししいたけ寸前になっていたのをゆっくり煮出して使ったら、良いだしが出ておいしかった)と小松菜の味噌汁、玄米。
あまりにもばあちゃんみたいな地味なご飯ばかり続いて、若者のりうはかわいそう。たまにはステーキとか焼き肉とか作ってあげたいものだ。納豆ごはんを食べ終わって、私もなんだかひじょうに甘くこってりしたものが食べたくなったので、バイトの帰りにカステラをコンビニで買ってきてくれとりうに電話をする。
生クリームがちょっと残っていたので、牛乳でのばして、軽いホイップクリームを作る。カステラの上にクリームをかけ、自家製の黒みつをとろりとかけて食べました。黒みつがしみたところが、驚くほどのおいしさでした。スイセイもりうも大満足。



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