2003年7月上

●2003年7月10日(木)曇り時々雨、蒸し暑い

11時から撮影。
たったかと進んで、早く終わるかなーと思ったら、5時までかかっていた。
けっこうびしっとたいへんでした。休みなしで。
終わってからアシスタントのヒラリンとスイセイと泡盛を飲んだ。
仕事が終わって飲む酒はうまいぜーって感じで。
なので、夜ごはんはなし。
スイセイは撮影の残りのきのこごはんなど食べていた。

●2003年7月9日(水)薄曇り、梅雨寒

朝ご飯も食べずに、午後からあちこち走り回る。
明日の撮影の仕入れや、銀行、本屋にも行ってきた。
気になる新刊があったのです。「ハワイッサー」という小説。
沖縄の言葉で「極楽」というような意味らしい。それだけでもう気になってしかたなかった。まだぜんぜん読んでないが、装丁もかわいらしいチープさで字はぎっしり。
あとで、じっくりと読みくさろう。
帰ってから、スイセイと冷やしラーメン(冷やし中華ではない。これは去年も書いた気がするが、夏になると紀伊国屋で売られる)を作って食べる。
そして図書館へ。
ダ・ヴィンチ連載の原稿もさっき書き上がった。
今夜は本に囲まれて、早く寝ようかなー。
夜ごはんは、骨つき鷄肉と根菜のスープ煮(ナンプラーと梅干し入り)、水菜とピーマンともやしのおかか炒め、塩鮭(昨夜の残り)とゴーヤとみょうがのおろし和え、玄米。

●2003年7月8日(火)染みこむような雨、寒いほど

お昼にピザをとった。
ドミノのアメリカンスペシャルにハラペーニョのトッピングだ。
しっかりと食べ、午後からはばりばり仕事を片づけてゆく。
アーモンドのメニュー開発が気になっていたが、ぐっと集中してどんどん決めてゆく。とちゅう試作もやりながら。
すでに昨夜から、夢の中で始まっていたメニュー開発。
ごぼうとアーモンドとうなぎの炊き込みご飯っていうのを、えんえん夢の中で作っていた。でも、これはちょっとだめだと思う。
アーモンドが入らなくてもおいしいもんな。カロリーも高いし。
今日は、原稿も書いてしまおう。
そして、テレビの物語の仕事もぼんやりと考え始めている。
夜ごはんは、玄米(ずっと食べたかった)、納豆の味噌バター炒め、茄子のしょうゆ煮、ピーマンとゴーヤの卵炒め、塩鮭、かぶの味噌汁。
夜ごはんの時、窓がちょっと開いていて、そこから風が入って寒かった。
梅雨寒って、こういう日のことだ。
ミルクティーが飲みたくなるような日。
と思って今飲んでいます。ちょっと甘くして。

●2003年7月7日(月)雨

ずっと寝ていた。
なんと夜の9時まで。
昨夜は、カラオケに行っちゃったんです。
リーダーとスイセイと3人で、ものすごーく楽しかった。
家に帰ってから歯をみがいたんだけど、立っていられなくて、洗面所の前に座り込んでみがいたほど。私はどっぷりと遊びくたびれていた。
それにしても、ひさびさに深く深く眠った。
体の芯に実はすごいくたびれがたまっていて、今までそれに気がつかなかったのだが、カラオケで燃焼したことによって、誘われるようにずるずると出てきたみたい。
そんなイメージを思いながらぐっすりと寝込んでいた。
くたびれの便秘だったみたい。
夜ごはんは、大根の炊込みごはん(昨日炊いておいた)、牛肉と舞茸の炒め物、ぬか漬け。味噌汁はなしだ。
明日は早起きして、いろいろやろうと心に決める。
あさってからはまた忙しい日々に突入するので。
ところで、元ちとせの「わだつみの木」って、すごく歌詞がいいのにびっくりした。
あまりに流行ってしまったので、私はちゃんと聞いていなかった。
カラオケは歌詞が出てくるから、まるで詩のように読め、スイセイが熱唱するのを聞きながら感動してしまった。
それで最後の締めは、「わだつみの木」を3人で合唱した。手を握り合いながら。
ばかだなあ・・。

●2003年7月6日(日)曇りだけど晴れ間もあった

1組の教室でした。
今日は食パン2種。発酵や焼き時間がけっこう長いので、その間にいろいろ作った。
今朝スーパーで杏をみつけたので、杏のシロップ煮、揚げにんにくを作ってアジアンカルパッチョ(季節なので鰹でやった)、大豆のクリームチーズディップ。
粉ものは今日で卒業。皆、こねるのがかなり板についていて感心しました。
「粉ものってたいへんそうで気が重いって今まで思ってたんですけど、先生のとこでやってからは考えが変わりました。すごく気楽に作っちゃってます」 なんて生徒さんに言われた。「ねー、そうでしょうー」と答える私。
うれしい。こういうのが本当にいちばん料理家冥利につきる。
私は、教室で教えるものをあらかじめ考えているんだけど、来てくれている生徒さんに、それ以外にもどんどん教えたくなってしまう。
それは、店をやっていた時にお客さんについサービスしたくなっちゃう、大盤振る舞い!の癖なのです。
教室が終わってからも料理熱が下がらないので、クッキーを2本仕込み、半熟煮卵と、大根としょうがの炊込みごはん(試作)を作る。
ひさしぶりにジン(クウクウの元スタッフ)が吉祥寺に来ると電話があったので、あとで クウクウに行ってきます。
ちびまることサザエさんを見てからね。
あんまり飲みすぎないようにしよう・・・。

●2003年7月5日(土)カラッと快晴

2時半までしっかり寝て、すっきりと起きました。
風呂に入って髪も洗い、焼き茄子を焼いたりして、スイセイとおいしくそうめんを食べる。窓からは涼しい風が入ってくる。
食べ終わったらすぐに仕事だ。
書斎にこもり、がつんと集中してレシピを書き上げました。
あとで、連載の文章も書き始めてしまおうと思う。
夜ごはんは、山芋の炊き込みご飯、ごぼうとちくわのきんぴら、水菜のお浸し、しいたけのじりじり焼き(油をひかないフライパンで焼くだけ)、青じそとねぎの清し汁、ぬか漬け。試作もしながらだけど、まあまとまった献立となった。
ご飯を食べ終わって、NHKの夫婦ものドキュメントをスイセイと見る。
風呂から上がったら、アースノーマットの匂いがしていた。
どういうわけだか、すごくしあわせの匂いだ。
あとは寝るだけ・・みたいな、一日の終わりの匂いだからかな。

●2003年7月4日(金)まあまあの晴れ

レシピ書きをしたり、メニューのアイデア出しをしたりしている間にも、電話がばりばりかかってくる。
それでもがんばってコンピューターに向かっていたのだが、夕方になってエネルギーがぷつんと切れた。缶ビールをごくごくと飲む。
スイセイを誘って、今日は飲んでしまうことにしました。
スイセイの誕生日会ということで。
ひさしぶりに「きんとき庵」へ。
ここは、以前よく行っていた割烹のようなお店です。3年ぶりぐらいだろうか。
おとうちゃん(板さん)もワカメちゃん(奥さん)も元気そうだった。
店の中も、おふたりも、微妙に3年分だけ変わったかもしれないが、相変わらずきれいで(店も人も)、なんといっても料理がものすごくおいしかった。
スイセイは「味合わせの妙の愉しみ」なんてうまいことを言っていたが、微妙な味の足し引きが、芸術的なほど。
前からもちろんおいしかったのだが、ますます磨きがかかって洗練されたうまさでした。
感動してしまい、すぐに酔っぱらってしまった。
お寿司を作ってもらって、クウクウのお土産に持って行く。
私はもう飲めないのでお茶ばかり飲んでいたが、終わってから皆とちょっとふざけたりしていたら、2時を過ぎてしまった。たらたらと、スイセイと手をつないで帰ってきた。
帰ってからも、スイセイとつもる話をする。
夜が明けてから寝ました。
私はこうやって、時々体も気持ちもへとへとになることをしないと、仕事をする気持ちが詰まってしまうようなのです。つねに5個くらいの仕事を同時進行させているので、詰まるとぜんぶがつながって止まってしまう。
パチンコの玉がつながっているみたいなのが目に浮かぶんです。
そういう時は、パーンとはじけてやるんです。

●2003年7月3日(木)ぼんやりした晴れ、夕方から雨

朝9時に、郵便屋さんに起こされる。
「速達でーす!」という元気な声だ。
郵便屋さんは痩せおもての爽やかな青年で、ドアをしめてから、タカタカタカッと階段を走り降りて行く元気な音がした。いしいしんじさんの小説に出てきそうなおにいさんだった。
10時には宅配のおじさんに起こされたが、がんばって11時まで寝ていた。
今日もまた電話が鳴るといやなので(編集さんすみません)、あちこち買い物をして周り、西荻まで自転車をこぎ、「どんぐり舎」でおいしいカフェオレを飲みながら仕事。
きのこの丼ものと、根菜もののメニュー案をどんどん出してゆく。
けっこうはかどりました。
夕方ポツポツと雨が降ってきたので、自転車をかっ飛ばして帰って来た。
洗濯を干してあったんです。
しかし、今日はぜんぜん電話がなかった様子。
ファックスもきていなかった。
夜ごはんは、舞茸のフライ、鯵の干物、かぶのサラダ、かぶの葉のおひたしじゃこのっけ、ねぎの味噌汁、玄米。
ねぎの味噌汁は、林家三平一家の真似。
三平の奥さんの本を読んでいたら、ねぎだけの味噌汁という話が出てきたんです。
これはきっとスイセイ好みだと思って作った。
家のスイセイは、味噌汁にごたごたと具が入っているのが嫌い。
私は、できるだけ野菜をとれるようにと思って、いつも具だくさんにして叱られていた。
ねぎだけの味噌汁、ねぎの味がよくしてすごくおいしかった。目から鱗だ。
ご飯が終わってビデオをふたりで見る。
おもしろいテレビの仕事がきたのです。
5話にわたる物語を私が書き、それをもとに小さなムービーを作ってもらうというもの。
文章は、芸能人が朗読する。私は出演しない。
いしいしんじさんもやっていたので、ビデオを送ってもらったんです。
おもしろい!ぜひやりたいお仕事だとスイセイと盛り上がった。

●2003年7月2日(水)けっこう晴れ

疲れがとれないので、ずっと寝ていようと決めていたのに、午前中からじゃんじゃん電話がかかってきた。仕方がないので、えいっと起きました。
それにしても、ひさびさの筋肉痛だ。
たぶん、きのうの収録で緊張して、体のどこかに力が入りっぱなしだったんだろう。
顔もすごいむくんでいるし、もう若くはない・・と、つくづくと感じる今日このごろだ。
夜ごはんは、お粥(私だけ)、肉野菜炒め(バジル入り)、めかぶ、塩鮭、わかめと貝割れの味噌汁。
「はぐれ刑事純情派」を見ながらスイセイと食べました。
このドラマの藤田まことが好きなので、けっこう毎週かかさず見ているかも。
「お誕生日おめでとう!」と、とつぜんスイセイが言い出した。
それでやっと気がついたのですが、今日はスイセイの誕生日でした。
毎年毎年、私はスイセイの誕生日を忘れている。
ほんとうは7月2日なのに、7月14日って、頭の中にインプットされているんです。
なんで14日かというと、7×2=14だから。
なんでかけ算してしまうのかは謎だ。

●2003年7月1日(火)曇りのち雨

朝から恵比寿のスタジオで、テレビの収録。
家にたどり着いたのが11時半。ぐったりと疲れた。
今日の収録は、とんでもない長緒場でした。なんと12時間以上・・。
最後、あまりの疲労感で、一瞬頭の中がパニックになった。
ちょっとしたせりふを3回くらいダメ出しして、言語障害が出てしまい、(自分で自分を)追いつめられた感じになって、4回目もしどろもどろだったけど、どうにかオーケーになった。
控室の鏡に写った自分は、すっかりと目が落ちくぼんだおばさんだ。
今日、気がついたこと。
私って、料理する時、脳を使っていない。以上。



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