2007年11月中

●2007年11月20日(火)曇り

寒くて、どんより。
冬の朝は起きるのが辛いなあ。
でも、これが冬というものだ。
ほとんどの空が曇っているけれど、西の空の一部だけすがすがしい青空がのぞいている。
朝ごはんを食べながら、スイセイに質問してみると、空模様は西から流れてくるのだそう。
しばらくしたら、窓の形の陽だまりが、畳の上にできている。
ほう〜。
でもすぐにまた、薄暗くなってしまった。
今日は仕事は何もやらないけど、子宮ガン検診に行った。
それと、明日の撮影用の買い物。
デミグラスソースも煮始めた。
アムたちが送ってくれた人参、これですっかり使い切ったぞ。
皮がしわしわになっているのを厚めにむいて、この間肉じゃがに入れたら、半日陽に干した人参みたいになっていて、味が濃く、とってもおいしかった。
じゃが芋も、けっきょくユミちゃんにしかあげられなかったが、ずいぶんうちで食べた。
こんど、川原さんたちがいらっしゃる時、何かにしよう。
夜ごはんは、キングサーモンと牡蛎のグリル(ごぼうのソテー添え)、サラダ(レタス、蕪)、ひじき煮、小松菜と水菜のおひたし、玄米。

●2007年11月19日(月)快晴

ポッカリとした日。
けっこう冷えるけれど、陽だまりは暖かい。
おにぎりと味噌汁で朝ごはん。
昨夜、『すいか』の梅干しのおにぎりが、ものすごくおいしそうだったので、真似して作っておいた。
22日に、『チクタク食卓』の打ち合わせがある。
その準備もほとんど終わった。
だから今日は、やることもなくポッカリ。
セーターの続きでも編もうかな。
4時前に、走りにいく。
今日は、気持ちよくも辛くもない。
入り日は素晴らしく綺麗だったが、そんな空を仰ぎながらストレッチをしていて、ふと、時間が止まったような感じになった。
公園のぐるりを、同じくらいの距離をおいて歩いている人たち。
皆、黒っぽい格好をして、うつむきながら歩いている。
ドラマチックな天と、ありきたりな下界の風景。
緑のような青っぽいような、水槽のガラス越しに見たような色。
死んだ人が天から眺めたら、こんな風に見えるような気がする。
水槽の中には私もいて、ぼんやりストレッチなんかしている。
夜ごはんは、肉じゃが(アムの人参入り)、白菜とベーコンのサッと蒸し、納豆、温泉卵、玄米。

●2007年11月18日(日)快晴

ポカポカと暖かい。
穏やかな日曜日。
遠くから、バイクの音がブーンと聞こえる。
車の音がしないのだ。
目の前の木は、上の方の葉っぱがずいぶんしおれてきた。
黄色を通り越し、茶色になりかかっている。
さて、今日もまた『チクタク』の作業の続き。
今、2005年の2月のところをまとめているのだが、このころの私はめまぐるしくて驚いてしまう。
1週間のうちに3回も撮影をし、1日だけ休んで「すり鉢教室」をやっていたり。
今の自分では考えられない早いピッチで、日々を送っている。
週にいちどはお酒を飲んで、インフルエンザにもかかっている。
わずか2年くらいの間に、人の考えや状況って変わるものなんだなと思った。
でもきっと、急に変わるのではない。
気がつかない間に、自分の体や世の中の変化、新しい出会いに感応しながら、気分や体調ともども、じわじわと移り変わってゆくのだ。
「生きている人間は、とどまってはいられないの。死んだ人間みたいに、ずーっととどまっていられないの。人は、変わるものなのよ」。
『すいか』の教授(浅丘ルリ子さん)の名ぜりふです。
「私は、30年間楽しかった。話したり、食べたり、飲んだり。読んだり、笑ったり。嘘ついたり、泣いたり。励ましたり、励まされたり。生きてることが嬉しかったの。ごめんなさいリチャード。私、変わってしまったの」。
30年前に死に別れたリチャード(恋人)が、約束通り迎えにきた、お盆の夜に叫ぶシーンです。
生きている人は、死んだ人の分まで楽しまねば。
3時半過ぎまでやって、ひとりで走りにいく。
うちの前の通りの木は、ずいぶん枯れ葉が落ちていた。
風が強いのだ。
上水沿いの道を走って、生きたお地蔵さん(いなかったけど)のところでUターンした。
帰り道でここを通るのは始めてなので、同じ道なのに、景色が新しく見えた。
行きは表の姿を見て走り、帰りは後ろ姿を眺めながら走っているよう。
土手の下草の緑に、橙、黄色、茶色の枯れ葉が重なって、くっきりした貼り絵みたい。
今日のピラカンサスは、イクラのようであった。
夜ごはんは、味噌ラーメン(もやし、コーン、葱)、冷や奴、生ピーマンの中華前菜風(中国醤油、ごま油)、陳さんの焼売、白いご飯。
今日、東京では、冬の到来を告げる「木枯らし1号」が吹いたとのこと。

●2007年11月17日(土)曇り一時晴れ

寒い。
昨日あたりから、急に冬になった。
朝起きたらどんよりして、空気も体も重たい感じ。
冬って、こうだったなあ。
どこにも出掛けずに、ずーっと寝ていたくなるような… 。
と思っていたら、「レタスクラブ」の本澤さんから電話があった。
「今どこにいると思う?」と言うから、近所にでも来ているのかと思ったら、なんと「パナヌファ」にいるんだそう。
藤原さんと、久保原さんも一緒に。
ひえ〜〜〜。
今日は波照間島は27度だそうで、「こっちは夏だよ〜」。
ああ、本当にうらやましい。
午後からは、薄暗い中、ロボットストーブをつけて『チクタク』の作業に没頭する。
あっという間に3時をまわってしまった。
寒いけど、ちょっと厚着をして走りに行く。
指先が冷たいので軍手もした。
1日見ない間に、うちの前の街路樹はずいぶん茶色くなった。
急に寒くなったからだろうか。
イチョウも真黄色、ツワブキも黄色い花が咲いていた。
「みいは、毎日同じ時間になると、散歩行かない?ゆうてせがんで、犬みたいじゃの」。
夜ごはんは、親子丼(玄米で)、蕪の葉とベーコンのバター炒め、鰤のヅケ(昨夜の残り)、温やっこ(昨夜の)、蕪の味噌スープ。
最近、毎晩『すいか』を見ている。
ここ3日くらい、私ひとりで寝る前に見ては泣いていたのだが、昨日からスイセイも参加して、第1話からもう一度見直している。
私がセーターを編んでいると、スイセイも部屋から何やら持ってきて、手を動かしながら見ている。
電気のコードがついた電線を、四角いネットに編み込んでいる。
これはいったい何?。

●2007年11月16日(金)曇りのち晴れ

撮影が1時からの予定だったけど、延期になった。
そのつもりで支度をしていたので、その分、ポカーンと大きな自由時間ができた。
風邪が流行っているから休校になった、みたいに嬉しい。
せっかくなので、テキパキ動く。
掃除もしっかりやって、朝ごはんもしっかり食べる。
午後からは、スイセイと街ヘ。
西友に用事のあるスイセイとは、途中から別行動。
最近、必要だと思っていた物をすべて買った。
『チクタク』で使う文房具や、毛糸や、洗顔せっけん、カルピスバター、スパッツなど。
クリーニング屋さんにも寄る。
ギャラリー「fe've」にも寄る。
今日はたくさん歩いたので、散歩はなし。
ごはんの前に、サイン本を50冊作る。
夜ごはんは、鰤のヅケ、切り干し大根煮、白菜蒸し煮(いつぞやの残り)、湯やっこ(水菜、割り醤油)、納豆、焼き海苔、白いご飯。
新米の銀シャリがおいしすぎて、狂ったようになってしまう。
ヅケと納豆を順番に海苔で巻いて、慌てながら食べた。
スイセイも山盛り2杯食べていた。
「こんなにおいしゅう感じるのは、ふだん玄米を食べとるからじゃと思う」。
玄米も充分おいしいのに、白米はもっと麻薬的においしい。

●2007年11月15日(木)快晴

9時半に起きた。
スイセイの咳もずいぶん治まったし。
いつもはパンなんだけど、お弁当のような朝ごはん(昨夜の残りものいろいろと甘い卵焼き)をしっかり食べ、元気満々。
ごはんを食べながら、昨日走った時の感じについてスイセイに報告すると、それはアドレナリンが出るようになったとのこと。
そうか。
出ていたのか。
さて、ゲラの直しをひとつやってしまおう。
ファックスをお送りし、『チクタク』の作業もやる。
3時半過ぎにスイセイと散歩。
早歩きのスイセイの3歩前を、延々と同じスピードでゆっくり走る私。
公園の200メートル手前でピッチを上げた。
桜の木の下で、おじさんが草笛らしきものを吹いていた。
曲名は、「遠くへ行きたい」。
つっかえると、また戻ってやり直す。
地味な夕焼けとおじさんの笛が、切なく響き合っていた。
帰ってひと風呂浴びてから、『ヒトセク』の見納め。
もういいかげん、DVDを返さねば。
今日は、『おかずとご飯の本』の見本が届いた。
印刷所の職人さんたちは、本当に私たちの指示通りにやってくださったんだ。
イヤッホー!。
夜ごはんは、牡蛎のクリームスパゲティ(マッシュルーム、玉葱、ベーコン、バジル、生クリーム)、サラダ(レタス、胡瓜、ピーマン、トマト)、切り干し大根煮(ちくわ、油揚げ、干し椎茸)。
すごく変な献立だけど、明日の撮影用に切り干し大根を煮たら、とてもおいしくできたので出してみた。
スイセイはとても喜んでいる。
「こういうのんを、毎日順番に出してほしい」。
こういうのというのは、蒟蒻の炒り煮とか、煮しめとか、白あえとか、広島の母ちゃんが作るようなものらしい。
そういう質素なおかずと味噌汁ぐらいで、ご飯をかっこみたいのだそう。

●2007年11月14日(水)晴れ

昨夜はまたスイセイの咳でよく眠れず、11時半にどうにか電話で起きた。
しょうがないなあ。
ゲラの校正を何本かやっているうちに、あっという間に夕方。
風邪がまだ治りきらないスイセイを置いて、ひとりで走りにいく。
最初から突っ走ろうと張り切って、玄関で足踏みをしていたら、「初めはゆっくりでの。体にエネルギーがいき渡ってから、早く走るんで」と、コーチのお言葉。
スイ「ほいじゃあキミ、サインは何?」。
私「はい。Vです」。
言われた通りに、ゆっくり走ってみる。
景色を味わいながら。
萩の花が咲き始めている庭があった。
ピラカンサスの、たわわに実った紅い実。
カシワ、コブシ、シラカシ、シロダモ、、マテバシイ… 。
上水沿いを走りながら、木々の名札を横目で見る。
出掛ける前には、走れるところまで走って途中でひき返そうと思っていたのに、気分がよくてどんどん走れる。
どこまでも走りたいような。
公園のグラウンドまで休みなしで走り、空を仰ぎながらストレッチ。
昨日、西瓜の匂いと感じていたのは、厳密にいうとマクワウリだった。
帰りも走る。
最後の30メートルはダッシュ。
私は今日、ひとりで走る楽しみを発見した。
『人のセックスを笑うな』で、ラジオから流れてくる挿入歌が、この間からずっと耳に残っている。
気がつくと、いつも口ずさんでいる。
ストーリーも映像もとても日常的なのに、見ている最中よりも、見終わってからじーんとしている。
遠くまで頭を飛ばされ、やたらといろいろ思い出したり、考えたりしている。
余韻をひきずる映画だなあ。
夜ごはんは、海老フライ&芋もち団子フライ(千キャベツ、ルッコラ、トマト添え)、白菜のサッと蒸し煮、小松菜おひたし、切り干し大根の味噌汁、玄米。
今日から、玄米も新米になった。
ひと粒ひと粒がもっちりして、すごくおいしい。

●2007年11月13日(火)快晴

天気予報の通り、ピッカピカの天気。
なのに、また12時まで寝てしまった。
たるんどる。
ひさびさに掃除機をかけ、昨日の短文を書き上げてお送りする。
今日こそは、走りに行こう。
4時前にスイセイと散歩。
このところ見ないうちに、あちこち一気に紅葉していた。
でも、もう少し早めに出ていたら、西日に照らされた葉っぱのピークが見れたのに。
例によって、途中から私だけ走る。
中央公園のグランドも一周した。
部活の高校生たちに追い抜かれながら。
風の道の木々もすっかり紅葉し、どういうわけだか西瓜の匂いがしていた。
秋は、香ばしい中にもみずみずしい清冽な匂いが混じっている。
夕焼けは、それはもうゴージャスだった。
オレンジに染まる雲と、グレーのうす雲とのコントラスト。
「今日のんは、夕方のシンフォニーみたいな夕方じゃったのう」。
夜ごはんの支度をしながら、フィッシュマンズの初期のCDを聞いている。
「ORANGE」と「Corduroy'mood」。
うすら寒くなってきた今の季節にぴったり。
たぶん、『人のセックスを笑うな』のノリの続きかも。
夜ごはんは、焼き肉(玉葱、ピーマン)、ちぎったキャベツ(柚子こしょう味噌添え)、トマト、塩おひたし(小松菜、蕪の葉)、明太子、白いご飯、蕪の味噌汁。

●2007年11月12日(月)快晴

ものすごくいい天気。
なのに、12時まで寝てしまった。
スイセイが咳込んだり、タンを出したりトイレに行ったりするたんびに目が覚めて、朝方まで眠れなかった。
でも理由はもうひとつある。
寝る前に、『人のセックスを笑うな』(これから封切り)のDVDを見て、いろいろ思い出してしまったのだ。
若いころのことって、とても恥ずかしい。
リトル・モアのフリーペーパーの短文を頼まれているので、そんなこんな考えていたら、眠れなくなった。
目の前のジャングルの木は、1本だけすっかり黄色くなっている。
とろりとした光が当たって、葉っぱは脱力したように、風に吹かれるままになっている。
のどかな日だ。
さーて、そろそろ書き始めよう。
夜ごはんは、秋刀魚の塩焼き、大根おろし、温やっこ(割り醤油、かつお節、柚子、葱)、蓮根と牛蒡のきんぴら、蕪の塩もみ(辛し酢味噌がけ)、小松菜のおひたし(昨夜の残り)、温泉卵、玄米。
ごはんを食べている時、「明日は、朝から青空が、空いっぱいに広がるでしょう」と天気予報が言った。

●2007年11月11日(日)雨のち曇り

朝、スイセイが洗剤と牛乳を買いに行ってくれた。
昨夜は咳が苦しそうだったけど、どうやら気持ちは外に向いてきているみたいだ。
よかった、よかった。
お昼に晴れ間が見えたので洗濯をするが、やっぱり曇ってきた。
さーて、『チクタク食卓』だ。
スイセイは散歩に出掛けた。
『まる子』も『サザエさん』も途中で見るのをやめ、夜ごはんの支度を早めにやる。
そしてまた、『チクタク食卓』の続き。
夜ごはんは、豚の生姜焼き(ポテトサラダ、南瓜の塩蒸し、人参のグラッセ添え)、小松菜のおひたし(しらすのっけ)、味噌汁(溶き卵、三つ葉、葱)、玄米。
夜になって雨。
「雨だよ」と私が言ったら、寝転がってテレビを見ていたスイセイが、「え、トメ?」と答えた。
やっといつものスイセイが帰ってきた模様。



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