2005年2月中

●2005年2月20日(日)薄曇り、寒い

いちど起きて風呂に入り、ものすごくお腹が減っていたのでマルちゃんのカレーうどんを作って食べ、髪の毛を乾かしてまた布団にもぐる。
今日みたいに寒い日曜日は、布団の中で『日々ごはん』を読む日和なので、その気になって読んでいたが、バタッと本を落とし、また眠りに入る。
毛布の柔らかい縁が顎のところを包んでいて、それを感じながらどっぷりと眠る。
今週はものすごくよく寝ているなー私、と思いながらも、眠るのをやめられない。
5時半にやっと起きました。
昨夜は、「すり鉢教室」の吉祥寺グループ(2名)を誘って、「晩酌や」さんに行った。
スイセイも途中から来て、下田さんも2時頃から来たので、けっきょく4時近くに帰って来ました。
ちょっと赤ワインを飲みすぎた。
のどの上あたりに、まだ味が残っている。
さて、これからゲラの直しを真面目にやろう。
そして、明日は浜松の畑に出掛けるので、6時半には起きなければならない。
晴れるといいんだけどな。
夜ごはんは、牛丼(玄米で)、白菜としいたけの蒸し煮、かぶの味噌汁。

●2005年2月19日(土)雨

アノニマ・スタジオで「すり鉢教室」。
大豆をゆでて、みそを作った。
16人がいろんな形と大きさのすり鉢を抱え、どんどん豆をつぶしてゆく様子は、なかなか迫力があった。
1キロの大豆を4人ひと組でつぶしてゆくのも、けっこうなつぶしがいがありました。
すり鉢教室も今日で終わり。
ここで習ったことが、生徒さんたちのまわりの人たちに、どんな形でも、ほんの少しでも、空気だけでもいいから、伝わっていってくれるといいなと思う。
今日のみそ作りだって、本当はマッキーに教わった。
去年の4月に初めて作って、うち家のみそ汁に、誰かが来た時の酒の肴にと、皆に喜ばれた。
ゆで汁をとっておいて、牛乳と信州みそとバターを加えてスープを作ったが、これだってしおりちゃんに教わったものだ。
料理は、おいしいものは、人を介してひろがってゆく。
そういうことがとても嬉しく、充実した気持ち。
だからますます惜しみなく、バンバン出し尽くしてゆきたい。

●2005年2月18日(金)曇り、寒い

今日も今日とてたっぷり寝てしまった。
もう、ごはんも食べないで、ずーっと寝ていたい・・・と思いながら、何度も目覚め、すぐにまた夢の中へ。
とも言っていられず、2時前には起きたけど。
起きてみれば起きてみたで、しっかりお腹は空いてくる。
「カコカコ」という料理(酒のつまみ)を、夢の中で誰かに教わった。
それは、アボガドをさいの目切りにして、ナタデココと合わせたもの。
カはカルフォルニアのカ、ココはナタデココだ。
だけど今思うと、つまみっていうかデザートだよな。
アイスクリームでまとめたらおいしそうだな。
ゲラがあちこちから送られてきて、片っ端から直しを入れてゆく。
夕方からは、「すり鉢教室」の準備のため、アノニマに行ってきます。
ふー、9時半に帰ってきました。
大急ぎで夜ごはんを作る。
きりたんぽのスープで鷄肉を煮て、長ねぎをさっと煮たきしめん、めかぶ、小松菜のおひたし(しょうがじょうゆ)。
きしめんは、黒七味がぴったりだった。
今夜は早めに風呂に入って、いただいた『日々ごはん2』の読者カードをじっくり読む予定だ。

●2005年2月17日(木)快晴

昨夜は、作業が終わってから、赤澤さんも誘って近所のおいしい蕎麦やに行った。
ひとしきり喋って食べ、日本酒も飲んだので調子が出てしまい、帰ってからスイセイとふたりで飲みに突入。
久しぶりだったし、いろんな仕事がひと段落したので。
それで例によって今日はちょっと二日酔いだ。
ずっと寝たり起きたりして、思い切りだらだらと過ごす。
お昼に、スイセイがみそ雑炊を作ってくれた。
仕事の電話をいくつか受けながらも、まただらだらと6時まで寝てしまう。
夜ごはんは、キャベツとにらの炒め物(オイスターソース味)、白滝の炒り煮、塩鮭、落とし卵の味噌汁、三五八漬け(蕎麦やの奥さんにもらった)、白いご飯。
食後に、赤澤さんからいただいたおいしいいちごを食べる。
早めに風呂に入って、今夜もたっぷり寝る予定だ。

●2005年2月16日(水)ずっと雨、すごく寒い

11時から撮影。
霙っぽい雨がびしゃびしゃ降っている。
そんな中スタッフが集まって、部屋の中では楽しく撮影。
今日、ヒラリンが東急で買ってきてくれた大粒の浅蜊は、海水に浸かっているのをそのまま売っていたそうで、砂ぬきがまだだった。
それで、ボウルをかぶせて小1時間砂ぬきをしていたのだが、使う前にヒラリンがボウルをはずしたとたん、ニョローッと全員のあさりの口から中身が伸びまくり、大急ぎで元にもどろうとしていた。
「ヒャ〜」とのけぞり、びびるヒライン。
ヒラリンは虫関係が苦手だから。
海水に浸かって、あたりは暗いし、浅蜊はすっかり油断して、夜の海にでもいるつもりだったのだろう。
それにしても、あんなに長く(5センチくらい)出ているのを見たのは私も初めてだった。
オリーブオイルでにんにくを炒め、菜の花をざっと炒めた上に浅蜊を乗せた時、ヒラリンが「ぷっ」と笑った。
さっきは海かと思っていたのに、「ここはどこ?」と一瞬のうちに戻され、気がついてみたら、こんどは菜の花畑の上にいたからだそうだ。
すっかり浅蜊の気持ちになっているヒラリン。
そんな元気な浅蜊と菜の花の炒め物は、ものすごくおいしくてたまげました。
塩も何も入れないのに、海水の味がオリーブオイルにからまって、深い味わいだった。
途中から、久々に藤原さんが遊びに(料理を食べに)いらした。
「うわー!お、い、しい〜」と言いながら、小さく足踏みをする藤原さんのいつもの食べ方が、とても懐かしかった。
4ページだけど割りあいカット数が多く、3時半くらいに終わりました。
皆で座って残った料理を食べたり、ケーキを食べたり、「人体の標本」展の話をしたりして、爽やかに解散。
7時からは赤澤さんがいらっしっやるので、毛布をかぶって夕方の教育テレビを見ながら横になっていたら、コトンと寝てしまった。
40分ほどの昼寝って、リセットボタンを押した感じ。
本の作業をやるので、新しい気持ちになって赤澤さんを待つ。

●2005年2月15日(火)快晴

朝から本の原稿書き。
気がついたら3時で、大急ぎでお昼の支度をする。
キャベツを半個分入れたソース焼きそばだ。
レミさんにいただいた「レミパン」は、えらい!。
キャベツをたくさん入れてもあふれないし、油も少なめでだいじょうぶ。
焦げつきもせず、ふたをしたらいい具合にキャベツが蒸されておいしくできた。
最近は、日が伸びてきて本当に助かります。
明日の撮影の仕入をしに4時過ぎに出て、久々に服なんかも買い、(もう外は暗いだろうな・・・)と思いながら出て来たら、まだまだ明るく得した気持ちになった。
帰ってからは電話の嵐。
何度も中断されながら、めげずに原稿を書く。
試作もしながら書く。
夜ごはんは、ちらし寿司、しいたけと卵のお吸い物、れんこんとごぼうの薄味きんぴら。
なんだか忙しくて、最近ぜんぜん飲んでないなあ。

●2005年2月14日(月)快晴

11時から撮影。
お茶ものなので、2時前には終わった。
カメラは、久しぶりに小泉さんでした。
終わってから、うどんを作ってスイセイと食べる。
だしをちゃんととって、薄味の広島風にした。
今夜は8時くらいに赤澤さんが来て、本の細々した作業をやる予定。
なので、あとでタイカレーを作って、食べたい人がいつでも食べられるようにしておこう。
それまでは自由だ。
図書館に行ったり、買い物に行ったりする。
まだ明るい畳の部屋で毛布だけかぶって、これから『対岸の彼女』を読もう。
夜ごはんは、グリーン・タイカレー(エリンギ、赤ピーマン、黄ピーマン、なす、鷄肉、アスパラ、ゆで卵)、きゅうりのベトナムサラダ、ゆでブロッコリー(ポン酢)、玄米。
タイカレーが玄米に合って、とてもおいしかった。
レモングラスもミントも香菜もあったから、ちょっと本格的だった。
けっきょく赤澤さんは夜遅くなりそうだったので、やっぱり水曜日に改めて来てもらうことにする。
風呂に入り、本の続きをぐんぐん読む。

●2005年2月13日(日)晴れのち曇り

起きがけに、昨日買った角田光代さんの『対岸の彼女』をうっかり読み初めてしまったが、今日はやることがけっこうあることに気がついた。
けっきょく起きてから、なんだかずっとバタバタしていたような気がする。
レシピ書きをやっていたら、原稿の締め切りをひとつ忘れていたことを思い出し、必死で書く。
夕方にはどうにか形になったが、明日の撮影で柚子ジャムを仕込んでおかないとならないことを思い出し、買い物に出る。
それでも『まる子』と『サザエさん』だけははずさなかったが、あまり集中できず、とちゅうで見るのをやめにする。
夜ごはんは、たらこスパゲティ、豆腐サラダ(レタス、クレソン、きゅうり、かぶ。撮影の残りの半端野菜をかき集めた)、鷄の塩焼き。
たらこスパゲティは、バターを入れずにオリーブオイルも少ししか入れなかった。
もそもそふわふわした食べごこちだったが、なんだか薄味でおいしかった。
食べ終わったらすぐに風呂に入り、柚子ジャムを煮ながら原稿の仕上げだ。
今、いい匂いが漂っている。
今夜は、『ウルルン』も『情熱大陸』も見ない予定。

●2005年2月12日(土)快晴

「おはよう市」に朝からスイセイが行って、アムプリンを買ってきてくれた。
吉祥寺のアンティーク屋さんで、アムプリンとエバジャムも加わって、朝市みたいなのをやっていたらしい。
お昼を食べながらその様子を聞いていたら、花柄の古い魔法瓶があったという話。
それが猛烈に気になる。
それで、日の高いうちに自転車で出掛けることになった。
アンティーク屋さんは、すでに閉店していたのに、カトキチが電話をしてくれたおかげでとくべつに開けてくれた。
残念ながら、魔法瓶の形はすごく好きなんだけど、花柄の背景の紫色がちょっと気に入らなかった。
でも、細かい古いものだとか、布だとか、いろいろありそうだった。
かなり昔の「暮しの手帖」や、「主婦の友」もあった。
椅子もよさそうなのがあったけど、とにかく閉店していて荷物が積み重ねてあるので、こんどまたゆっくりお邪魔することにする。
スイセイと自転車で走るのは久しぶりだったが、なんだかスリルがあって楽しかった。
スイセイの自転車はロード・レーサーだから、まるでオートバイみたいに車道をぐんぐん走るのだ。
道路を横断する時も、大きく斜めに渡ったりして。
ついて行くのがやっとだったが、要所要所で振り向いて、私が来るのを確認してくれたりもする。
昔はよくこんな風にして、自転車でデートをしたような気がする。
私は甘えた態度をいっさいとらずに、ぐっとついていく。
その感じを思い出した。
街でいろいろ買い物をし、撮影の仕入れもバッチリ済ませて帰ってきた。
ごはんの支度をしながら、もういちどゲラを見直したり、原稿を書き直したりする。
夜ごはんは、トロ白菜(命名はスイセイ。昨夜の肉団子と白菜の煮込みに、さらに白菜を1/4個加えた)、めじ鮪の刺し身、季節はずれの焼き茄子、広島菜、にらだけの味噌汁、玄米。
7時半から『鶴瓶の家族に乾杯』なので、それに合わせてごはんにした。

●2005年2月11日(金)快晴のち曇り

カーテンの隙間から、いかにも快晴っていう光が漏れていたが、1時まで寝てしまう。
昨夜は、原稿書きに没頭していたので、やれるだけやっていたら4時半過ぎてしまった。
洗濯物を干している時には、青空のはっきりした快晴だったのが、2回戦を干し始めた途端に東の方に雲が固まっていて、あれよあれよという間に曇ってきました。
くー、早く起きればよかっただ。
大テーブルの上に『日々ごはん3』を積み上げ、サインをする。
スイセイに手伝ってもらいながら。
スイセイは、10冊ずつ梱包されたガムテープをはがすのを、ドライヤーで温めながらていねいにやっていた。
私だったらビリビリやぶいちゃいそうだけど、アノニマに送り返さなければならないので、包装紙はだいじなのだ。
「みいは、ノーベル賞の科学者に助手をやってもらってるみたいなもんで」なんて言いながら、けっこう楽しそうなスイセイ。
隣に座って本を開き、サインをすぐに書けるように編集者みたいなこともしてくれる。
「はい、それでは最後の4冊ですよー。気を引き締めて間違いのないようにお願いしますよー」なんて。
私は、ご飯から出ている湯気を描く時に、1冊1冊、(ありがとうございます)と思いながらやった。
昼ごはんは、月見そば(スイセイ)、玄米のオムライス(私。ソーセージ、アスパラ入り)。
ふたつ並べて写真を撮ったら、食堂のメニューみたいであった。
オムライスがとてもおいしかった。
玄米とケチャップって案外合うことを発見したな。
このぶんだと、ナシゴレンやキムチチャーハンもおいしいだろう。
昼ごはんが終わって、昨夜の原稿書きの続きをやり、次の撮影のレシピ書きもやり始める。
夜ごはんは、中華風肉団子と白菜の煮込み、きのこの炊込み玄米、麩とねぎの味噌汁。
肉団子と白菜の煮込みは、スイセイの大好物だ。
肉団子を揚げてから煮込むのはめんどうだが、香ばしいスープを吸った白菜のおいしさのためには必要だし、スイセイの喜ぶ顔を見たいからちゃんと作る。
今日のは白菜の量が足りなかったので、皮つきのかぶをいっしょに煮込んでみた。
大成功のおいしさでした。
「白菜がの、トロ(鮪の)みたいにうまいのう」と、スイセイもうっとりしていた。
デザートに作ったはったい粉クリームの黒みつかけを食べ終わったスイセイは、お皿をス舐めながら『紅白歌合戦』の再放送を見ている。
それを寝そべって見ていたのだが、私はとても幸福な気持ちになった。
その気持ちは、”おいしいものを作って喜んでもらえるのが嬉しい”というステレオ的な感情だけには収まらない何かがあるな、と思った。
そのことについてさっき風呂の中で考えていたのだが、たぶんそれは、一体感なのだろうと思う。
ずっと一緒に暮らして二人の匂いが布団に染みつくように、私の作ったごはんをスイセイがおいしがるのは、たとえば私がスイセイを食べてしまって一緒に暮し、私の体の中でスイセイが喜んでいるような、そんな感じさえする一体感だ。



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