2004年5月上

●2004年5月10日(月)小雨だけど寒くはない

12時より「翼の王国」の撮影。
撮影が終わってから、なんとなしにチクワなど出してビールを飲んでいたら、倫子ちゃんから宅急便が届く。
お父さんが畑で作ったという、グリーンピースと新玉ねぎだ。
うわ〜い!。
山ほどのグリーンピースを桃ちゃんとむいて、ずっと作りたかったパスタを作る。
それは、スパゲティのゆで上がりと豆のゆで上がりのタイミングを合わせ(斎藤君が、カメラをまた組立て、いきなりグリーンピースを撮り始めたのでちょっとずれたが)、ハムをきざんでバターで和えるというもの。
味つけは塩と黒こしょうだけ。
ちょうどおいしいハムがあったので、豆と同じ大きさにきざむ。
山盛りのグリーンピースがプチプチして豆々しく、とてもおいしかった。
これは、「すてきなあなたに」に載っていたレシピだ。
スイセイは豆ご飯が好きではないから、グリーンピースが出始めると、いつも「買いたいなー、でも・・」と思いながら横目で見ていた私。
堪能しました、グリーンピース。
そして、半分は浸し豆にした。
これもまたタイミングを合わせ、だし汁に薄口しょうゆと塩で薄い色のお汁を作り、両方が熱いうちに合わせたもの。
豆が冷めてからだと皴がよるけど、このやり方だと時間がたってもぷりっとしたままだ。
汁ごとスプーンですくって食べる。翡翠のように美しい豆。
あとで丹治くんが原稿を持っていらっしゃるので、食べさせてあげましょう。
豆好きの丹治くん・・。
丹治くんが到着するのに合わせて夜ごはん。
ソーミン・チャンプルー(豚こま、ニラ、万能ねぎ、塩味)、わかめのワサビ添え、豆苗のおひたし(かぼすを絞った)、豆の翡翠煮。
時間がたっても豆はぷりぷりのままだし、汁に豆の味がうつって、とってもおいしかった。
スイセイも「おいしいもんじゃのう」と言いながら、けっこう食べていた。
なんだ、好きなんじゃん。

●2004年5月9日(日)雨

昨夜は「アボンリーへの道」を3本見てから寝た。
先週よりもまた、子供たちが大きくなっていた。
大人たちも、少しずつ年をとってゆく。
発明家のおじさんが、映画を写す話がとても良かった。
まだ、映画というものが出始めの「月世界旅行」の頃の話だ。
アボンリーの人々が、人の噂話をしていたり、夫婦喧嘩をしていたり、農作業をしていたりする普段の様子が、白黒のムービーになって、カタカタと映写機が写し出す。
そこに写し出された人々は、いつものたわいない暮しをしている、性格もでこぼこがあるよく見知った村人たちだけど、映像になると、なぜかすごく愛しいような、ひとりひとりが懐かしいような気持になった。
もうすでに死んでしまった人を懐かしんで、笑いながら涙が出るような。
無声映画だし、今みたいになめらかな動きでないし、ぶつ切れの映像だ。
なんか私は、映像ができた起源みたいなものを感じた。
映像の起源て、人間礼賛や自然礼賛の気持から始まったんだろうなって思った。
なんだか感動してしまった。
2時に起きて、次の撮影のレシピをまとめる。
サザエさんを見てから、雨の中買い物に行く。
夜ごはんは、すきやき。
スイセイのこの間の検査結果が良かったので、ご褒美にと思って。
思いついて、新ごぼうを入れてみたらとてもおいしかった。
マイタケもおいしい。
スイセイも私も、あまり肉を食べずに、野菜や豆腐ばかり食べていた。
野菜がおいしいのだ。

●2004年5月8日(土)曇りのち晴れ

本の表紙と扉の撮影。
カット数が少ないので、余裕のよっちゃんでやる。
「夏みたいになってきたー」と、日置さんは嬉しそうだった。
とちゅうベランダで、カラスに見入っていた日置さん。
「ねー、ヒオキってさ、話せるの?」と、茂木さんはふつうに聞いていた。
もちろんカラスとってことだが、まんざらまったく話せないってわけでもないらしい。
2時にはすべて終わり、シャンパンで乾杯。
早く終わったので、ヒラリンと自転車をこいで西荻へ。
しおりちゃんちに遊びに行く。
和楽は、また大きくなっていた。
まだ2週間ぶりくらいなのに、顔がどんどん少年になっていて驚く。
私に対するリアクションも、どんどん変わってきている。
なんだか今日は積極的だった。
というか、人間ぽいコミュニケーションをするようになってきたっていうことかも。
まだつかまり立ちだけど、いつひとりで立ってもおかしくないんだろうな。
帰ったら、強烈に眠たくなって昼寝。
夜ごはんは、塩ラーメン(もやし、ワカメ、明太子〕入り。
風呂上がりにこうして窓を開けていると、なんともいえない匂いがする。
ジャスミンとクリの花が混ざったみたいな、むーんとした匂い。
西荻に行く時にもジャスミンがすごかったが、昼間と夜とは匂い方がちがう。

●2004年5月7日(金)快晴、さわやか

昨夜は1時までかかって、丹ちゃんと「つき合わせ」をやった。
大テーブルにふたり並んで、集中し合う感じが私はとても好き。
丹治くんの集中が、すごく私を信頼させる。
図書館で受験勉強をし合うふたりっていう感じもする。
ふたりでやると、相乗効果が生まれる感じ。
終わってからスイセイと3人でちょっと日本酒など飲み、話は盛り上がっていったが、ふっと我に帰ったように「じゃ、僕は帰ります」と、タクシーで帰って行った丹治くん。
編集者ってほんとに、肉体も頭も使いっぱなしなんだろうな。
朝、りうの電話で起こされる。
私は電話で話すのが苦手なので、すぐに切りたくなっちゃう方なんだけど、今日は、りうの感じが電話を通してすごく伝わってきた。
言葉ではないところから情報が伝わってくる。
それは意味とかではなく、声からりうのイメージが伝わってくる感じ。
りうの部屋や暮しや、窓から見える川や、向かいの道を歩いているりうの背中や、パスタをフライパンから食べているりうや、子供の頃のりうや、なんか全体的にもっさりした湿ったりうの感じ。
家族だからだろうか。
たまにスイセイに外から電話したりして声を聞くと、やっぱり同じように感じる。
懐かしいような、すごくよく知っている、慣れ親しんだ温かい感じを、声の中からひろう。
ケイタイを落として電波が入りにくくなっているらしく、りうは外に出て歩きながら話していた。そして「今日は気持ちいいよ」と言って電話を切った。
その声が耳に残っていたので、もういちど寝てみたんだけど、すぐに起きてしまった。
ひさびさに、大洗濯大会だ。
5時から打ち合わせがあるので、それまでに明日の撮影の買い物をしてしまおう。
夜ごはんは、南瓜の煮物、ごぼうハンバーグとゆでアスパラ、蕪の葉のおひたし、玉ねぎとワカメの味噌汁、玄米。
南瓜は沖縄産と書いてあったが、なんだか水っぽかった。
まだ早いのだろうか。
新ごぼうのハンバーグはおいしくできました。
今夜の「ホームドラマ!」も良かった。
出演者もスタッフも、皆盛り上がって作っているのではないか?という気がする。
なんか、求心力みたいなのを感じるのです。
洗濯機のぐるぐる回る中心に、皆が引っ張りこまれてゆくような感じ。
中心は堂本くんっていう気がするが、どうだろう。
すっかり夢中の私。

●2004年5月6日(木)どんよりした曇り、寒い

天気予報はずれじゃん・・・と思いながら、お腹も痛いのでだらだらと寝ていたら、丹治くんからの電話で起こされました。
今夜9時ごろに、ゲラの「つき合わせ」をやりに家にいらっしゃる。
それで慌てて起きました。
顔にはシーツの跡がしっかりついている私。
なんか、濃い夢をみていたなー。
というわけで、最後の見直しをやる。
とちゅう買い物に行くつもりだったが、どんどん時間が迫ってきて、それどころではなくなったので、煮込んでいた塩豚と玉ねぎとじゃが芋のスープを、急きょ変更してカレーにする。
茄子とトマトを加えた。
茄子を加える時には、味噌をかくし味で加えるのが私は好き。
というわけで、夜ごはんは茄子とトマトと塩豚のカレー(じゃが芋は崩れた)。
もうすぐ丹ちゃんがいらっしゃる・・・・。

●2004年5月5日(水)雨のような、曇りのような

ものすごく寒い。
あまりの寒さにストーブをつけたり、熱いお茶を飲みながら「日々ごはん」の校正をやった。
とちゅう、こんにゃくと里芋の煮物を作りながら・・・まるで冬だよ。
お腹もぴーぴーだ。
夜ごはんは、中華風冷や奴、冷やしトマト、こんにゃくと里芋の煮物、塩豚とゴーヤの炒め物の残りにもやしを加えて炒めたもの、落とし卵の味噌汁、玄米。
風呂から出て、もうひと仕事。
スイセイは、換気扇を洗ってくれています。
脚立に乗って、フード周りや物入れの上の方までピカピカに拭いてくれている。
見に行ったら、「邪魔じゃけ、どいて」と言われた。
私は張りきって、レシピ書きをやってしまう。
明日は晴天で暑いみたいだから、早起きして洗濯したりいろいろやろう。

●2004年5月4日(火)かなり強い風、曇り

この間より、もっと激しい風が吹き荒れている。
ビュービューするのを頭の周りで聞きながらも、3時まで寝ていた。
そして気が狂ったように、シーツや布団カバーを洗濯し、強風にあおられながら干す。
すごく曇っているというのに。乾くんだろうか・・・。
家じゅう掃除機をかけ、雑巾がけをする。
なんか、湿気っぽいような古くさいような匂いがしていやだなー、と思いながら寝ていたのだ。
もしかすると、それは私の怠け心の匂いだったかも。
このところ、ちょっとひきこもっていたから。
蕎麦を茹でて、ワカメや小松菜も添え、スイセイと食べる。
スイセイは散歩に。
私は、自転車に乗って買い物へ。
東急デパートに入りがてら気がついたが、撮影用でない自宅用の買い物だけをするのは、ほんとうに久しぶりだ。
心が軽い。
そういえば、昨夜読んだ小説がおもしろかった。ひさびさのヒットだった。
丹治くんに借りた、「江利子と絶対」本谷有希子著。
「絶対」というのは犬の名前。
夕方から校正をじっくりやる。
夜ごはんは、真鰈の煮つけ(ふと思いついて、煮汁で焼き茄子を煮たらとてもおいしかった)、真だこの刺し身、かぶの塩もみ、かぶとにんじんの味噌スープ、玄米。
風呂上がりに窓を開けると、怖いくらいの静けさ。
まったく風がなくて、空は灰色だ。
昨夜はものすごい月明かりで、これもまた怖いくらいだったが。

●2004年5月3日(月)晴れ

やる気というものが、やっと今日から出てきたみたい。
まだ少しだけど。
ずっと料理らしいものを作ってなかったから、お昼にパスタをゆでた。
豚そぼろとキャベツと香菜のアジア風だ。
青唐辛子をナンプラーに漬けておいたものをかけて、スダチをしぼっておいしく食べる。
昨夜は「アボンリーへの道」を見たり、その後やったドキュメンタリーがおもしろくて、スイセイと夜更かししてしまった。
本のレシピの直しをやっと仕上げ、今から「日々ごはん」のゲラ校正をやります。
明日はひさびさに掃除をしよう。
夜ごはんは、塩豚とゴーヤの炒め物、玄米、味噌汁。

●2004年5月2日(日)曇り、少し寒い

ものすごく二日酔い。
久々に朝帰りだった。
膝にスリ傷があるんだけど、帰りに転んだのだろうか。
スイセイと手をつないで、ご機嫌で帰って来たのは覚えているが。
木の葉っぱが、下から見るととてもきれいで、アスファルトに膝をついて見上げていたような気もする。
黄緑色の折り紙を小さく折りたたんで、ハサミで切りこみを入れて、パッと広げたみたいな葉っぱの広がりだった。
酔っぱらっている時、いろんなものがいきいきとして、とっても美しく見えるのはなんでなんだろう。
というわけで、今日はぜんぜん使いものになりません。
さっきやっと風呂に入って、サッポロ1番みそラーメンを食べたところ。
これからまた布団に入って、サザエさんでも見ようかな。
明日から、「日々ごはん」のゲラ校正をやるとしよう。
早くやりたくてうずうずしているのだが、今日は我慢して読むだけにしよう。
布団の中でゲラを読んでいるうちに、けっきょくまた寝てしまい、夜ごはんは作らなかった。
スイセイは自分でお雑煮を作って食べたそうだ。

●2004年5月1日(土)晴れ

ものすごく眠たくて、あとからあとから眠りが押し寄せてくるので、いくらでも寝ていられそうだった。
体の奥から、濃い眠りがウミみたいに出てくる感じ。
やっと緊張がほどけたのかも。
それを断ち切るようにして、12時にがばっと起きた。
天気がいいし、今日は青山に行くからだ。
「四月と十月」という、牧野さんや川原さんたちがやっている美術の人たちのグループ展を、青山ブックセンターでやっている。
そして、「日々ごはん」の表紙の絵が出来上がったので、アノニマ・スタジオにも行く。
ゲラも受けとって、こんどは校正の日々だ。
昨夜、水出し烏龍茶の中にミントをひとつかみ入れておいた。
遠くの方でミントの味がして、なかなか爽やかでおいしい。
この間、赤澤さんが打ち合わせにいらした時、「このお茶おいしいですねえ。ミントみたいな味がします」とおっしゃっていた。
その時にはただの「伊藤園の水出し烏龍茶」だったが、それで思いついたというわけ。
では、これから行ってくるとしよう。



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