2007年10月中

●2007年10月20日(土)

どうせ寝ていられないので、6時半に起きてしまった。
雨は止んだみたい。
窓の外はほの白いが、青空がほんの少し出ている。
さーて、皆が集まる前に、もうひとおさらいだ。
空は、しだいに晴れ間が広がって、いつの間にやらふつうの晴れになった。
ミニバラは、葉っぱのつけ根のところに滴をためている。
ぷっくり盛り上がった水玉が、太陽に反射している。
赤澤さん、丹治君、萩原さんが集まって、10時からつき合わせ。
つき合わせというのは、編集者と著者が顔をつき合わせ、原稿の最後の直しを確認し合うこと。
『おかずとご飯の本』、これでついに脱稿しました。
2時くらいに終わって、4人で遅いお昼ごはんにする。
ひじき煮とゆかり入りの混ぜご飯に、にらのおひたし添え。
皆が帰ってから、「うわーい!自由だ〜〜!」と小さく叫び、両手を上げた。
いそいそと図書館へ。
夜ごはんは、混ぜご飯(お昼の残り)、中トロのヅケ、温やっこ(ゆで小松菜添え)、もやしと生きくらげとピーマンの炒め物。
最近、青森産の生きくらげがスーパーにあり、気になっていた。
プリっとして、本当に茶色のくらげみたい。
さっと湯通しし、炒め物にしたら、すごくおいしかった。
プリプリシコシコして、イカの植物版という感じ。

●2007年10月19日(金)晴れのち曇りのち雨

午前中は晴れていたのに、やっぱり曇ってきた。
天気予報ははずれなかった。
今日こそは、本の最後の仕上げ。
昨日の続きで、少しでも気になるところを直してゆく。
アノニマから新しい原稿が届く前に、あちこち掃除してスッキリさせる。
ぞうきん掛けまで、隅々までぬかりのないように、きっちりやってしまう。
4時くらいに届き、それからはひたすら没頭。
自分のしつこさにムッとしながらも、直しを書き込んでいると、1ページずつ仕上がってゆくのが、とてもせいせいする。
時々、ドキッとするくらいの見落としをみつけたりもする。
そうすると、「フィ〜〜〜ッ!」と得意な気分になる。
夜ごはんは、お茶漬け、塩鮭と、あとは昨夜の残り物大会。
風呂から上がっても、また少しめくってみたりして。
明日は、10時から皆が集まって、いよいよつき合わせだ。

●2007年10月18日(木)快晴

どんぐりの実は、すっかり成熟した色に。
葉っぱの緑も、オリーブの木のように深い色になった。
茶色と深緑色が光りを出し合って、くっきりしている。
布団を干していて気がついたが、きっとこの色合いもつかの間のものだろう。
そのうちに葉っぱは茶色くなり、また冬が始まる。
アムたちのところは初氷が張ったと、2、3日前のニュースで言っていた。
旭川の朝の景色が、一瞬だけ写った。
辺りの空気が白っぽく、畑を歩いている人は真冬の格好をして、吐く息も真っ白だった。
10月の頭に アムからメールをもらった時は、「今は紅葉がほんとにすごくて、一日一日色が変わって、見るたびに景色が違うから楽しい」と書いてあった。
さーて。
今日もまた、本の最後の仕上げを頑張ろう。
午後、預けていた原稿を赤澤さんが届けにきてくださった。
昨夜、コヤマン(旦那さん)も作業の手伝いをやってくれたそうで、「みいよう、思うぞんぶんやってみたらええで」と、スイセイの声で言っていたらしい。
私が書き込んだ直しが、しつっこいからだ。
ふふ。コヤマンに励まされた。
夜ごはんは、椎茸の肉づめ揚げ(みぞれあん)、茄子の蒸し焼き、ほうれん草のおひたし、豆腐と油揚げの味噌汁、玄米。

●2007年10月17日(水)晴れ

昨夜は、ロボの夢をみた。
トイレに起きてからも、また続きを見れた。
そのままずっと寝ていたかったが、カーテンから明るい光がのぞいているので起きる。
カラッと晴れたのはひさしぶり。
つかの間の自由時間。
朝ごはんをゆっくり食べ、スイセイとしばし語り合う。
午後になったら、また新しい原稿が送られてくる予定。
それまでの間、また「富士日記」を読もう。
夕方、リーダーのところにササ坊の葡萄を持っていく。
花の香りのするトイレットペーパーも。
昨夜作ったチゲ鍋も持っていったら、ものすごく喜んでくれた。
街へ出て、圧力鍋のパッキングなど買い、いつもの蕎麦屋で夜ごはん。
カレー丼&ざる蕎麦(スイ)、ざる蕎麦(私)、板わさ、しめ鯖。
ビール2本と日本酒を1合。
お酒をたのむ時、「日本酒を1升ください」と言ってしまい、奥さんとスイセイに驚かれる。

●2007年10月16日(火)曇り、夜になって雨

冬のように寒い。
昨夜は、よく眠れなかったな。
自分がやりたいと思っていたことをいざやってみると、ことごとく邪魔をされるような、内容は忘れてしまったけれど、そんな感触の夢をみた。
それに翻弄されたり、落ち込んだりして、もだもだ、まごまごしている夢。
ひさびさにあちこち念入に掃除をして、1時から「天然生活」の打ち合わせ。
内容もメニューも、すでに赤澤さんとつめておいたので、ササッと終わる。
ひき続き、赤澤さんと『おかずとご飯の本』の作業。
そのまま原稿を預け、持って帰ってもらったので、つかの間だけど自由になった。
小雨の中、「紀ノ国屋」へ買い物。
帰ってから、試作をひとつやり、電気ストーブをつけて読書。
ひさしぶりに「富士日記」を読む。
花の香りのトイレットペーパーのことを、もしかしたらリーダーが使ってくれるかなと思い、電話してみた。
「えー、欲しい欲しい。ちょうどなくなるとこだったし、使うよー!。私は嬉しいけどさ、高山さんちは何でいやなの?ぜいたくやなー!」と言われた。
ホッと安心。
夜ごはんは、チゲ鍋(たら、浅蜊、豆腐、白菜、にら)、たこぶつ、椎茸のバター炒め、おから、もちきび入りご飯。
食後に、テレビを見ながら葡萄をおいしくいただく。
秋田のササ坊が毎年送ってくださる、酸味も甘味も濃い、野性的な味の葡萄。
皮のまわりにはりついた実のところがとくに濃厚なので、皮までしゃぶる。
風呂から上がって、また「富士日記」。
気がつくと雨の音。
カーテンをめくると、暗い中、さめざめとした雨が物干しざおを濡らしていた。

●2007年10月15日(月)曇り一時晴れ

スイセイがゴミを出している音が聞こえたら、私も寝ていられなくなり、8時に起きた。
お茶を入れて、最後の校正。
明日、赤澤さんとつき合わせをやるので。
よーし、気合いを入れてやろう。
ほうじ茶&そば米茶のミックスをいれて始める。
布団は敷きっぱなしだし、パジャマのまんま。
顔も洗わずに、夕方までみっちりやった。
風呂に入って、夜ごはんの支度。
夜ごはんはイタリアーン!。
鷄のオーブン焼き(トマトソース、もちきび入りご飯添え)、サラダ(にんじん、大根、胡瓜、プチトマト)。
スイセイは今日、花の香りのするトイレットペーパーを間違えて買ってきた。
トイレットペーパーとティッシュはスイセイの係で、いちどに3〜4袋買ってきてくれる。
「いつもと同じのを買ってきて」と、普段からお願いしているのに、この間も1枚重ねのを安かったからと買ってきた。
それを、やっと使い終わったと思ったら、こんどは花の香りだ。
私が、「もう、サイテー!!」と少し大げさに言ったら、スイセイが怒った。
ごはんを食べ終わってからも、校正の続きをやる。
どうにか11時に終わった。
背中はガチガチ目はショボショボ。
もう、レシピなんぞ、こんりんざい見たくないような気分。

●2007年10月14日(日)曇り

ぼんやりした天気。
私の頭の中も、ぼんやり。
まだまだ寝ていられそうなのを、はさみでピシッと切って、どうにか起きた。
やらねばならないことがあるので。
おとといは、新しいアノニマ・スタジオで、たくさんの人に会った。
200人も集まったそう。
いろいろな人が私のところに来てくれて、挨拶をした。
亜衣ちゃんの料理、おいしかったなあ。
おくらや四角豆、赤ピーマン、しし唐などがオリーブオイルで蒸し煮してあって、ぜんぶ違う味がした。
トマト味とか、醤油味とか、そういう味つけの違いではない。
塩やビネガーの加減だろうか。
どれも野菜の味が濃く、色もとてもきれいだった。
赤ピーマンは深紅で、枝豆をつぶしたディップも鮮やかな黄緑だけど、全体的には少し茶色味を帯びたような、グレーも混ざっているような、紅葉の色合いだった。
お皿はほとんど白で、ひと皿に1品、1色盛り。
栗のつぶしたのも、落花生も、ディップをのせたパンも、片っ端から全部食べた。
最後に出てきた、内田真美さんのチョコレートケーキも、すごくおいしかった。
濃いお酒が欲しくなるような、しっとり大人の味。
真美さんが、ポテトケーキを切っているところを見た。
まだ熱いところに、ナイフを立てて、ツツツと切る。
切り終わる瞬間のケーキを、左手の人さし指と中指の背が、そっと支えている。
指とケーキの間に、たたんだナフキンをはさんで。
くの字に曲がった指の角度と置き加減。
視線を落とす横顔。
真美さんは、今までいくつのケーキを切ってきたのだろう。
何年もかかって染みついた手つきというのは、何にもかえがたく、美しい。
私は、柱の影につっ立ったまま、しばらく見惚れていた。
みどりちゃんとひさびさに会えたので、カウンターの前でワイン片手に立ち話。
ああいうところで会うみどりちゃんは、親分みたいだった。
若い子たちは、みどりちゃんと話をしたくて列を作っていた。
アノニマ・スタジオは、白い四角い空間だった。
でも、ピカピカとがってなくて、温かい白。
とても広くて驚いた。
外から見たら、暗い夜の中にそこだけ光っていて、電球の中に人が入って動いているみたいだった。
まだ新品できれいだけれど、これから何年も何十年もかけて、たくさんの人が出入りし、丹治君たちといっしょに色をつけてゆくのだろう。
シミやヒビもでき、味わいのある場所になってゆくことだろう。
さーて、私も頑張ろう。
今日もまた『おかずとご飯の本』の校正です。
『サザエさん』が始まるまで、ビシッと集中してやった。
夜ごはんは、かに玉、ピーマンの中華風前菜(千切りにして、生を中国醤油とごま油で和えるだけ)、たたき胡瓜、大根塩もみ(梅酢かけ)、おから、油揚げの味噌汁、玄米。

●2007年10月13日(土)どうだったのだろう?

だらだらと、夕方まで寝てしまった。
昨夜は、吉祥寺に帰ってから「イラブチャー」に寄って、赤澤さん、コヤマン、よう子ちゃん、スイセイと飲んだ。
2時に帰ってきて、よう子ちゃんはうちに泊まった。
朝(というかお昼)、スイセイとよう子ちゃんは、うどんを茹でて食べていたらしい。
私は何も食べず、とにかく眠たくて、ひたすら寝ていた。
スイセイはルウムへ。
ふと見ると、テレビの上に小さい草花がちょこんと置いてある。
駅弁の醤油の入れ物に生けて、隣に赤いふた。
よう子ちゃんの置き土産だ。
夜ごはんは、ほうれん草のおひたし、おから、納豆、白いご飯。
『セクロボ』を3話分ぶっ通しで見る。
いちばん最後のところで、DVDのデッキが壊れた。
見過ぎだろうか。

●2007年10月12日(金)快晴

秋晴れ。
洗濯物を干しながら空を見上げると、雲ひとつない青空。
満々開の金木犀のまわりを、小さな羽虫が飛び回っている。
さて、今日もまた『おかずとご飯の本』の校正だ。
けっこう暑くて、袖無しでも充分だった。
3時くらいから陽が暮れ、どんどん涼しくなってきた。
まるで、山の気候みたい。
丹治君が写してくれたDVDをチェックしながら、校正。
スイセイは、朝からバタバタと部屋で何かしていてルウムにも出掛け、さっき病院の検査から帰ってきた。
先月よりもまた、少しだけ良かったそう。
すばらしい。
今日は、夕方から、アノニマ・スタジオのお披露目パーティーに出掛ける予定。

●2007年10月11日(木)晴れ

昨夜は、『セクロボ』の、見逃していた第一話を見た。
もう、ボロ泣きだった。
切なくてたまらなくなった。
明るい中に闇が潜んでいるんではなく、闇の方が日常で、その中に強力な明るさがあるような『セクロボ』の世界。
音楽も、そんな感じ。
三日坊主(三日間しか記憶がもたない殺し屋。中村獅童)も、すごく良かった。
なんと。これが最終回につながるとは。
今朝もまた、9時に起きる。
洗濯物を干す時、暑いほどだった。
太陽がずいぶん下の方にある。
金木犀は満開。
1時から、赤澤さんと打ち合わせ。
なんか、私は元気みたい。
『おかずとご飯の本』の校正をやる。
昨日から始めたのだけど、これが正真正銘の校正。
今までやっていたのは直しで、赤澤さんとやりとりしてきた。
校正は、2回しかできない。
でも、もうほとんど磨き上げられている。
完成に近づいたレシピを直すのは、泥で作った団子に、砂をまぶしてスベスベにしているような肌触り。
最後の仕上げの心地よさだ。
でも、まだまだ気を許さないようにしなければ。
洗濯物を取り込む時、みごとな鰯雲だった。
夕方、陽が落ちてから、スイセイと散歩。
途中から中央公園まで走った。
走っていることを忘れてしまうくらい。
というか、ちっとも苦しくなくて、歩いているみたいだった。
どこにも無理がなく、空気と一体になっているような、そんな感じだった。
夜ごはんは、おから(昨夜のひじき入り)、大きい茶わん蒸し、青菜のおひたし(ほうれん草、小松菜)、焼き蓮根と海老の炊込みご飯。
夜、スイセイと一緒に『セクロボ』の1話を見て、またボロボロ泣く。
スイセイは、「ヒョエ〜〜〜。大人のドラマじゃ」と感心していた。
映像にもセリフにも、小さなひっかけがあり、見る人は自分の頭で考え、胸を痛め、感じながらでないと、画面の中に入れないようになっているそうだ。
そうなんだ。
私は夢中になっていたから、これが当たり前だと思っていた。
今のドラマって説明が多くて、簡単すぎて、役者さんもわざとらしい表情で、いやったらしい。
ぜんぜんドキドキしない。
『セクロボ』は、映画みたい。
でも、映画に比べて、お粗末で笑っちゃうのが混ざっているところも、このドラマのいいところ。



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