2007年1月上

●2007年1月10日(水)晴れ

昨夜は、ホテルに戻ってから大浴場にスイセイと入り、ちょっと話をして11時にバタンキューだった。
でも、あんまり眠れなかったな。
じつは、このところずっとそう。
テレビの収録が始まると、いろいろ考えが頭をめぐり、眠れなくなる。
まあ、いつものことだから仕方がない。
スイセイは、隣のベッドでスースーと気持ちよさそうに眠っていた。
7時に起きて朝風呂にゆっくり浸かり、目を覚ます。
朝ごはんを食べ、8時15分に出発。
ロケバスの運転手さんは、「今日は、いツばんいい天気です。すばらスいです。では、今日もよろしくお願いします」と、挨拶をしてから出発した。
まず、地元で5と10がつく日にやっているという、かわいらしい朝市に行く。
牡蠣はこれから育てているところを見せてもらいに行くので、味見だけさせてもらって、 買わない。
なまこ(生きている)、三陸の塩蔵わかめ、塩蔵昆布、焼きうに、塩うに、わさびの葉(小さい生わさびもついている)、そば米のおこし、赤蕪の漬け物、まつも(乾燥した海草)を買う。
大きいほうれん草やら、泥つきの人参やら、欲しいものは他にもあったけど我慢した。
何かを買うと、どういうわけだか皆おまけをつけてくれる。
わかめを1束100円で買ったら、もう1束つけてくれたおばあちゃん。
おつりをとりに裏にまわったおこし屋のおじさんが、なかなか戻ってこないと思ったら、「賞味期限が過ぎツまったから」と言いながら、おまけのポン菓子をつけてくれたり。
焼きうに屋さんでは、おぼろ昆布の袋をつけてくれた。
「お姉ちゃんたちはどっから来ただ〜?」「何のテレビだね?」「いつからやるだね?」などと、あちこちで暇そうに立っているおじさんが話しかけてくる。
「も〜う、あんたらがカメラで写しいとるから、わたしんところは誰もお客さんがこないだよ。まったく、困るだよ〜」と大声で怒っていた饅頭屋のおばちゃんは、発泡スチロールの箱をあけて、いきなりホカホカの饅頭をくれてよこした。
「何人いるだ?6人だら〜?」なんて言いながら、6個も。
おばあちゃんたちの岩手弁は、ところどころ聞き慣れない言葉も混じっていたけど、聞き返すとちゃんと教えてくれた。
皆、とても親切だった。
さて、いよいよ牡蠣と帆立ての漁場へ出発です。
山の合間から時々見える海は、鏡のように平らで、ピカピカ光っている。
海の中に、ところどころ、松ノ木がはえた小島も見える。
ここは、大船渡港。
のこぎり型のリアス式海岸なのだそう。
というわけで、ここからのことは2月12日の『きょうの料理』で放映されるので、このくらいにしておきます。
漁師の石橋さんが、とてもいいおじさんだった。
話を聞いたり、船に乗せてもらったり、隣に立っていただけだけど、なんだか、本当に優しい人だというのが分かった。
海の男でもいろんな人がいると思うけど、石橋さんはとても穏やかで、まるで大船渡の海の景色にそっくりだと思いました。
海の水は透き通って、私には充分きれいに見えたけど、ここ何日かの嵐で、これでも濁っているそうだ。
ふだんはもっともっと透き通って、底の方まで見えるのだそう。
遠くの山々は、茶色に緑が混ざったようなグラデーションで微妙に色合いが違い、トンビが青空を周りながら昇っている。
そこの松の木に、見たことがない鳥もきている。
こういう場所で毎日仕事をしていたら、石橋さんのような顔になるのかな。
朝とったばかりの牡蠣の殻を次々むいて、出荷の準備をしていた奥さんも、穏やかできれいな人だった。
というわけで、自分の出番が終った私とスイセイは、スタッフさんたちを港に残し、運転手さんに駅まで送ってもらう。
この運転手さんも、とてもいいおじさんだった。
私たちが船で沖の方から戻ってくる時、港の端で、寒そうに立っている小さい運転手さんが見えた。
コートなど着てなくて、制服みたいな紺色の背広のポケットに両手を入れ、風に吹かれて斜めになっている。
出番が終って、車の中で温まっている間も、運転手さんはずっと外にいて、ボートを眺めたり、海の中を覗き込んだりしていた。
運転手さんというのは、車の中で待つのが当たり前だと思っていた私は、胸が痛くなった。
このおじさんはきっと、会社の決まりだからそうしているんじゃなく、自分の気持ちでしていると思った。
そういう顔をしたおじさんだった。
なんか、東北の人たちの辛抱強さとか、情の深さを感じてしまった。
1時21分発の「スーパードラゴン号」に乗り、4時19分に一関を出る。
窓いっぱいに、端から端までのでっかい夕暮れ。
壮大な景色が動いてゆくのを眺めながら、新幹線のリクライニングシートに体をうずめているなんて、なんと贅沢なことだろう。
スイセイは、笹かまぼこと前沢牛のビーフジャーキーをつまみに、ビールを飲んでいる。
6時半に東京駅に着き、タクシーで帰り着く。
7時半にはわが家に。
ホッとしたら、自分がやけにしょっぱい味がする。
引き揚げたばかりのブリッと大きい生牡蠣を、殻ごと、船の上でいくつもツルッと頬張ったからだ。
あれはおいしかったなあ。
とったばかりの牡蠣は、潮の香りも味もしなくて、プリプリと「どこにも滞ったところがないのう」とスイセイが言っていたとおり、なめらかで透明な味がした。
あまりに新鮮なのは、磯の香りもしないものなのだ。
お風呂に浸かりながら考えたら、私は今日、朝市から入れて、大きな生牡蠣を5個も食べた。
帆立ても生で食べた。
もったいないなあ。
ヒラリンやリーダーやナツコにも食べさせてやりたかったなぁ。
夜ごはんは、聖護院かぶらの薄味煮(清水さんにいただいたのを、出掛ける前に煮ておいた)ゆで小松菜添え、一関駅のホームで買った「牛めし弁当」、「海の幸弁当」。
11時前にはバタッと寝てしまう。

●2007年1月9日(火)晴れ

7時に起きた。
スイセイは、6時に起きて支度をしていた。
朝風呂にゆっくり浸かり、お茶を飲んで、ではこれからスイセイと岩手に行ってきます。
お天気はどんなだろうか。
雪も積もっているだろうな。
8時にお迎えのタクシーがきてくれるのが、とってもありがたい。
時間はたっぷりある。
あいたペットボトルにほうじ茶も詰めたし。
しかし、8時15分を過ぎてもこないので電話してみたら、何か手違いがあったそうで、自分たちでタクシーを拾って出掛けることになりました。
けっこう道路も混んでいて、予定の新幹線には乗れそうもない。
スイセイが途中でうんこをしたくなってしまい、タクシーに待っていてもらって、コンビニで借りた。
その時点で、私はもうすっかり諦めた。
収録は明日だから、今日のうちに現地に着けばいいのです。
けっきょく、予定よりも2本遅らせた10時36分の新幹線で、駅弁を食べながらのんびり出発。
スイセイは、「いかめし」とビール。
私の「じゃこ弁当」はけっこうおいしく、おかずのバランスもよかった。
いろいろ入り過ぎてなくて、値段も手ごろなのがいい。
味つけご飯の上にちりめんじゃこが敷きつめてあり、緑色の山椒もちゃんと混じっている。
魚のごま揚げ、味つけゆで卵、里芋の塩ゆで、くるみの甘辛煮。
あとは、紅しょうがかしば漬けがちょこっとついていたら、サイコーだった。
福島駅のホームで、待っている人たちが寒そうにしているなと思ったら、雪の粉がチラチラ舞っている。
走り出したら、家々の屋根には雪が積もっていた。
それからは、雪がないところも、また屋根に積もっているところもある。
仙台駅は大都会で、まったく雪がなかった。
そのうちに、宮沢賢治のような大雪原に。
またしばらく行くと、空は晴れ、まばらな雪が田畑にスジを作っているくらい。
東北のここ2、3日の天気予報を見ていたら、どこも大荒れで、大雪が降っているのかと思っていた。
同じ東北でもひと口には言えなくて、雪深いところとそうでもないところといろいろあるのだな。
どこかの街のビルが建ち並ぶ雪景色を見ながら、「宮坂医院」という漢字だけの看板をみつけた時、ふと自分がどこにいるのか分からなくなった。
ちょうど中国のことを考えていたので。
中国の電車に乗って、窓から景色を見ているような気になっていたらしい。
栗駒高原駅の周りは、よく晴れていた。
畑のあぜ道には雪がなく、畝のスジに沿って、縞模様にうっすら雪が残っている。
1時15分、一関駅に到着。
乗り継ぎまでに1時間以上あるので、改札を出てあちこち散歩。
一関は、信用金庫のお姉さんも、薬局のおばちゃんも、道を訪ねた床屋のおじさんも、皆申し訳ないくらい親切で、感じがよかった。
ツンケンしたり、イライラと落ち着かなかったり、めんどくさそうにする人がいない。
ふと、サン(秋田出身)とシミズタ(福島出身)のことを思い出したが、東北の人というのは、人の気持ちを想像できる余裕のある気質なのだろうか。
というか、日本中の地方の人たちは皆そうで、東京に暮らしている人だけが違うのだろうか。
スーパーのレジの人とか、タクシーの運転手さんとか、たまにびっくりするくらいの人がいるけど、なんであんなにわざとみたいに無愛想になってしまうんだろう。
もっと普通に、当たり前に人に対して接すれば、自分も相手も一日中気分がいいのに。
東京のムードが冷たいからといって、地方から出てきた人(自分も含む)は、田舎ながらの温かい気風を、堂々と出していってほしい。
方言もイントネーションの違いも、どんどん丸出しにしていってほしい。
東京育ちの人たちが、それをみて真似したくなるような、正直で堂々とした気風。
なんて、歩きながら思った。
歩いていると、息が白い。
凍えるほどには寒くないけれど、空気の芯がツーンと冷たいような、すがすがしい空気。
スイセイは、「なんか、東北特有の呼吸の仕方があるような気がするのう」と言っていた。
口をむすんで、最小限に息をするような感じだそう。
道路の向こうの高台が丘になっているのが見えたので行ってみると、鳥居があった。
石段をどんどんのぼっていくと、小さな神社が見えてきた。
商売繁盛の神様に鈴を鳴らしたりして拝んでいたら、おじさんがやって来て、脇道をのぼっていった。
お社の脇には石段があり、小さい祠が見える。
集金カバンみたいなのを小脇に抱えて、頭を垂れている地元風のおじさん。
神妙そうでもなく、かといってぞんざいな風でもない。
きっと毎日の日課なんだろうな、という当たり前な感じ。
おじさんがいなくなったので、私たちものぼってみると、そこは本物っぽい感じがした。
大昔、神様がここに降り立ったような神聖な空気。
きれいに掃除をしたり、飾り立てたりしてなくて、自然のまま。
杉の木が、何本もまっすぐに立っている。
(広島のお母さんも、兄ちゃんも、りうもスイセイも私も、何か災難に遇って、誰かを傷つけてしまったりすることのないように、どうかお守りください…)と拝んで下りてきたら、そこは火災や盗難祓いの神様らしく、立て札が出ていた。
さっきのおじさんは、大きい社の前に立って、拝んでいる。
帰りぎわ、信用金庫でさっき見かけたマスクをしたおばさんが、石段をのぼってくるのが見えた。
きっと、このあたりの人の日常的な大事な場所なのかも。
一関駅に戻ってきて、「スーパードラゴン号、快速」に乗る。
かわいらしい2両編成の列車です。
運転手がひとりしかいないワンマン列車で、トイレがあるかどうかも分からない。
お客さんもまばらで、ボックス席におばちゃんがひとりで乗っている。
どこがスーパードラゴンなんだろう?と思っていたのだけど、走り出したらすぐにその意味が分かりました。
山々の間、田畑や丘の上、とうとうと流れる大きな川の上を、龍がうねうねと駆け回るように走るのだ。
トトロの犬バスみたい!。
「ホエ〜、ホッ、ホエ〜」と、たまに警笛を鳴らすのも、龍が吠えているみたい。
延々と走って駅をいくつも超え、私は眠たいような、景色がきれいで寝てしまうのがもったいないような、うろうろとした感じ。
スイセイは持参の枕(ドーナツ状の、空気を入れて膨らますやつ)を首にはめて寝ている。
やっと海が見えてきたと思ったら、そろそろ日暮れ。
でも、入江に囲まれた、とても静かで平らな海だった。
牡蠣の養殖のイカダらしきものが、ぽつぽつと浮かんでいる。
大船渡駅に着いた時、ちょうど5時の時報が鳴っていた。
向こうの方に、黒っぽく海が見える。
ディレクターの矢内さんが迎えにきてくれて、ホテルでしばし休憩。
岩手にまでやってきて、夕方の教育テレビを見てしまう。
『クインテッド』『ピタゴラスイッチ』『ぜんまいざむらい』。
『おじゃる丸』は見られずに、これからスタッフ皆で、ごはんを食べに出掛けます。

●2007年1月8日(月)快晴、ポカポカ

岩手ロケは、悪天候のためまた延期になった。
なので、今日は自宅の収録をやる。
料理はまだ作らないので、のんびりした気持ち。
9時半に起きて、朝風呂に浸かる。
なんとなく、頭の中では『プロフェッショナル』のテーマソングが鳴っている。
スガシカオが紅白で歌ったのが、すごくよかった。
買い物に行くのに自転車をこぎながらも、まだ鳴っている。
というか、鼻歌を歌っている。
今日の気分が『プロフェッショナル』なんだろうか。
車がとても少なく、景色が広々していると思ったら、道路の幅が広く見えるのだった。
まっすぐな道路の突き当たりまで、見渡せるくらい。
桜並木の枝先が、なんとなく桃色がかって見えたのは、もう蕾が花の準備をしているってこと?。
まさかとは思うが、木の芽のようなのはもう出ている。
それが葉っぱになるのだろうか。
お昼におにぎりとサンドイッチを食べ、1時からヒラリンとスタッフが集まって、収録が始まります。
あー、とても楽しかった。
収録は6時くらいに終り、ヒラリンが作ってくれた、清水さんのほうれん草のバター炒め、椎茸の醤油炒め、おにぎり2種(たらこ、ゆかり)を皆で食べる。
私は、聖護院大根の柚子香漬けを作った。
どれもこれもおいしかったなー。
解散し、ヒラリンと私たちはお蕎麦屋さんで夜ごはん。
板わさ、天ぷら盛り合わせ、カレー丼、ざる蕎麦とビール。
ちょっとゆっくりし、明日は朝早くから出発なので、早めに帰ってくる。

●2007年1月7日(日)晴れ、風強し

本当は今日から岩手のロケに出掛ける予定だったが、天気のせいで、明日に延びた。
晴れてはいるが、風が強く冷たい。
風のせいで太陽に雲がかかるのか、急に暗くなったりもする。
でも、仕事机から眺めていると、青空に白い雲がプカプカ流れ、スッキリと気持ちがいい。
そういえば、いつの間に木々はこんなに裸になったのだろう。
この間買い物に出た時にも、欅並木がどこにも葉っぱが残ってなくて、ちょっと驚いた。
私は、しばらく景色を眺めるのを忘れていたんだろうか。
年末の大掃除からお正月と続いて、今日からやっと、普段の暮らしの気持ちのところに着地したのかも。
あちこち掃除もしたから、ストンと落ち着いたのかもな。
だけど明日から岩手だし、帰ってきたら翌日から、自宅でのテレビ収録が待っている。
今日はきっと、つかの間の息継ぎみたいな日なのだ。
日曜日だし。
さて、あとで買い物に出て、『まる子』と『サザエさん』を見よう。
その前に、次のレシピも書いてしまおうか。
夕方、干しておいたお餅を揚げて、あられを作った。
鏡餅は塩味に、玄米餅は醤油とみりんをからめてみた。
揚げ餅は、油の温度がかなり低いうちから入れて、ゆっくり揚げるとうまくいく。
去年は、中まで揚がらないうちに焦げてしまったのだった。
木枯らしの中、「紀ノ国屋」へ買い物。
七草粥にしようと思って、七草セットを買ってきた。
そしたら『サザエさん』で、フネが唱えていた。
ワカメたちも暗記していたが、私もすっかり覚えてしまった。
「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、これぞ七草」。
けれど、七草粥はスイセイが反対。
仕方がないので、刻んで茹でたのをラーメンに入れることに。
夜ごはんは、七草ラーメン、海老とそら豆と赤ピーマンの中華炒め。

●2007年1月6日(土)冷たい雨

昨夜は、4時半くらいにお開きになって、それぞれ布団に入った。
私の仕事部屋で、りうが寝ていることを思うと、それだけなのにとても幸せな気持ちだった。
胸のあたりにお湯がのっかっているような感じ。
ためしにスイセイに、「またいつか、りうと一緒に住みたいね」と言うと、「そうじゃのう」とまんざらでもなさそう。
いつかりうが結婚したら、2世帯で暮らすようなことにも、この先、もしかしたらありうるかもしれないものな。
そういうことを思うと、夢のような気持ちになる。
今朝は12時まで寝て、りうが洗いものをしている音で起きた。
風呂に入り、昨夜の残りの寿司飯で混ぜ寿司(ハム、いか刺し身、いり卵、貝割れ大根、青じそ)、お雑煮(大根、ほうれん草)を作る。
3人でおいしく食べ、スイセイのカバンコレクションの中から黒いリュックをもらって、りうは2時過ぎに帰っていった。
「またねー」と手をふり合いながら。
こんどは、いつ会えるだろう。
来年の正月にもまた会えるだろうか。
だけど、何年会えなくても別に構わないし、またすぐに会えるのであればそれもまたいい。
元気な時もそうでない時もあるだろうけど、りうは、自分なりにりうの道をたくましく進んでいることが分かっているから。
なんか、うちの家族はそんな感じ。
雨はザーザー降りだし、あまりに寒いので、布団の中で本を読んでいるうちに猛烈な眠気がやってきた。
5時半まで寝てしまった。
夜ごはんは、タリアテッレ(ゆでキャベツ入り。辛いトマトソース)、牛ステーキ。
そういえばりうは、自分のことを「ワシ」と言うようになっていた。

●2007年1月5日(金)晴れ

朝からレシピを仕上げ、プリントし、いろいろ準備。
買い物にも行った。
つい本屋さんに入り、フラフラーっと選ぶ。
なんとなしに頭がボーッとしていて、街と自分、人々と自分の境界線に綿がはさまっているのを感じながらも、いろいろと買い物した。
ショルダーバックを買ったら、「吉田カバン」のものだった。
ずっと前に、メーカーをよく見ずにリュックを買って帰ったら、やっぱり「吉田カバン」だったことがある。
私は、「吉田カバン」が好きなのだな。
今日はりうが来るので、お刺身や牛肉など買って帰ってきました。
本は、フィリップ・クローデルの「子どもたちのいない世界」と「アルネ」。
2ヶ月ほど前に、「今はまだ書けないが、とても嬉しいことがあった」と日記に書いたことがあったけど、それは「アルネ」のことです。
今出ている、「アルネ」18号です。
松浦弥太郎さんが、本のおすすめのところで、『記憶のスパイス』について書いてくださった。
ファックスでカタカタと送られてきた、その文章のゲラを読んだ時には、自分のいろんなものを、いいことも悪いことも、くだらないことも、大きなことも、松浦さんが底の方からグッと手をさし入れて、丸ごと抱えてくださったような、ものすごくありがたい気持ちになった。
ぜひ、皆さんも読んでみてください。
さて、りうが8時ころに来て、ビールをちびちび飲みながら、夜ごはん。
数の子、黒豆、ハムサラダ、百合根の梅肉和え、寒じめほうれん草のおひたし、手巻き寿司(いかの刺し身、寒鰤の刺し身)。
りうは風邪をひいているけど、とても元気だった。
夏に会ったきりだから、半年ぶりだと思うけど、相変わらずぜんぜん変らないなぁと思っていたら、5キロも太ったんだそう。
いつも重たい機材やカメラをかついで走り回っているから、腰まわりとか、肩や背中がどっしりしたらしい。
そういえば、なんかたのもしい感じがする。
もともと痩せているから、太ったというよりは筋肉がついたのだろう。
3人でえんえんビールを飲みながら、つもる話をした。
広島の母ちゃんや兄ちゃん、りうのお母さんの話になって、そういえば自分だけ誰とも血がつながっていないんだな…と、ふと気がついた。
でも、心の底から、自分も家族のつもりでいるのだ。
変なものだなあ。

●2007年1月4日(木)快晴

今日は何もやらないぞ〜〜と決め、ごはんも食べずに寝倒そうと思ったが、12時半までしかもたなかった。
7日から仕事始めで、そのままドドーッと突入するから、休める時にとことん休んでおこうかと思ったのだけど。
なんとなしに、やらねばならんことが気になっているらしい。
手初めに、クッキー生地を仕込むのと、レシピ書きを始めよう。
スイセイは、初走りに行った。
私は、まだ買い物に行く気にならない。
玄米餅にカビがはえてきたので、削りとり、細かく切ってザルに並べた。
明日天気がよかったら干して、揚げ餅にしようと思う。
夜ごはんは、ほうとう(南瓜、白菜、大根、葱)、数の子。
夜、カーディガンが編み上がった。

●2007年1月3日(水)曇り

二日酔い。
明け方、これから子供らがまたうちに戻ってくる、という夢をみた。
待っている時の、なんともいえない幸せな気持ち。
ニマニマしてしまう。
これって、孫たちに会えるのを楽しみにしているおばあちゃんの気分だろう。
昨夜は、12時くらいにお開きになった。
昼の12時からだから、ほとんど12時間、ビールやら焼酎やらちびちび飲んで、気がついたら私はけっこう酔っぱらっていた。
楽しかったなー。
和楽とマヒナが確実に大きくなって、ちゃんと会話ができ、気持ちを通じ合わせることができるのが不思議だった。
和楽は31日に来たばかりだから、わりとすぐに慣れていつものテンションになっていたけど、マヒナはしばらくの間、固まっていた。
子供って、うちに遊びに来ると、慣れるまでじーっと黙って立っている。
神妙な顔をして。
子供たちがそうやって世界を敵にまわし、確認している様子は、動物みたいで、とても誠実だなと思う。
それを見ていて、じつは大人だって気持ちは同じだよなと思った。
初めての場所に行って初めての人たちに会い、その場ですぐに仕事をするだなんて、本当はたいした事なのだ。
大人だから平気なふりをして、知らん顔して話しているけど。
相手がどんな人なのか、そこがどんな場所なのか、体を殻のように固くして、中にある小さい心がアンテナ全開でチェックしている。
中には、大人でも平気なふりができない人がいる。
そういう人のことを、私はどこかで信用している。
初対面の時、人のそういうところを見て、好きになったりしているような気がする。
ところで、昨日のメニューは、数の子、黒豆、煮しめ、満月卵、平目の昆布じめ、十和大根の柚子香漬け、セロリの黒酢醤油漬け、京芋の含め煮、サラダ(生ハム、クレソン、人参、キャベツ、サニーレタス)、百合根の梅肉和え、たたき牛蒡、牛たたき(にんにく醤油、万能葱、貝割れ大根)、中華風鶏手羽とゆで卵の醤油煮、、玄米磯辺餅。
あとは、しおりちゃんが餃子の皮と具を作ってきてくれて、その場で伸ばして包んで、茹でた。
皮がプリップリで、なめらかで、すごいおいしかった。
よく聞いてみると、粉は「ハルユタカ」を使っているそう。
こんど私もやってみよう。
夜、太郎ちゃん(ハヅキの旦那さん)が来て、蓮根のフライパン焼き、菜の花のおひたしを作った。
お餅を焼く電熱器で、甘栗を焼いたり、するめやちりめんじゃこを炙ったり。
スイセイはりんごまで焼いていた。
皆、よく食べ、よく飲んだ。
というわけで、今夜の夜ごはんは、海老カレーとコールスロー(キャベツ、白菜、人参、クレソン)。

●2007年1月2日(火)曇り

天気予報では雨だといっていたけど、どうにか曇り。
それがとてもありがたい。
今日は、ハヅキが子供たちを連れて遊びにくるから。
雨降りの中、ひとりで子供2人を抱えてくるのはたいへんだもの。
マヒナは3歳、マハロはまだ8ヶ月。
しおりちゃんと永谷も、和楽を連れてくる。
あとは、いつもの近所の常連、リーダーとナツコ。
昼の12時から、子供3人、大人7人の新年会です。

●2007年1月1日(月)曇り

明けまして、おめでとうございます。
ホームページのアップが遅れてしまい、ごめんなさい。
昨夜は、年越し蕎麦を食べたら、猛烈に眠くなってしまった。
真面目に紅白を見て応援したからだ。
今年の紅白は、ステージ作りも地味で、歌そのもので勝負!という空気がまん延していた気がする。
去年はやたらにガチャガチャと賑やか過ぎたけど、今年のはとてもよかった。
芸能界のいいところが見えたような、自分が子供のころにもどったような紅白だった。
何度か涙も出ました。
というわけで、今朝は10時半に起きた。
スイセイはとっくに起きていて、台所の洗い物をしてくれている。
その音で目が覚めたというわけ。
元旦の朝ごはんは、黒豆、数の子、平目の昆布じめ、煮しめ、十和大根(高知から送ってくれた、まわりが赤い大根)の柚子香漬け、お雑煮(大根、白菜、ほうれん草、柚子)、磯辺巻き(玄米餅)。
支度をしながら、正月そうそうお雑煮のお餅を焦がし、刺し身を作っていて指を切ってしまった。
あわてんぼうの失敗で始まった新年、さて、今年はどんな年になるのだろう。
とりあえず、今日は思いっ切りのんびりして、編み物でもやろうかな。



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