2005年10月下

●2005年10月31日(月)晴れたり曇ったり

11時から打ち合わせ。
伊澤さんにゲラをお渡しする。
昨夜書いた原稿も見ていただき、その場でオーケーが出た。
これで、ひとまずは終わった。
あとは次のゲラを待つのみだ。
しかし、なんとなしに体が怠く、貧血っぽくもある感じ。
2時半から出掛けるので、それまでしばし横になる。
陽の当たる部屋で、毛布をかぶって。
目をつぶると、目の中が赤い。
太陽の光からエネルギーをもらっているようなつもりになって、1時間半ほど眠った。
4時からは、「タミゼ」でスイセイの展示会について、三回目のーティング。
昌太郎君とスイセイのコンビって素晴らしい。
スイセイは自分のことをおもしろいとか思わずに、ただただ物を作ったり考えたりをコツコツ続けてきただけど、それを、いちいちおもしろがる昌太郎君。
昌太郎君の着眼点て、なんか独特。
錬金術師って、昌ちゃんみたいな人のことを言うんだと思う。
昌ちゃんは、最近DVDの機械を買ったので、打ち合わせが終わったら、小沢征爾のウィーンフィルを「タミゼ」の壁に写しながら、ピザでもとってワインを飲みながら、皆で一緒に観ようとしていたらしい。
私も風邪ぎみだし、みどりちゃんもちょっとお疲れみたいだったから遠慮したら、「えー、帰っちゃうのー?」と、子供みたいに叫んでいた。
でもその企画、素敵だな。
宅配のピザっていうところがロマンチックだ。
私は、吉祥寺で買い物をし、ぐったりくたびれて帰ってくる。
鼻水は出るし、熱も出てきたみたい。
スイセイにたくさん荷物を持ってもらった。
こういう時のスイセイは、とても優しい。
張り切りすぎてる私より、ちょっと弱気だったり、寝ぼけていたりするくらいの方が、スイセイは好きなのだ。
それでもしっかり本屋に寄って、昨日新聞で紹介されていた新刊を買ってきました。
『黄色い雨』。
明日はまるで休日にして、布団の中で読みふけろう。
夜ごはんは、めじ鮪のヅケ、にらと黄にらとクレソンの塩炒め(豚肉少々)、れんこんと舞茸の炒り煮(残り物)、すじこ、白菜の漬物、大根の味噌汁、玄米。

●2005年10月30日(日)晴れのち曇り

昨夜は、川原さんの家でご馳走になった。
大根と貝柱の煮物とか、トンポーローとかいろいろ。
おいしかったなあ。
川原さんは本を見ながら作っているから、工程の途中で自分がやったことを、後から考えてみると忘れていたりするんだって。
そのことを自分でも「なんでだろう?」と不思議がっていて、それがおもしろかった。
川原さんてやっぱり独特。
そのへんの話をもっと聞いてみたい。
友だちのまろみさん夫妻も、なんだか可愛らしかった。
お互いのことが大好きっていうのが、見ているだけで伝わってくるような新婚さん夫婦。
人を好きだとか、親戚や家族に喜ばれたとか、そういう話ってたわいないようだけど、すごく周りを豊かにしてくれるし、強いと思う。
というわけで、けっこうお酒もいっぱいいただいて、3時ごろスイセイとてろてろ歩いて帰ってきた。
今日はちと二日酔い。
でも、昨日のうちに校正をひととおりやっておいたので、余裕のよっちゃんで寝こける。
2時に起きました。
『まる子』が始まるまで、校正の見直しをみっちりやる。
夜ごはんは、かけうどん(丹治君の高松土産)、わかめの刺し身、れんこん(リーダーの実家で作ったもの)と舞茸の炒り煮、白菜漬け、もろきゅうの塩漬け。
リーダーからもらったれんこん、小さいのに精が強く、ねっちりしてとてもおいしかった。
『ウルルン』『情熱大陸』を見たら、原稿をもう1本書き始める予定。

●2005年10月29日(土)曇り、今にも雨が降りだしそう

少し晴れ間も出たが、ほとんどずーっと曇り。
朝からみっちりゲラの校正をやる。
ぎゅっと集中してやるので、気がついたら例によって鼻血が出そうな感じ。
夜は、川原さんの家でパーティーがあるので、頑張っているのです。
7時くらいにだいたい一通り終わった。
では、行ってきます。

●2005年10月28日(金)晴れ

秋晴れとまではいかないが、穏やかな天気。
お昼に、額賀さんの器に白菜とじゃがいもの白いスープを入れたら、ものすごく似合っていた。
ちょっと見は和風だけど、あんがい洋風のバタくさい匂いもするのだ。
細かいヒビが入っていて、なんだか骨のような、遺跡のような肌触りのお皿。
私は好きだなあ。
午後からアリヤマデザインに行く予定だったが、夕方からになったので、読書の日と決める。
干したての温かい毛布をかぶり、続きの本を読む。
この間の大日本帝国の本だ。
この本には、長年なんとなしに知りたかったことが書いてある。
人間の姿を通して、その頃の日本が見えてくるのがおもしろい。
日が傾いてくると、ピーヨピーヨと鳴き声が聞こえる。ひよどりだろうか。
そんな中、じわじわと読み進む。
スイセイの夜ごはんに玄米を炊き、蕪の塩もみサラダを作り、冷凍してあった手羽もとのココナッツミルクシチューを温めておく。
では、そろそろ支度をして行ってきます。
一回目の校正刷りが上がるそうなので。
しばらくの間ぼんやり暮らしていたけど、また、本の世界にはまりこむ日々が続くことだろう。
約束の時間を間違えていたこともあり、1時間も遅刻してしまった。
おかげで、アリヤマ君の次の打ち合わせの方にも迷惑をかけた。
人が遅刻するのはなんともないんだけど、自分が遅刻をするのっていやなものだなあ。
人の時間を、自分が取ってしまったみたいな申し訳なさだ。
遊びではないんだぜ。
次回から、本当に気をつけよう。
打ち合わせは1時間ちょっとで終わり、「東横のれん街」で、餃子2種(海老にら餃子、ふつうの餃子)とキムチを買って帰ってきた。

●2005年10月27日(木)雨のち晴れ

朝、ショボショボと雨の中を買い物に行ったが、スーパーから出たら、雨はすっかり上がっていた。
だんだんに明るくなってゆく様子。
12時から撮影。
どんどん晴れてきた。
デザートだったで、タカタカ進んで3時には終わりました。
終わって、西荻へ。
「魯山」で、額賀さんの器をたくさん買う。
ひと目見てすぐに気に入ったので、どんどん選んで買った。
帰りに野菜も買い、すごい荷物で帰り着いた。
ひさびさに夕方のヨガをやる。
夜ごはんは、カツ煮(撮影の時に編集さんが揚げ物をいろいろ買ってきてくださった。その残りで)、白菜の蒸し煮(だし、昆布、酒、塩少々で蒸したので、おひたしみたいな感じ)、もろきゅうの塩漬け、蕪の味噌汁、白いごはん。
白菜がおいしくなってきたなあ。
豚肉を挟まなかったので、ポン酢醤油やコチュジャン味噌で食べようかた思ったが、何もつけずに食べた方がおいしかった。
だし汁と白菜の汁が合わさって、つい「うーん」と声が出てしまう。
ご飯茶わんも、白菜を盛ったのも、今日買ったばかりの額賀さんの器。
毎日どんどん使って、うちの味をしみ込ませたい。

●2005年10月26日(水)冷たい雨

二日酔いなのとくたびれたのとで、2時くらいまでひたすら眠った。
起きて風呂に入り、うどんを食べて布団の中で本を読んでいるうちに、すぐにまた寝てしまう。
ひそやかな雨が降っているし、この寒さだし、電気ストーブの赤いのが眠りを誘う。
昨日の収録は、とても良かった。
ヒラリンとしおりちゃんは、じゃがいものちょうどいい茹で時間と格闘していたが、おかげさまで万事うまくいった。
とにかく茹でたてのじゃがいもが本当においしくて感動し、その味に励まされるような気持ちにでやった。
このおいしさは、強くて、確実で、有無を言わせない。
(どんな悪いことにもこの味さえあれば負けない… 〕なんて、言葉にしたらこんな感じの気持ちだけど、なんとなく、ただ体の芯に棒がずどんと入ったような、そんな感じになった。
今の季節のじゃがいもは、本当においしい。
収録が終わってから、アノニマ・スタジオに向かい、丹治君とごはん。
六本木の、とてもおいしいお店に連れて行ってくださった。
前々から、丹治君はここに私を連れてきたかったそうだが、行ってみてその意味が分かりました。
そこはぜんぜん気取ってなくて、心からくつろげるお店だった。
私よりもひとまわり若い女の子が、きりっと手ぬぐいを頭に巻いて、どっしりと料理を作っていた。
厨房も使い込まれている感じで、ぴかぴかに磨かれ過ぎているわけでは決してない。
油が固まって、ぶ厚くなったてんぷら鍋の周りや、年季の入った焼き網やコンロ。
壁には、おいしい味や空気がしみこんだような色がついている。
男の板前さんの厨房とはちがう。
でも台所ではなくて、女性の厨房というような。
丹治君が「おいしいです」と言うと、いつも彼女は「ありがとうございます。今のキャベツは本当においしいですよね」などと答えるのだそうだ。
自分の料理の腕前なんかではなく、心からそう思っている人だと思う。
どれを食べても、そういう味がした。
「ここで、自分のためにごはんなんか作っても、ぜんぜんおいしくできないんですよね。素材があって、お客さんがいて、その空気を感じながらやると、たぶん全部がからまって、ちょうどいい火加減とか、火のとめ具合とか、できるんだと思います」。とも言っていた。
自分の腕前はすごいと思いすぎている人って、いくら本当に素晴らしい味を作れても、そこまでだと思う。
彼女みたいな人には、素材も、世界も、味方をしてくれる。
自分の実力にふたをせずに、どこまでも行けてしまうんだと思う。
ああ、本当においしかったなあ。
そして、日本酒もいろいろ飲ませていただいた。
というわけで、スイセイには申し訳ないが、今夜の夜ごはんは粗食です。
塩鮭、ほうれん草と春菊のおひたし、とろろ芋、蒟蒻と椎茸の味噌汁、玄米。
書き忘れたが、帰りに「太陽」にちょっと寄った。
頭ではなく、酔っぱらった体で感じた「太陽」は、やっぱりいい店だった。
風通しがよく、自由で、強いお店。

●2005年10月25日(火)秋晴れ

『きょうの料理』の収録。
素晴らしい天気。
収録の時にこんなに晴れたのは、初めてじゃないかと思う。
さーて、では行ってきます。
今日は、じゃがいもをたくさん茹でる。

●2005年10月24日(月)秋晴れ

今朝は、リンゴが送られてきた。
去年にもいただいた、マキコちゃん一家がもいでくれたリンゴだ。
大きくてつやつや光ったのが並んでいる。
昨夜もまた、『サイダーハウス・ルール』を見て寝た。
だから、ちょうどリンゴが食べたかったので(サイダーというのは、アップルサイダーのこと)、びっくりした。
何度見ても、ラストでは泣いてしまう。
そして終わるといつも泣きはらした目でトイレに行き、眠る。
さて、今日もまたカラリとした秋晴れだ。
天気予報のおじさんが、「何をやっても気持ちがいい日」と言いそうな。
次の撮影のレシピ書きやったら、明日の収録の買い物にあとで出掛ける予定。
夕方、図書館にも行った。
いちど帰ってから、ヤーノとちよじの家にリンゴをぶら下げに行く。
夜、ちよじから「実家から柿を送ってきたんだけど、いる?」というメール。
てっきりリンゴのお礼なのかと思っていたら、ちよじはまだ家に帰ってなくて、リンゴのことは知らなかったらしい。
偶然に、お互いが果物をおすそわけをしようとしていたのだった。
実りの秋だ。
夜ごはんは、カレーライス(めずらしくビーフにし、赤ワインを加えてみたら大正解。ルウを変えたからかも。S&Bの「まろやかカレー、辛口」だ)、キャベツと白菜とハムのコールスロー。

●2005年10月23日(日)秋晴れ

朝(といっても12時だけど)起きて窓を開けたら、香ばしい匂いがするような天気だった。
カラッと焼き上げたパンみたいな匂いの日。
感想して、木々や地面がいい匂いをさせているんだろうな。
昨夜は、ビデオ三昧をして3時半くらいに寝たんだけど、窓を開けたら、雲はいつの間になくなって月も星も輝いていた。
これはぜったいに晴れるだろうと思っていたら、やっぱりこの通り。
でも、今日みたいにこんな香ばしい日は、めったにないだろう。
オナガがたくさん来ている。
洗濯物を干していたら、空の真上に飛行機が飛んでいるのをみつけた。
飛行機雲がまったくなく、後ろに波のようなのが白く光っている。
それはちょうど飛行機の中から見える、海に浮かぶ一隻の船みたい。
ビデオは、『バッファロー’66』。
切なくもかわいらしい恋愛映画だった。ちょっと泣けた。
ギャロ、いいじゃん!。と、遅まきながら私も思う。
「クウネル」の恋愛映画紹介の時にこれを見ていたら、きっと私はこれを挙げただろう。
そして、『サイダーハウス・ルール』をもういちど見た。
なんかこの映画には、同じトーンの音楽(実際の音楽ではなく、映画の肌触りや空気感のこと)がずっとかかっていて、とても心地よく好きだった。
そしてそれは、実際に音をつけて音楽にすると、最初と最後にかかるテーマの曲とまさに同じ。
小説でもなんでも私が好きなのは、音楽の感触が共通しているのかも。
それは私にもそんな風に見えるという、世界観のことなのだ。
何かとても安定した、これからも毎日が続いてゆくような。
でも、その繰り返しの先には死があるから、哀しさも混じっている。
けど、子供たちの無垢な笑顔や犬の目、清潔なシーツや山々の紅葉を見るたびに、幸福な気持ちになる。
そんな感じの音楽。
映画を見終わって電気を消し、『サイダーハウス・ルール』のテーマ曲を体にしみ込ませながら寝た。
夜中なのに、ギコギコとのこぎりをひいているスイセイの音が聞こえてくる。
というわけで、今日はのんびり過ごそうと決める。
お昼に、ツルッとざるうどんを茹でました。
夕方になったら『まる子』と『サザエさん』を見て、夜ごはんの支度をする。
そんな日々だ。
夜ごはんは、焼き肉(牛肉を焼いてから、キャベツをざっと炒めた)、ピーマンの網焼き、煮しめ(残り物)、わかめの刺し身(にんにく、生姜醤油)、白菜漬けとたくわんとシバ漬け、茄子の味噌汁、玄米。

●2005年10月22日(土)小雨のち曇り

昨夜は、『キャスパー』を見たら映画づいてしまい、借りてきた『サイダーハウス・ルール』も見た。
すごく良かった。
淡々としたストーリーだけど、とても丁寧に作ってある。
何度もジーンと涙が出た。
ちょっと夜更かししたので、12時まで寝てしまう。
それでも頭がぼんやりして、寝たりない感じだった。
天気も重たいし。
2時からヒラリンとテレビの打ち合わせ。
ヒラリンは、すっかりシミュレーションしてくれてあった。
私は、まだ緊張の波に入りたくないので、テレビ収録のことはあまり考えたくなくて、シナリオもまったく読んでいなかったというのに。
感謝しながら、いろいろ教わる。
本当によくできた妹よ。
おかげさまで1時間もかからずに終わったので、美容院に行く。
なんか、ぼわーっと眠たくなって帰り着いた。
気圧が低いのだろうか。
世界が遠い感じで、自転車をこいでいた。
帰ったら、秋田のササ坊から葡萄が届いていた。
最近、葡萄が食べたかったけど、我慢していてよかっただ。
やったー!。
本屋に行くというスイセイに頼んで、リーダーとナツコとお蕎麦やさんに、おすそ分けの配達をしてもらう。
夜ごはんは、タラとじゃが芋と白菜の煮込み(この間のグラタンに白菜を加えて蒸し煮)、カジキマグロの味噌漬け、大根と貝割れのサラダ、カニカマ、白菜漬けとたくわん、玄米。
スイセイは皆に喜ばれ、なんだかええことをしたみたいで、嬉しかったそうだ。
「おいしいものは、皆で食べるのがいいですよね」。牧野さんの名言だ。
風呂から上がって窓を開けると、すっかり曇っている。
明日は本当に晴れるといいんだけど。

●2005年10月21日(金)曇り時々晴れ

不思議な天気。
晴れかと思ったら、すーっと雲がかき消して、まるで最初から曇りだったような。
でも穏やかで、ひんやりした湿気もあり、緑の苔のように清冽な日だ。
スイセイが早めに散歩に出ると言うので、大急ぎでコロッケパンを作る。
キャベツも刻んではさんだ。
チュイチュイと鳥もよく鳴いている。
ムクドリだろうか?。
今、サッと急降下して、金木犀の大木にダイビングした。
今日みたいな日って、鳥たちは気持ち良いんだな。
いろんな仕事の整理をのんびりやり、3時くらいから街へ買い物に。
ビデオも借りてきた。
夜ごはんの支度をしていたら、スイセイは病院から帰ってきた。
検査の結果は良かったそうだ。
先月よりもいいし、このところ3回続けて良かったそうだ。
パチパチとふたりで拍手する。
あー、よかった。
食事も、お酒の回数も、こういう感じでやっていけばいいんだ。
最近スイセイは、頑張って走っているからなあ。
汗びっしょりで帰ってくるものな。
今夜は、8時から鶴瓶の『家族に乾杯』と、9時から『キャスパー』をやる。
うーん、どのタイミングで風呂に入ろうか。
夜ごはんは、あおりイカの刺し身、煮しめ(れんこん、ごぼう、たずな蒟蒻、飛竜頭)、春菊とほうれん草のおひたし、大根葉の味噌汁、玄米。
脂ののったカジキマグロも買ってきたが、おかずが多すぎたので、味噌漬けにして明日食べることに。



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