2006年10月上

●2006年10月10日(火)快晴

ゆっくりの日。
11時に起きた。
昨日は、とても楽しかった。
木陰でバーベキュー&結婚お披露目パーティー。
星野君が「ニチニチ」からビールサーバーを持ってきてくれて、生ビールが飲み放題。
焼き鳥やら、焼き野菜やら、手羽のタイ風網焼きやら、チョリソーやら、焼き肉やら、サンが作ってきたキリタンポ(味噌をぬりつけて、網焼き)。
サラダもおにぎりも野菜のマリネも盛りだくさん。
ハモニカ横丁の「スモールライト」のお兄さんが、土鍋で沸かしたホットワインを出してくれるコーナーもあった。
食べ物も、飲み物も、ぞんぶんにあった。
全部で60人くらいいただろうか。
それぞれが好きな場所で、好きなように楽しんでいた。
子供らも駆けまわる。
秋の光がチラチラして、サワサワと風が吹いて。
誰と何を喋ったかもあまり覚えていないくらいに、なんでもないお喋り。
いつまでも明るくて、この時間がいつまでも続いてほしい… と、ずっと思いながら、私は過ごしていた。
皆、にこにこして、元気そうで。
「クウクウ」というお店はなくなっても、「クウクウ」という場は、いつでもどこでも集まった人たちによって作られる。
本当にこの木陰の公園が、広さも空の高さも明るさも風の通り具合も、皆の自由な感じも、「クウクウ」にいるような気持ちになる。
チヨジが麻の白いドレスに着替え、寅さんの格好をしたヤーノと手をつなぎ、向こうの方から歩いてきた。
光がいっぱいの草むらを。
公園で遊んでいる他の人たちもみな振り返り、遠巻きに眺めている。
子供たちも、駆け出してくる。
そんな中を、こちらにまっすぐに歩いてくるふたりを見て、うわっと涙が。
クウクウマスターも、いつの間にやら黒い上下に着替えていて、あれよあれよと人前結婚式が始まった。
「雨の日も、風の日も、お金がある時も、ない時も、助け合っていくことを誓いますか?」と、神父さんのつもりになって言いながら、マスターも胸がいっぱいになっているらしく、声がつまっていた。
それを見て、私はまた泣く。
隣でクマちゃんも泣いているから、また私ももらい泣き。
陽が少し傾いてきたころ、ウクレレとギターの合いの子みたいな、楽器を抱えてタカシ君が来てくれた。
木の根元に小さなイスを置いて、歌い始める。
タカシ君の歌声は、森にも空にも、聞いている皆の体の中にも、スーッと吸い込まれていくのが、目に見えるようだった。
「ベイビーベイビー目をとじてごらん そばにいるから シャーイニングシャイニング いつだってほら ここにいるから こーころがふくらんで ひーかりがともるよ ベイビーベイビー目をとじてごらん そばにいるから」。
チヨジはヤーノと手をつないで、時々空を仰いだりしながら、うっとりと幸せそうに聞いていた。
郁子ちゃんも駆けつけてくれた。
その頃には、もうだんだん薄暗くなりかけていて、片づけも始まる。
「太陽」の畑さんファミリーや、ケンイチ&ナカジイたちが、公園の別の場所に来ているというので、郁子ちゃんに連れられて行ってみたり、トイレに行ったり、スイセイを呼びに行ったり、フワフワとあっちに行ったりこっちに行ったりしている間にも、どんどん陽が暮れる。
気がつくと、もう真っ暗で、バーベキューはすっかり片付き、皆もちりじりに帰ってゆく。
その後、2次会があって、どこかに流れていくのかと思っていたのは、私とスイセイだけだった。
仕方がないので、ふたりだけで2次会。
タクシーで近所のお蕎麦屋さんへ。
ビールを2本と、板わさ、卵焼き、ざる蕎麦、天ぷら。
というわけで、今日はのんびりと、こうして日記を書いたり、買い物に出たり。
スイセイのリクエストで、今夜はおでんにする予定です。
夜ごはんは、おでん(大根、じゃがいも、いか巻き、うずら巻き、ちくわ、はんぺん、厚揚げ、蒟蒻、ゆで卵)、三崎海岸の鉄火丼(東急で「おいしいもの市」をやっていて、つい買ってしまった。1個をふたりで半分ずつ食べた)。
今夜は、『プラネットアース』の再放送がある。
布団をしいて、12時から見る予定。

●2006年10月9日(月)快晴

今帰って来ました。
今日は、ヤーノとチヨジの結婚パーティーだった。
野川公園で、11時からバーベキュー。
「クウクウ」の仲間たちや、お客さんが、皆集った。
リーダーとナツコは、北海道のアムたちのところに遊びに行っているので、ケイタイのテレビ電話で実況中継をし合った。
うーん。
まだ、9時前でぜんぜん早いんだけど、昼間からビールをちびちび飲んでいたので、すっかり酔っぱらってしまった。
なんだか陽に焼けたようにぐったりと眠たいし。
今夜は早く寝ます。
スイセイも、すっかりバタンキュー。
今日のことは、明日書くことにします。
おやすみなさい。

●2006年10月8日(日)快晴

風は少し強いけど、カラッと晴れている。
9時に起きて軽くヨガをやり、11時から「天然生活」の撮影。
みどりちゃん、新居さん、赤澤さん、中野さんと、女ばかりの撮影でした。
そして、肉料理の数々。
プロセスもきっちり追って撮ってもらったので、けっこう時間がかかってしまった。
なんか、肉料理というのは不思議だったな。
肉の力に巻き込まれるみたいになって、ドキドキするような感じ。
しかも固まり肉だし。
野菜料理だったら、いくらでも作っていられるけど、肉料理には限界があるなあ。
ひさしぶりの撮影だったせいもあるかもしれないけど。
終わってからホッとひと息し、女同士でしばし語らう。
歳のこととか、体のこととか、仕事のこととか。
そして、爽やかに解散。
ヒラリンと買い物に行って、『まる子』『サザエさん』。
くたびれて、眠たくて、目がシバシバしながら見ていたら、タラちゃんが指揮者ごっこをする話で泣いてしまった。
夜ごはんはなし。
10時ごろ、スイセイにうどんを作ってやる。
私は、郁子ちゃんが送ってくれた青森の農園のとうもろこし(「嶽きみ」という名前)を、風呂上がりに茹でて食べた。
ポクポクと、なんだか栗の味がして、ものすごくおいしかった。
秋のとうもろこし、という味わい。
8本ほど送ってくれたんだけど、今日のうちに茹でて食べるのがいちばんおいしいから、撮影のスタッフたちやヒラリンにおすそわけした。
でも、もしかして、チヨジとヤーノの結婚式で明日バーベキューをやるから、そのために郁子ちゃんは送ってくれたんだろうか。
うーん。
それでも1本だけはとってあるので、明日の朝、おにぎりを作る時に、とうもろこしを混ぜたのもにぎってやろう。

●2006年10月7日(土)快晴、台風一過

今日の昼間は、日記を書くのが馬鹿らしくなるような天気だった。
言葉にするのがもったいない、という意味です。
9時半に起きて、ヨガをやって、朝からあちこち掃除をした。
台所のレンジフードまわりを、スイセイがやってくれているので、私も負けずに台所をピカピカに。
布団も洗たく物もベンチのマットも、まな板も土鍋も、ベランダいっぱいに干した。
窓から空が見えるたんびに、ベランダに出て、何度も空を仰いだ。
まっ青で、高くて、自分が上に昇っていきそう。
クラッとする。
雲が流れているので、流れながら昇っていきそうな感じ。
台風の後というのは、本当にあちこちピッカピカなのだ。
明るいうちに紀ノ国屋に仕入れ。
明日が撮影だから行ったけど、街はどこも人が溢れていて、紀ノ国屋の中も、ものすごく声が大きいおじさんが家族連れで買い物していて、ちょっとうんざりした。
遠くまで見渡せるほど空気が澄んでいるんだけど、人の頭も多い。
私はもう48歳だから、考えてみると、残りの人生があと20年か30年か分からない。
それを思うと、そろそろ自然がいっぱいのところで日々を送りたいなー、というようなことを、最近よく考えます。
でも、年を重ねてからの20年というのは、短いんだろうか、長いんだろうか?なんてこともふと思ったりして。
夜ごはんは、秋刀魚の塩焼き、大根おろし、大根と厚揚の煮物(小松菜添え、薄いあんかけにした)、ポテトサラダ(スーパーの)、わかめと葱の味噌汁、玄米。
風呂から上がって窓を開けると、みごとな月夜だった。
紺色の空に白い雲、鏡みたいな丸い月。

●2006年10月6日(金)雨

昨夜見た、上田義彦さんの『プロフェッショナル』がとてもよかった。
夢にまで出てきた。
それがおもしろい夢だったので、また寝坊。
11時まで寝てしまった。
あちゃー!、本格的にもとに戻りつつあるではないか。
雨は本降り。
風も強い。
ヨガをやる気もあまりないんだけど、それでも2グループを頑張ってやった。
こんな日に、外に出掛けなくていいのは、とてもラッキーなことだ。
感謝しながら、風呂にゆっくり浸かる。
昨日のうちに材料を買ってあるので、あとで試作をやる予定。
夜ごはんは、豚の鍋焼きロースト(クリームソース、人参グラッセ、玄米添え)、トマト、ロメインレタスと胡瓜のサラダ。
豚の鍋焼きロースト、今日のは上出来だった。
肉汁がたっぷりで柔らかく弾力もあり、味もしっかりしみている。
塩とローズマリーとにんにくの量、温度や焼き時間も決まった。
家庭でこんなにおいしいのが焼けるようになったら、外食するのがおっくうになっているおじいちゃん、おばあちゃんも、きっと喜んでくれるだろう。
フレンチほど濃厚ではなく、日本人にちょうどいいハーブ加減とクリーム加減。
早めにお風呂に入り、今日届いた『日々ごはん8』の校正を始める。
放っておいたらいつまでもやってしまいそうなのを、もっと集中してやりたいので、高知旅行のとちゅうでやめとする。
あとは明日のお楽しみだ。

●2006年10月5日(木)雨

朝から、さめざめとした雨。
今まで早起きが続いていたのは、夏の青空や光がそうさせていたのかもしれない。
こう寒いと、そしてカーテンの外が薄暗いと、どうしても夢の方にひきずられてしまう。
10時半に起きたけど、本当は、1日中布団の中にいたいような気分だった。
ヨガをみっちりやり、くたくたになってお風呂。
体が目覚めても、なんとなしに眠たい。
新聞の文字もかすんで見える。
電気ストーブを出し、やっと扇風機をしまった。
ミルクティーをいれ、ビスケットを皿に並べて畳の部屋へ。
木に、細かい雨が降り注いでいるのが見える。
窓を閉めているので、音がしない。
山小屋の雨の日を思い出します。
『リンさんの小さな子』の続きを読みながら、まただーだーと涙。
夕方、図書館と買い物へ。
雨の日の図書館は、しっとりと落ち着いていた。
夜ごはんは、リガトーニ(大家さんにいただいたイカのトマト煮、ホンレン草のバター炒め添え)、ロメインレタスのサラダ。
フレンチドレッシングを、ちゃんと計量して小さいホイッパーで作ってみたら、やっぱりとてもおいしくできた。
ディジョンマスタード小さじ1、白ワインビネガー40cc、エキストラバージン・オリーブオイル180ccの割り合い。あとは、塩と黒こしょうとおろしにんにくを少し。
黄色く白濁して、フランスのレストランで食べた、グリーンサラダにかかってきたのと同じ味。
さて、早めにお風呂に入って、『プロフェッショナル』を見よう。
今夜は、写真家の上田義彦さんだ。
先々週からずっと楽しみにしていた。

●2006年10月4日(水)曇り

昨夜は寝る前に、『プラネットアース』の再放送を見た。
ユキヒョウのところが、やっぱりすごく好きだった。
高い山の、急な斜面に暮らしている生き物たち。
ユキヒョウのお母さんは、下の方で草を食べているカモシカのような獲物を捕まえようとして、何度か逃してしまう。
そのうちに雪が降ってくる。
雪は、足音を消してくれるから、ユキヒョウの味方。
「オオカミは、獲物を捕まえたようです。イヌワシも、そのおこぼれをもらいました。さて、ユキヒョウのお母さんは?」 というナレーションが入り、画面は降りしきる雪の向こうで、ユキヒョウのお母さんが獲物をくわえている。
自分の体よりも大きな獲物を、ひきずりながら、ひっかかりながらも、ほんの少しずつ斜面を登っている。
ユキヒョウの体はグレーの水玉で、山の斜面と保護色。
雪は、向こうが霞んで見えないくらいに、さめざめと降っている。
子供のユキヒョウが、岩棚にあるねぐらから出てきて、雪の向こうのひとところをじっとみつめ、お母さんの帰りを待っている。
絶望の中にある、小さなあったかさ。
水墨画のアニメーションか、絵本を見ているような、美しい場面でした。
スイセイも自分の部屋で見ていて、同じところで感動したらしい。
「ああー、えかったのう」とつぶやいて、布団をかぶった。
今朝もまた10時起き。
ファックスを送り、ゆっくりとヨガをやった。
あと1時間前倒しになって、せめて9時に起きられるようになるのが、今の目標。
午後からは、なんだかんだとパソコン仕事。
ファックスも3ケ所に送った。
夕方、ピンポンが鳴って、大家さんがいかを持ってきてくださった。
千葉県の千倉港で、漁師さんがとれたてを冷凍したものだそう。
カチンカチンに凍った大きなのを、5本もいただいた。
あー、どうしよう!ものすごく嬉しい。
今夜は、鮭のかす漬けを焼く予定だから、とりあえずこのまま冷凍しておこうか。
夜ごはんは、キングサーモンのかす漬け(焼き椎茸添え)、白菜と油揚げとわかめの煮びたし、焼き茄子、玉葱とみょうがの味噌汁、玄米(新米)。
玄米がもちもちしてとてもおいしかった。
後片づけをしながら、残りのご飯でお弁当を作っておく。

●2006年10月3日(火)曇ったり晴れたり

ひさびさに太陽が出ました。
しかし、朝寝坊の癖はまだ戻らず、10時に起きた。
ヨガもひさびさ。
しばらく休んでいたから、体が固くなっているのが分かる。
ひとつずつじっくり感じながらやれるように、1グループだけで終わりにした。
無理しない、無理しない。
午後から、『きょうの料理』打ち合わせ。
2時間くらい、みっちりといろいろ相談しながらやった。
こんどの回は、牛蒡。
牛蒡掘りにも出掛けます。
収録が、今からとても楽しみになるような打ち合わせでした。
終わってからは買い物。
そして、試作をしてはレシピを書き直したりして、とても充実した料理家らしい1日だった。
夜ごはんは、豚の鍋焼きロースト(レンズ豆煮添え)、キャベツ、人参、胡瓜、ロメインレタスのサラダ、ゆで上げパスタ(オリーブオイルと黒こしょうだけ)。

●2006年10月2日(月)小雨

雨だけど、明るい。
でも、11時まで寝てしまった。
静かな日です。
ヨガは今日も怠けた。
さーて、仕事に入ろう。
おいしいコーヒーをいれ、パソコン作業です。
レシピ書きと、試作もやる予定。
じゃがいもとリエットのグラタンを試作して、スイセイと食べているところに、ちょうどよくチアキが帰ってきました。
チアキに、くたびれてないか?と聞くと、「うーん、そうでもない。でも、毎日が濃い」そうだ。
昨夜も、サンたちと4時まで飲んでいたそう。
しばらくして部屋を覗くと、うつぶせのままコトンと寝ていました。
毛布をかけてやって、私も畳の部屋で読書タイム。
『リンさんの小さな子』を読み直す。
そしてまた、同じところで涙が吹き出し、だらだらとこぼれる。
夕方、毛糸の上着を着て買い物へ。
最後の夜ごはんなので、チアキと一緒に作った。
帆立入り鶏つくねの団子鍋(豆腐、白菜、水菜、春菊、椎茸、くず切り)、白いご飯(新米)。
鍋は、ポン酢醤油、柚子胡椒味噌でもおいしかったが、塩+ごま油+黒こしょうがいちばんおいしかった。
新米も、ピッカピカだった。
チアキは、今夜11時の深夜バスで大阪に帰る。
霧のような雨の中、バス停まで、スイセイと見送りに行く。
帰ってから、「なんか、捨て猫がうちに迷いこんできたみたいな1週間じゃったの。はよう風呂に入れてやらんと…みたいな。チアキってすごい口べたじゃけど、情がいっぱい詰まったような娘じゃったのう」などと、しみじみつぶやいていた。

●2006年10月1日(日)小雨

二日酔い。
1時くらいに起き、チアキに掃除機をかけてもらう。
私は風呂に入って、釜揚げうどんを茹で、3人で食べた。
ふー。
今日は、1日中だらだらの日にしよう。
しとしと雨がちょうどいい。
夕方、チアキはサンの家に出掛けて行った。
昨日はずっと大勢と一緒にいたから、さすがに人疲れして、ちょっとひきこもりたいような気持ちです。
スイセイも同じ気分らしく、老夫婦のようにいたわり合っている。
夜ごはんは、卵がゆ(海苔のつくだ煮、梅干し、塩昆布、いかなごの釘煮)。
9時から『プラネットアース』を見る。



日々ごはんへ めにうへ