2005年10月上

●2005年10月10日(月)ずっと雨、寒い

今日もまた寝坊。
しかし、昨日の続きの仕事を頑張る。
買い物にも行かず、集中してずっとパソコンに向かっていたので、気がついたら夕方の7時だった。
おかげで、ずいぶんはかどりました。
明日は、アリヤマデザインで打ち合わせなので、この原稿を皆に見せられる。
夜ごはんは、たらこのスパゲティ、わかめ2種(ポン酢醤油とちりめんじゃこ、わさび醤油)。
野菜不足だから、明日、帰りに野菜を買ってこよう。
ひさびさに街に外出なので、今夜は早めに風呂に入って、早く寝る予定。

●2005年10月9日(日)ほとんど小雨

すっと雨が降っていた。
雨が降っていると、空気が安らかで、ついつい寝過ぎてしまうなあ。
1時半に起きて焼きそばを作る。
食べ終わって、すぐに昨日の続きをやる。
次回は、何を隠そうじゃが芋料理の本なのです。
私の手元には、久家さんの迫力写真のコピーをページ順に並べた小さなブックがある。
その1枚1枚をじっと見ながら言葉を紡ぎ出すのは、とてもぞくぞくする仕事。
夕方、休憩で『ちびまる子』を見ながらヨガをやろうとして、あまりの寒さに電気ストーブを出す。
今日のまる子は、2話とも感動的だった。
夜ごはんを作りながらコーヒーを淹れ、また仕事に戻る。
夜ごはんは、いかと椎茸(日曜市で買ったスライスの干し椎茸)の欧風カレー、キャベツと人参のコールスロー、玄米。

●2005年10月8日(土)雨のち曇り一時晴れ

本のことに、腰をすえてじっくり取り込む。
やっとそういう気分になってきた。
これが有名な、モチベーションが上がってきた、と言う感じか?。
まえがきや中の文章に書きたいことを、湧いてくるままどんどんメモしていった。
そしてレシピの直しや、料理についての想いなども書いてゆく。
気分は落ち着いて、波打ったり浮き上がっているわけでもない。
これは、最近気に入っているCDのせいもあるかも。
ずっとエンドレスで聞いているのです。
時々窓を開けて外を見る。
3時ごろ、空の下の方に晴れ間が出て、黄色の混じった水色に光っていた。
パンツや靴下を干した物干しが、風でクルクル回る。
木々は葉を揺らし、アン・サリーが唄うイエスタディがぴったりの景色。
選挙カーの悲鳴のような声が、遠くから交差して聞こえてくる。
ああ、世の中はめまぐるしい。
俗っぽいものも清いものも、いっしょくたに息をしている。
明日は、市長選挙なのだ。
気に入っているCDというのは、この間、みどりちゃん経由でモッ君からいただいたもの。
モッ君も小林さんという方を経由して、鈴木惣一郎さんから預かったらしい。
ビートルズのバラードばかりを、女性ボーカリストが歌っている。
惣一郎さんプロディュースの、『りんごの子守歌』というアルバムだ。
郁子ちゃんやアン・サリー、エゴ・ラッピンの中納良恵さん、ポートオブノーツの畠山さんなどが参加している。
郁子ちゃんのは、あの、「クウクウ」のライブでタカシ君とデュエットしていた、「ラブ フォエバー」と唄う歌だ。
ひと足先にいただいたが、もうすぐ発売になるらしいです。
夜ごはんは、ステーキ〔人参のグラッセ、ピーマン炒め添え)、蕪のおひたし(昨夜の残り)、わかめとオニオンスライスの辛子酢味噌(酢のかわりに高知の柑橘類をいろいろしぼった)、焼き茄子の味噌汁(自家製味噌で赤だし風)、白いご飯。
風呂に入ってからも、本の作業をやる。
この集中力は、静かにしみ入る秋雨のせいかも。
3時までやって布団に入るが、いい言葉を思い出し、またパソコンに向かう。

●2005年10月7日(金)晴れ時々曇りのち雨

12時から「翼の王国」の撮影。
天気予報ですっかり雨のつもりでいたら、晴れじゃないですか。
斎藤君が晴れ男だからだろうか。
これが有名な、女心と秋の空か?。
とにかく嬉しい。
このところ部屋干しにしていた洗濯物を、ぜんぶ外に出す。
今日は、高知の芝ちゃんが送ってくれた、日曜市の柑橘類や生姜を写してもらった。
ぶっしゅ柑、直七、すだち、青柚子。
半分に切ると、切り口はぜんぶ違う。
匂いも色も違う。
斎藤君は切り口を見たとたん、「おーっ、すげえ」と反応していた。
種が大きいんだそうだ。
青柚子なんか、もりもりと果肉があって、種を持ち上げているくらいみっしり。
斎藤君の目になって見たら、果肉が肉のように感じられ、動物みたいに見えてきた。
半分に切ってしばらくおいたら、切り口が盛り上がって、ふたつが合わさらなくなった。
たぶん、皮に押し込まれていた果肉が、包丁を入れたことでパーン!とはじけた。
ヘタ付近の皮の盛り上がった皴は、斎藤君には肉割れに見えるのだそうだ。
うーん。とにかく野生的なことに驚く3人。
日曜市のおばちゃんたちの、庭の木になっていたんだろうか。
何でも、だいたいが一袋(いくつも入って)100円なのにも驚く。
3時からはインタビュー。
話しているうちに、ちょっと気持ちが良くなってきた。
何か、ふだん話さないようなことも話していた気がする。
言葉にならないようなことを、一生懸命説明するような。
インタビューさんのせいだろうなあ、きっと。
夜ごはんは、鰹の刺し身、鰹のポン酢醤油(スライスオニオン、青じそ、葱、高知の柑橘類とだし汁と醤油で自家製ポン酢醤油)、蕪のおひたし、茄子のくたくた煮、玄米、にらの味噌汁。
ひさびさに卵かけごはんにする。
うまい!

●2005年10月6日(木)曇り時々晴れ

朝方は雨が降って寒かったが、11時前にはすっかり上がっていた。
時々晴れ間も見えて、暑いほど。
11時から撮影。
みどりちゃん、日置さん、赤澤さん、ミキちゃん(アノニマから宝島社に移って、私の担当になった)、ヒラリンで、皆親戚のよう。
私は、ひさびさの撮影だったのでどうも脳が働かず、とろい料理家だった。
でも、実はそのくらいの方がいい料理が作れる。
料理は頭で作るものはないので。
夕方、ヨガをやってそのままテレビを見ながら寝ころんでいたら、猛烈な眠気がやってくる。
30分ほどだったけど、ものすごく深く眠った感じ。
夜ごはんは何も作らない。
撮影の残りものやおにぎりを、食べたい人が食べたい時に食べることにした。

●2005年10月5日(水)雨

静かな雨、金木犀の匂いがすごい。
そろそろと、本のことをやり始める。
なんだか頭がぼーっとする日。
それでもヨガはやった。
夜ごはんは、コロッケの卵とじ、ソーセージとピーマンの炒めもの、小松菜のナムル、じゃがいもと玉葱の味噌汁、人参と干し椎茸の炊込みごはん。
「きょうの料理」に私が出るので、スイセイといっしょに見る。
この間の収録は、いろいろ説明しなければならなくて、ちょっと忙しかったから、ドキドキしながら見るが、自分で思っていたよりも落ち着いていたのでひと安心。
「ええで。上等上等!」と、スイセイにも褒められた。ほーっ。
こんども、またこの調子で頑張るべ。
そういえばこの間の日記で、電気を消した風呂に入って落ち着いたことについて書いたら、読者の方からメールをいただきました。
彼女は、その当時お金を貯めていたので、毎日電気をつけずに入っていたそうですが、「どこまでがお湯で、どこからが自分の体なのか分からなくなるような感じ」というようなことを書いてきてくださった。
まさにその通り、と思いました。
いい表現だなあ。
それで、そのことについて最近考えていたのだが、自分とまわりとの境界線がないとか、曖昧なことって、もしかしたら人間を生存的に落ち着かせるのかもしれないなあ。
自意識が強ければ強いほど、苦しみも強くなるような気がするものな。
私は風呂から出ると、裸みたいな格好で必ず窓を開けて外の風を感じるが、その時景色と一体になっているような解放感がある。
いくら仕事がなくなって暇になっても、貧乏になっても、これだけはさせてください… と、お願い(誰に?)しながら。
時には、(これさえあれば、私は何もいらない)とか感謝(誰に?)の気持ちになりながら。

●2005年10月4日(火)曇りのち雨、寒いほど

しっかり曇っている。
金木犀の匂いは、日に日にはっきり届く。
そして秋は、蝶々の時期なのか。
今日はベランダの柵の所で、羽を休めているアゲハを2回見た。
11時から伊澤さんと打ち合わせなので、今お茶を沸かしている。
ふるさと万年茶とほうじ茶の出番が、今年もやってきた。
打ち合わせは1時間ほどで終わり、肉まんを蒸かしてスイセイと食べる。
あさっての撮影のレシピを上げ、買い物にも行ってしまう。
本当は、本のことを始めなければならないのだが、今ひとつ気持ちが入らない。
ちょっとレシピをいじってみたりもするが。
ちょっとこの感じは、小説家みたいかも。
何かがまだ煮詰まってなくて、のど元いっぱいの所まで来たら、うわっと書き出せるような気がするのだ。
今はまだ、そのムードがやってこないのが分かる。
確かなのはそれだけ。
だんだんに押し寄せてくるよう、そういう風に体をもっていこうと思う。
とりあえず今日はヨガでもやって、本を読もう。
夕方、広島の母ちゃんから電話があった。
スイセイは散歩から帰って風呂に入っていたので、ことづけを聞く。
「昨日ね、(父ちゃんの)お墓参りに行ってきましたの。子供らがちいちゃあ頃だったから、はあ、もう(死んでから)50年も経つんですけどね。ほいでもね、これからもよう皆さんのことを守っていてくださいねって、お祈りしてきとったんですよ」。
それをスイセイに伝えてくれとのこと。
私が何か聞いても母ちゃんはそれには答えず、自分の言いたいことだけを大きな声で元気に話していた。
たぶん、ついこの間広島に帰って掃除をしたり、ごはんを作ったり、お喋りをした私のことを、母ちゃんはもう忘れている。
私という人格と話しているのではなく、息子のお嫁さんと話しているという感じなのだ。
母ちゃんは幼いころから苦労のしどうしで、学校に行けなかったことをひけめに感じながら、細々と生きてきた。
だから誰にも威張ることをしない。
この心の綺麗さは圧倒的だ。
これからたくさんのことを忘れてしまっても、この綺麗さは何かの形で残るんではないだろうか、と私は思う。
夜ごはんは、秋鮭のみそ漬け焼き(小松菜のおひたし添え)、三陸わかめ(ファンの方にいただいたもの)のお刺し身とポン酢醤油大根おろしのせ、干し椎茸とひじきと豚バラの炊込みご飯、昨夜の味噌汁。

●2005年10月3日(月)曇り、涼しい

昨日とは打って変わって、秋。
曇っているけれど、重い感じではない。
つい、洗濯をしてしまう。
昨夜寝る前に、『猫村さん』をまた読み直してしまった。
手で払ったら本からこぼれ落ちそうな儚い線(スイセイが言った)、身近な幸せ、すごくいい。
このマンガを読んで、家事が楽しくなった人はたくさんいるのではないだろうか。
私もそのひとり。
今日も掃除機をかけながら、猫村さんのことを思い出していた。
ところで今ある掃除機は、最近スイセイがシルバー人材センターで中古のを買ってきた。
音がうるさいし、丸っこくて変な紺色だし、いやだなあ、かわいくないなあと思っていた掃除機だ。
でも今日、ちょっと好きになってきている。
なんでかというと、猫村さんの掃除機に似ているのだ。
案外小回りがきくし、うるさい音にも慣れてきたかも。
前の掃除機の車輪が壊れたので(これも中古でスイが買ってきたもの)、みどりちゃんが持っている、あの中身が透き通って見える外国の、頑丈で、かっこいいやつを奮発して買おうかと思っていたのだが… 。
猫村さんは猫なので、話の途中でも「ちょっと失礼」と言って、ゴロンと横になって手をなめたりする。
そこがすごく好き。
ついでに座布団を爪でひっかいたり。爪が痒いんだよね。
これから続編が出たら、『よりぬきサザエさん』みたいに本棚に並べたい。
装丁はアリヤマデザインだから、見た目も紙の肌触りもいい。ふふ。楽しみだ。
夜ごはんは、コロッケ(1/3はカレーコロッケにした)、千キャベツとスパゲッティ(昼の残りの伸びたパスタにケチャップをプラス)、蕪と胡瓜の塩もみ、わかめと大根葉の味噌汁、玄米。
いつもみたいにじゃがいもを丸ごとゆで、ゆでたてをちょっと食べてみたら、ものすごくおいしくなっていた。
キタアカリは栗のよう。
男爵も白いんげん豆のよう。
このじゃがいもは、買ってから3週間くらいたっているもの。
陽気のせいか、風通しのいい所に置いておいたら、芽もぜんぜん出なかった。
いい具合に熟成されたのかもしれない。

●2005年10月2日(日)快晴、夏のような暑さ

暑いくらいの日差し。
運動会日和っていう感じ。
ツクツクボウシも鳴いている。
9時には起きて洗濯し、朝っぱらから原稿の整理などしていらないものを捨て、本の作業に入るための下準備をする。
金木犀の匂いがはっきりと届いたので、ベランダに出て目をこらすが、まだ花は見えない。
さて、お昼を食べて、これから久家さんに会いに行ってきます。
6時ちょい過ぎに帰ってきた。
計画通り、『まる子』『サザエさん』に間に合った!。
渋谷で別れ、スイセイは東急ハンズへ行った。ひとりお楽しみの時間だ。
私の方は、『きょうの猫村さん1』を電車の中で楽しみながら帰ってきました。
そして、つい中華街の肉まんを買ってしまった。
猫村さんは、自分の人生に満足しているところがすごくいい。
帰ってからも、夜ごはんを作りながら、猫村さんの人生について想いを馳せる。
まるで、テレビドラマのシーンを反芻する猫村さんみたいに。
夜ごはんは、秋鮭のムニエル(舞茸とマッシュルームのソース)、粉吹芋、豆腐と豚バラの台湾風あんかけ煮、小松菜と蕪の葉のおひたし、玄米。
そういえば、帰ってくる時に金木犀の木をじっと観察したら、小さい蕾が葉っぱの陰にポチポチ見えた。
開いた時のオレンジ色ではなく、黄色っぽいような、白っぽいような、仁丹みたいな蕾だった。

●2005年10月1日(土)快晴

秋晴れの素晴らしい天気。
これからの撮影メニューをまとめたり、ファックスしたり、試作をしたり。
テキパキやって買い物に行き、図書館にも行きました。
天気がいいと、活動的になるなあ。
秋刀魚の寿司を作ろうと思い立ち、刺し身用の秋刀魚を買ってきた。
今、塩をしているところ。
ハルもやる気満々という感じで、庭を行ったり来たりして、いつもより吠えている。
夜ごはんは、秋刀魚の寿司、豆腐と水菜のあんかけ煮、わかめのポン酢醤油。
秋刀魚のお寿司が、とてもおいしくできた。
昨夜のごはんもスイセイはおいしくて喜んでいたが、今夜もまた「うーん」と唸りながら食べていた。
心の中でガッツポーズ。
ちょっとだけ涙がにじむ。



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