2007年1月下

●2004年1月31日(水)快晴

春のように暖かい。
16度だそう。
今日は、だらだらのだらだら日と決め、布団の中で寝たり起きたり。
1時過ぎまでそうしていた。
夢もたくさんみた。
鼻がむずがゆいのは花粉のせいか?。
昨日、丹治君に言われて気がついたけど、本当に日が長くなった。
ちょっと前まで、3時には薄暗くなりかけていたのがウソのよう。
窓から入ってくるのは、すっかりのどかな春の風だ。
さて、とりこんだ布団によりかかって、お楽しみの読書カードを読もう。
『日々ごはん8』の表紙について、たくさんの方から褒めていただきました。
ありがとうございます。
扉のカレンダーのようなのは、製作者のかおるちゃんは、「標本」と呼んでいました。
カラフルな小さい丸っこいのは、うちの毎日のごはんの写真を切り抜いたものらしい。
ひとつひとつぷっくり膨らませるのも、何かやり方があるらしいです。
表紙は、本物の封筒に刺繍してあります。
気がつきましたか?。
昼すぎに、広島の兄ちゃんから電話がかかってきた。
スイセイが缶ビールをひと箱送ったのが届いたらしく、とても喜んでいる。
母ちゃんにも途中でかわって、「ヨウシナさんからビールが屆いとって、わたしはお願いしとらんのにきとったから、びっくりしよったですよ。いくちゃん( スイセイのこと)は、なんでヨウシナさんが分かったんじゃろうねえ」。
スイセイは、母ちゃんの家の近所の酒屋さんをインターネットで調べ、そこに直接注文したのだそう。
そうすれば配達料がかからんから。
それを伝えたら、「まあ、いくちゃんは頭がええねえ!」と感心していた。
でも、ヨウシナさんという、いつも母ちゃんがたのんでいる酒屋さんだったのはまったくの偶然。
夕方、ひさしぶりに『クインテット』『ぜんまいざむらい』『ピタゴラスイッチ』『おじゃる丸』を見る。
せんべいをバリバリ食べながら。
夜ごはんは、鶏と野菜の甘酢炒め(キクラゲ、人参、竹の子、長葱)、ターツァイとほうれん草の塩炒め、たらこ、たくわん、しば漬け、浅蜊と白菜の味噌汁(おとといの湯豆腐の汁と浅蜊の酒蒸しを合わせたもので)、玄米。

●2004年1月30日(火)晴れ

9時半に起き、すぐに原稿書きとレシピの直しなどやる。
3時から、アノニマ・スタジオの方々が打ち合わせにいらっしゃるので、あちこち掃除機をかけたり、雑巾がけしたり。
今年1年の予定やら、『チクタク』のことなど、いろいろ話し合った。
すでにもう走り始めているが、今年もまた新しく、おもしろい年になりそうな予感。
原稿を書き終え、夕方には送ることができたので、スイセイを誘って近所の蕎麦屋へ。
板わさ、だし巻き卵でビールを飲み、天ぷら盛り合わせと、ざる(それぞれ違う種類の蕎麦)を1枚ずつ。
お蕎麦があんまりおいしいので、私は日本酒を2合飲んで酔っ払った。
中国から帰ってこっち、ずっと落ち着かなかったが、これでひとまずやるべきことは終わったので私はいい気分。
しかし、スイセイはものすごい勢いで食べたり飲んだりしていた。
8時までに帰って、インターネットで何かを落とす?んだそう。
事務仕事も大詰めらしく、何か面倒な質問をしたりすると、急に恐い顔になる。
帰ってから風呂に入り、だらだらとテレビを見ながらアイスを食べて、12時に寝た。

●2007年1月29日(月)曇り時々晴れ

10時半に起きた。
生理のせいもあるのか、眠たくてたまらなかった。
最近12時には寝てしまうのだから、もう少し早起きしたいものだ。
今日もまたパソコン仕事。
写真をはめこんだり、文をはめこんだり。
初めての作業なので、楽しいやら緊張するやら。
頭が混乱して焦ってしまい、スイセイともちょっと喧嘩した。
夕方、ひさびさに買い物へ。
何が食べたいのか分からず、出来合いのものばかり買ってしまう。
インスタントのスープ、インスタントのカフェラテ、コロッケ、お寿司など。
中国から帰って以来、インスタントものに惹かれる傾向あり。
ホッとする仕事の合間に、甘いコーヒーばかり飲んでいたせいか。
賄いのレトルトカレーも、やけにおいしかったなぁ。
きっと、中国でのことが懐かしいからだ。
夜ごはんは、スーパーのお寿司(海苔巻き、鰺寿司)、浅蜊の酒蒸し、湯豆腐(豆腐、白菜、ほうれん草)、 焼きたらこ(チヨジにもらった自家製)、スーパーのコロッケ(スイセイだけ)。

●2007年1月28日(日)晴れ

眠いコリ、どうやらとれたみたい。
朝ごはんを食べて、あちこち掃除。
ずっと気になっていたワックスがけもやった。
スイセイが言うには、私がいない間、このうちの中は死んでいたそう。
2〜3日まではまだ生きていたけど、私の気配がなくなって、だんだんにすさんできて、スイセイはひとりで畳一枚の上に座って、宇宙空間に浮いているようだったそう。
それはそれで楽しかったらしいけど。
ごはんを作るのが面倒で、食べなくなってしまうのが難点。
トイレだって、リビングだって、台所だって、掃除をしなければ死んでしまう。
料理の湯気や音って、家の中を生き返らせる。
さて、ひと仕事やって、『まる子』と『サザエさん』だ。
文章も書き始めるので、夜ごはんは簡単にする予定。
夜ごはんは、たらこスパゲティ、豚肉とほうれん草の炒めもの、人参と蕪のサラダ。

●2007年1月27日(土)快晴

昨夜は、打ち合わせの後、飲みに連れていってもらった。
阿佐ヶ谷の、おばあちゃんとおじさんがやっている小さい飲み屋。
串揚げ屋さんなんだけど、いろいろつまみがあって、コハダと帆立ての酢じめ、ホタルイカの沖漬け、茄子の漬け物に鮪の赤身とワサビがはさまったの、自家製ソーセージをつまみに、ビールと日本酒を飲んだ。
つまみもほどよくおいしいし、お酒の冷やもすすむ。
尊敬している人だし、大人のおじさんだし、でもぜんぜん緊張しなくて、ちょっと甘えてしまうような感じ。
楽しくなってきたので、私から誘ってもう一軒ハシゴすることになった。
こんどは、おいしいウイスキーがたくさんある素敵なところ。
オンザロックは大きな氷が丸く削ってあって、琥珀色の光がたゆたゆ。
私のハイボールも、黄色い光が泡立っている。
いつも年下の子たちに囲まれて飲んでいるから、なんとなしにお姉さん役ばかりになっていたけど、なんか、楽しかったなー。
というわけで、いろいろなことが一段落したし、中国から帰ってから休まずに動いていたので、今日は休日ということにする。
12時までぐっすり寝て起きたが、眠たいコリが残っているようで、布団の中でうろうろ。
1時半に起きた。
朝ごはんに、中華風の焼そばを作る。
最近、中国から買って帰った醤油がとても気に入っている。
日本のよりもコクがあって、ほんの少し魚介系のいろんなおいしい味が混ざっている。
自分にとっては、2代目ナンプラーという感じ。
この間、もやし炒めを作った時も、驚くほどうまくできた。
中国料理は油をたっぷり使うけど、火の加減をうまくすることで、素材がいきいきしたまま調理できることが、今回の旅でよく分かった。
油は皿の下に落ちるから、素材自体は油っぽくならないし。
ここしばらくは、自分なりの中華にはまりそうな予感です。
中国の野菜料理の入り口に立ったような。
そこは、まだまだ知らないことがいっぱいの、奥行きがある世界。
ワクワクする。
というわけで、写真の整理やら文章のアイデア出しを、これから布団の中でのんびりやる予定。
しかし、布団に入ったとたんすっかり寝こけてしまった。
夜ごはんは、牛肉ソテー、ほうれん草のおひたし(じゃこのっけ)、納豆、たらこ、蕪の味噌汁、玄米。

●2007年1月26日(金)曇りのち晴れのち雨

10時までしっかり寝た。
昨夜は、12時には寝てしまったから、10時間睡眠だ。
まだ慌ただしいが、やっと日常に帰ってきたような感じがする。
午後からは、ひたすらレシピ書きのまとめ。
夕方から打ち合わせで出かけるので、スイセイの夜ごはんを支度する。
茄子の中国醤油炒め(茄子は包丁で切らずに手でちぎった)、キャベツと人参のコールスロー、レトルトカレー、白いご飯。

●2007年1月25日(木)快晴

まっ青な空。
雲ひとつない。
昨夜は、おもしろい夢をみた。
中国で一緒に過ごした、新しい仕事のスタッフたちのことを、たとえば、この人はみっちゃん(双児の)に似てる。
ウルフ(「クウクウ」の初期スタッフ)にも似てる。
腰が隠れるくらいのダウンジャケットまで似ているし、声もそっくり。
この人は、波照間島の良美ちゃんに似てる。
隣で立っている時の、腰に重しをおいた姿勢や、足の平き方。
私が慌ただしく動いていたり、ふーっとくたびれて脱力している時に、甘いものを口に運んで食べさせてくれるところとか。
郁子ちゃんにも似たところがある。
この人の隣にいると、クウクウマスターのことをよく思い出す。
などと、そんな風に、いろんな人のことを結びつけながら、私は動いていた。
そうやって、新しい人々のことをぐんぐん信頼し、好きになりながら。
ヒラリンのことも、今まで知らなかったことがたくさん見えてきた。
英語の発音も本格的だし、地図も得意。
数字も得意で、聞けば何でも教えてくれるし、私の言うことを根気強く聞いてくれるところとか、みっちゃんに似てる。
いちど、私がうろたえている時、まるでスイセイがヒラリンの口を借りて諭してくれているような瞬間もあった。
とか。
夢の中では、新しく出逢った人々と今までの仲間たちが同時に出てきたのだけど、どういうわけか皆土でできていて、山脈のように私のぐるりを囲んでいた。
それはイメージの固まりらしく、ひとりひとりのことを、私は感じていた。
重なり合うように手足もつながって、穏やかに黙って立っている。
それが、いきなり土埃をたてながら、ザザザーッとぜんぶ崩れ落ちた。
土は重なって混ざり合い、そこいら中がただの同じ粒々になった。
そんな夢。
たぶん、私は着地したんだと思う。
朝ごはんを食べながら、夢のことをスイセイに話したら、「みいよう、そのイメージを大事にしとけ」と言われた。
スイセイによると、人間の脳みそは、未知の場所に入り込んだ時、自分の体験や知っているだけのものごとをたとえとして置き換えて、自分の居場所を作ろうとするんだそう。
そうしないと不安でたまらないから。
午前中から、キビキビと仕事。
やることが次々と湧いて出てくる感じ。
3時までバタバタ作業して、美容院へ。
行きしな、ものすごく久しぶりにクリーニング屋さんに寄ったら、おばちゃんは覚えていてくれた。
私の名前(本名)を、顔をじーっと見てから言った。
それがとても嬉しかった。
『日々ごはん1』に出てくる、割烹着が似合いそうな、料理が上手そうなおばちゃん。
もう、かれこれ3年ぶりだと思うけど、いくら商売柄だとはいっても、すごい記憶力だな。
買い物をして、暗くなってから帰りつき、レシピ書き。
夜ごはんは、手羽先とゆで卵の醤油煮、ターツァイと竹の子炒め、冷やしトマト、ちまき、キムチ、たくわん、梅干し、白いご飯。
このところ、スイセイも私もすごく早口。
ごはんを食べていても、喋ることがたくさんあって慌ただしい。
でも、ふたりともぜんぜんいやでなくそうしている。
食べ終わったら終わったで、あたふたとそれぞれの部屋に向かい、寝るまで別行動。
夜、風呂上がりに窓を開け、ひさしぶりに夜空を見た。
裸の木々はジャコメッティのようであり、オリオンがずいぶん下の方に出ていて驚く。
今夜は10時から、お楽しみの『拝啓、父上様』がある。

●2007年1月24日(水)曇り

昨日の5時くらいに成田に着いて、8時過ぎに帰りつきました。
風呂に浸かり、お土産のちまきを蒸して、ビールで乾杯。
留守中のお互いの報告をし合って一気に盛り上がり、私が写してきた写真をテレビで見ているうちに、スイセイは電池が切れたように寝てしまう。
私もとなりにすべり込み、倒れるようにして寝た。
今朝は、8時には目が覚めてしまう。
でも、あまり眠れなかった。
日本に帰ってきてまず気がついたのは、水のおいしさだった。
成田空港のトイレで手を洗っているだけで、その透明感が肌に伝わってきたし、図書館にあるみたいな飲み水の器械のは、初めて飲む水みたいだった。
それと、もうひとつ気がついたのは、今がまだ1月だということ。
もう2月の中旬か下旬のつもりでいた。
昨夜、布団に入っているうちに、このあいだお正月が終わったばかりだったことにハッと気がついたのです。
私は、どこか空間の中にある穴に、飛行機に乗ってポカッと旅行に行き、ヒラリンやスタッフの方々と濃密な時間を過ごしてきたような感じ。
1週間もあっという間だった。
スイセイが留守番日記をつけてくれていたので、私とヒラリンの中国での怒濤の日々のことは、まだここには書かないでおきます。
というわけで、旅行中の洗濯ものやたまった仕事の片づけ、連絡などに終われ、12時に朝ごはん。
落とし卵と蕪の葉を茹でて、かけ蕎麦を作った。
だし汁とか、透き通ったおつゆとか、日本というのは本当に水の文化なのだな。
でも、油をたっぷりを使って、炒め蒸しにするような中国の調理法も、とても刺激になった。
これから、私の料理はまた変っていくことだろう。
というわけで、ひきつづき急いでやらねばならないパソコン仕事を始めます。
夜ごはんは、鮪の切り落とし、肉じゃが、蕪の葉の茹でたの(朝の残り)、白菜と人参のサラダ、コロッケ(スーパーの)、葱の味噌汁、玄米。
『ためしてガッテン』のカツ丼特集を見ながら食べる。
スイセイは、ものすごくがっついて食べていた。
私のごはんに飢えたのが伝わってきて、ちょっと自慢な気分。
そういえば、のどの奥がイガイガし、鼻の奥もツーンとする。
まだまだ風邪をひいていられないので、今日は酢水で何度もうがいした。
これは、中国でスタッフの人から教わった。
酢は殺菌作用があるそうだ。
何日目からかヒラリンは風邪をひいて、けっこう咳こんで辛そうだったけど、酢水うがいのおかげでずいぶん助けられた。
私も、ホテルで毎晩うがいをしていた。
のどのがさついたところに酢水がはりついて、ちょっとヒリヒリするような感触がたまらなく気持ちいいのです。
混ざりもののないりんご酢や純米酢を、水で10倍に薄めるだけ。
ヒラリンはペットボトルに酢水を作って、どこに行くにも持って歩いていました。
とてもいい考え。

●2007年1月23日(火)晴れ

■■■スイセイ留守ごはん・8日目■■■
朝ご飯:ジャムの食パン

きょうは、みいが帰ってくる。
いつもと違う時間を案外楽しく過ごすことができたから、みいだけじゃなく、おれも旅行した気分だ。
夏休みが終わって、また日常に戻るようなせつなさもある。
ま、ま、それは胸にしまいつつ、うちに帰ろう。
もう日が暮れている。
あの峠の明かりが、自分んちだろうか。
家の姿をなつかしく思いながら、扉をノックする。
「はーい」
と言って中から出てきたのは、

おれだった。


うちのカーペットをめくると、宇宙が広がっていた。
■■■スイセイ留守ごはん・終わり■■■

●2007年1月22日(月)晴れ

■■■スイセイ留守ごはん・7日目■■■
朝ご飯:マルタイラーメン、するめ
きょうも朝から布団干し。

用事などしていたら、やはりごはんを忘れて辛くなり、外に他の買い物のついでになにかをかおうかなどと思いつつ外出。
そしたら、ドアの外に紙袋が置いてあった。
開けてみると、おにぎり2個としじみの味噌汁だった。
チヨジが届けてくれた。
昨夜は2時くらいまでつきあってくれて、きょうは早くから仕事のはずなのに、多分その前に届けてくれたんだ。
うう。
おもわず、おにぎりむさぼる。
チヨジの料理は、上手下手や好き嫌いを超えて、チヨジの家族や育った土地やできごとが全部込められている気がする。
瀬戸内のぬるい風が吹く、そういううまさだ。
チヨジを見守る父母がよぎる。

夜中に所用すんで帰宅し、誰もいない部屋にストーブをつける。
寒いし、腹減り。
夜ご飯:食パンに自家製りんごジャム、
火を入れてあっつあつ、チヨジの”しみじみ”の味噌汁。

●2007年1月21日(日)おぼろ晴れのち曇り

■■■スイセイ留守ごはん・6日目■■■
起き抜けは久しぶりにけっこう晴れてたので、洗濯を干して布団も干した。
たしかにそうしたくなる。
洗い物などたまった家事にいそしむ。出張中の家人のことなど思い浮かべる。
家内安全。
朝ご飯:野菜入りプレーン・スパ
1.寸胴に湯を沸かし、スパゲティ1人前茹でる。
2.茹で上がり1分前に切っておいたクレソンを加える。
3.ともに湯切りをして、塩、オイルで味を整える。
4.仕上げに三つ葉をがばっと乗っける。
おかずは納豆
おやつは高知の大豆羊羹

きょうは昼寝したし結果的に休日とする。日曜だし。オフ、オフ。
ちょっと、ひとり住まいも飽きてきたところだが、タイミングよくチヨジから夕飯の誘い。
なんという心あるお方ぢゃ。
お、おれのようなものをお誘いになるとは。(と、ゴンタは思いました。)
お好み焼きらしい。

チヨジとヤーノんちにて、あと川原さんと
夜ご飯:チヨジの関西風お好み焼きに加えて、おらが広島風を作った。
ビール飲みつつ、もう何しゃべったか忘れたくらいとりとめなく、ぬるい風呂につかったような、あんかけな時間が過ぎてった。
かれらとは、そういうイケイケじゃない、楽なあいだだ。
何日も外に出ないとか、人と会わないとか、そういう話もした。
そうしていつも自分を真ん中にしておくっていうことだ。



日々ごはんへ めにうへ